「アスリート」と聞いたとき、皆さんはどんなスポーツを想像しますか?
野球、サッカー、ラグビー、陸上競技、ゴルフ、ボクシングなど……。
モータースポーツは、クルマという“道具”を使うがゆえに、
そういったスポーツとは分けられがちです。
しかし実際には、ほかの競技と同じ“スポーツ”であり、
レーシングドライバーは極限の速さを競う「アスリート」なのです。
「レーシングドライバーは高速でコーナーを曲がっていく車両の中で、
自身の体重の3倍近い重力(G)に耐えながら、
クルマの性能を限界まで引き出すために様々な運転操作を行い、
ライバルたちと勝負をしています。
レース中の心拍数は180~190。
これは、30~40歳の人の最大心拍数とほぼ同じ数値で、
1時間半もこの数値を保った状態でいるというのは、
体に非常に負荷がかかっているということ
=非常にきつい運動をしている状態だということが言えます。
また、高いドライビング技術というのは
簡単に身につくものではありません。
現在のプロレーシングドライバーの殆どが、
小さいころからキャリアをスタートさせ、十数年経験を積んだ上で
トップカテゴリーへステップアップします。長く経験を積む中で、
クルマのもつ性能を限界まで引き出して走るための
高い技術を身につけていくのです。
高い技術を持ち、他ジャンルの運動選手同様、
あるいはそれ以上に過酷な状況で戦う
レーシングドライバーは、「アスリート」と言えるでしょう。
「モータースポーツの世界では、クルマの性能や
レースのルールに選手の力量が隠れてしまいがちです。
レーシングドライバーのすごさが見えにくいレースは
「自動車の競技」であり、「スポーツ」とは言えません。
レースをスポーツとして成熟させていくためには、
“ドライバーの闘う土俵をフェアなもの”にしていかなくてはなりません。
身体能力が異なる男女が混走して闘うレースは
“スポーツ”として成立させるには不自然です。
男女、プロ・アマチュアなど、
それぞれのフィールドに分けて“公平な環境”のもとで戦う。
それが、ドライビングアスリートという舞台です。
人がクルマを操って、公平にライバルと競い合う。
そこに、参加者も観戦者も魅力を感じ、
普段ではなかなか味わうことのできない興奮や感動が生まれます。
ドライビングアスリートは、
レーシングドライバーの運転技術競争に焦点を当てた、
「人」が主役となる新しいモータースポーツです。