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Team 特集Vol.1 NAVUL

インタープロトシリーズに 4 台を投入する最大勢力

インタープロトシリーズのピットに、真っ赤なマシンを4台並べるチームがある。NAVUL=NTPグループのレーシングチームだ。ボディのフロントからテールエンドまでセンター部分にホワイトのラインが貫通するトラディショナルなカラーリングも印象的。今回はそのNAVULにスポットライトを当ててみた。

NAVULがインタープロトシリーズに初めて参戦したのは、2015年に正式にスタートしたCCS−Rクラスだった。2017年にはそのCCS−Rクラスに3台を参戦させることになった。さらに、2019年からはついにインタープロトでの参戦をスタート。そして2021年、今シーズンは新たにスタートしたGRスープラクラスにも参戦、3クラス4台という大きな勢力となった。

NAVULでは広く会員を募集しており、会員にはいくつかの特典だけでなく、この会員証が贈られる。

NAVULについて、名古屋トヨペットFTD部長の高橋康之さんにお話をうかがった。

「2012年にトヨタ86がデビューすると同時にエリア86が誕生しましたが、そのタイミングで、NTPグループとしても独自の組織を立ち上げようということになり、NAVULが生まれることになりました。トヨタ86の魅力をより活かすために、カスタマイズだけでなく、もっと広くモータースポーツに関わっていこうというのが、コンセプトです」その最初のステージはサーキットではなかった。2013年にヴィッツ・ラリーチャレンジが発展する形で生れたTRDラリーチャレンジ、現在のTGRラリーだ。ただし、それ以前から素地はあった。ネッツトヨタ名古屋やネッツトヨタ中京といったネッツ店ディーラーがNTPグループには存在し、ヴィッツレースに参戦していたからだ。その 流れで86/BRZレースにも参戦している。

「2015年にCCS-Rに参戦を始めました。その中心となったのは専務の横井克一郎ですが、弊社の社長も出場したことがあります。2017年からは同じNTPグループの中ですが、ネッツ店からの2台が加わって、3台体勢になっています」

インタープロトシリーズだけでなく、TGRラリーを始め、今シーズンスタートしたヤリスカップにも活動の場を拡げている。新車ディーラーのレーシングチームが目的とするのは、単なる宣伝の場でも、勝負の場でもない。人材育成だ。「メカニックを含めて社員の育成をテーマにしているので、基本的に全て社員でやっています。参戦するレース/ラリーや、マシンの数が増えたのは、その育成の場を作り拡げてきたということですね」

人材というのは、お金では買えない、とても貴重なものだ。そして人材を鍛え育てることで、その価値を大幅に高めることが可能になる。厳格なタイムスケジュールや厳守しなければならないレギュレーションなど、モータースポーツは人材育成の場として大いに役立つシーンがいくつもある。

今シーズン、NAVULの新たなチャレンジはスタートしたGRスープラGT4への参戦だけでなく、女性ドライバーの投入だ。インタープロトシリーズは9シーズン目だが、女性のレギュラードライバーは初めてとなる。「モータースポーツというと、どうしても男性中心になってしまいます。そこで女性ドライバーを参戦させることで、女性目線でのモータースポーツとの関わりを目指しています。それが今後のNAVULの活動にとって、とても重要だと考えたからです。女性ドライバーの木村真弓も、もちろん社員です。社内公募という形で、実際に手を挙げた社員の中から選ばれています」

インタープロトシリーズでは、ジェントルマンドライバーは全てNTPグループの役員/社員となっている。それを支えるプロドライバーたちもまた、幅広い特徴的なキャラクターが揃っている。  だがNAVULは単なるレーシングチームではなく、幅広くモータースポーツを気軽に楽しめることを目的としている。そのため一般会員も募集していて、JAFライセンス講習の参加費用割引や、NTPグループ主催の走行会参加費用割引、86/BRZレースのサポートなどが特典となっている。

NTPグループには現在、4つのGRガレージがある。豊田市のGRガレージ豊田土橋、名古屋のGRガレージ港・名四、小牧市のGRガレージ小牧と、愛知県下を広くカバーしている他、長野県にGRガレージ下諏訪を展開している。

最後にNAVULが目標としているステージを高橋康之部長に聞いてみた。

「個人的にはニュル24時間レースに参戦したいと思っています。夢のまた夢ですけども。最近は自動車メーカーが直接乗り出しているので、ちょっとレベルが上がってしまっていますけど、世界一の草レースと言われていますよね。ボクたちNAVULが目指す世界としては、そこなんだと思っています」

インタープロト#44ジェントルマン・エキスパートクラスで走る山口達雄選手。2020年から参戦を開始し、そのデビューイヤーにいきなりシリーズチャンピオンを獲得。「プロドライバーがマシンのセッティングを出してくれて、ドライビングでも直接アドバイスしてくれるのが、結果につながったんだと思います」という。今シーズンもまたチャンピオン争いに加わっている。

CCS-R#10ジェントルマンクラスでレースデビューした木村真弓選手。ラップタイムなど、まだまだ成長の余地は大きい。「いろいろな人から応援していただいて、初レース、走りきることができました。1年間続ける予定なので、最終戦でどこまで成長できているか、期待してください」。有言実行、第2大会でもトラブルなく完走しており、着実に進化しているようだ。

日本最速のドライバーのひとり、山下健太選手は、今シーズンからインタープロト#44のプロフェッショナルクラスで戦う。「マシンの調子はいいですよ。速さがありますね。運転しやすいし」。2020シーズンは海外レースへの参戦もあり、インタープロトは不参加だったが、NAVULからの初戦となった開幕戦でいきなり優勝。第2大会終了時点で、ランキングトップに居る。