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KYOJO CUPに参戦するドライビングアスリート“競走女子”の素顔に迫る企画、今回はKYOJO CUPがスタートした2018年から参戦している細川由衣花選手に お話を聞きました。自身もドライバーでありながら、プロドライバーの夫と今年からカートを始めた長男を支えるレーサーファミリーのパワフル母ちゃんの素顔とは?

夫の一言がきっかけで、2児のママがKYOJO CUPドライバーに!

ー すでに2人のお子さんがいるなかで、KYOJO CUPに参戦を決めた理由について教えてください。
もともと由衣花選手はドライバーになりたいと思っていたんですか?

細川:子どもの頃、ドライブ中に見た黄色のホンダNSXに一目惚れして以来、車が大好きで、
中学の頃にはSUPER GTを観るために一人で富士スピードウェイへ行ったりしていました。
今思えば、そこに夫(細川慎弥選手)もいたんだなあ(笑)。
当時はまったくドライバーには興味がなくて、車ばかり見てました。
自分が出場するなんて考えたこともなかったですね。

車は好きだったけれど、サーキットで走ったことはなかったんです。
そんな時に突然、夫から「KYOJO CUPは女性だけのレースだし、気分転換に出てみたら?」って言われて、
その時に「一回くらい走ってみてもいいかも!」と思ったのがきっかけです。

ー 細川慎弥選手は、どうして由衣花選手を誘ったんですか?

細川慎弥:車で出かけた時に、由衣花が「タイヤのエアーがおかしくない?」って言い出したんですよ。
その場はやりすごしていたんですけど、あんまりしつこく言うから、ガソリンスタンドで確認したところ、0.1〜0.2くらい数値が低かった。
それって気にしたところでわかるものでもないし、そんなセンサなんてなかなか身につかない。
その時に「由衣花がレーシングカーに乗ったらおもしろいかもしれないな」と思いました。

私は人に教える仕事もしているのですが、妻だったり、女性が活躍していることを知ってもらえたら、
もっと多くの人がレースに興味を持ってくれるはず。そうなれば自動車レースの裾野が広がるだろうと思ったからです。

ママになった今、本気になれるものに出会えた

ー 3人のお子さんたちの子育てをしながら、アスリートとしても活動をするのは大変だと思うのですが、心がけていることはありますか?

細川:私は「ママとしてドライバーでありたい」と考えているので、そこはブレないようにしています。
私は集中するとのめり込みすぎちゃうから、子どもたちがいてよかったと思ってます。子どもたちのおかげで、ちょうどいい感じでオンとオフのスイッチの切り替えができています。
もし、子どもたちがいなかったら、のめり込みすぎて毎日夫と喧嘩していると思う(笑)。

それに、今年から4歳の長男がカートを始めたので、息子の練習を観ることが自分にとっても勉強にもなりますね。

学生時代は、水泳でオリンピックを目指すくらい夢中で取り組んでいたんですが、ドクターストップで辞めたんです。
水泳って自分だけのコースの中でがむしゃらに泳ぐけれど、レースは1つのコースに何台も車がいて、みんなで駆け引きをしながら速さを競う。その駆け引きが難しくて、何より楽しいです。 レースには、普通の生活じゃ味わえない緊張感と爽快感があるからやめられないですよね。

ー 女性ドライビングアスリートとして活躍する上で、大切な素質は何だと思いますか?
細川:女性ってもともと持っているものが強い。だから、基本レースに向いていると思いますよ。
なぜかKYOJO CUPに参加している選手はみんな本番になると一気にタイム縮めてくるし、女性って本番に強いんだと思います。
とくにKYOJO CUPは、女性同士のレースだからこそ、負けられないという気持ちがあるんじゃないかな。
プロドライバーと走ると、独特のオーラを感じる時があるんですが、最近はオーラを感じる若い女性ドライバーも増えてきていますね。

ドライバーとしても「かっこいい女性」でいるために

ー 普段の生活の中でトレーニングはどうしているんですか?

細川:意外だと思われるかもしれないけれど、レースは全身運動。筋力というよりも、体幹が大事だと思います。
私は水泳をしていた貯金があるのと、日常的に子どもたちを抱っこしたりしているので、それがトレーニングにもなっているんじゃないかな。

産後の体重がどうしても戻らなくて、筋トレしても、あと3キロが落とせない時期があったんですが、KYOJO CUPの1戦で一気に3キロ減りました。
だから、レースはダイエットにも効きますよ、きっと!(笑)

ー 由衣花選手と言えば、かっこいい女性というイメージがありますが、
KYOJO CUPの注目度が上がってくる中で、女性として気を付けていることはありますか?

細川:やはり、ファンのみなさんもいらっしゃるし、いつどこで写真を撮られているかわからないので、見た目には気を使うようになりましたね。

サーキットは屋外だから紫外線も強いし、乾燥もします。日焼け止めは完璧に塗りますが、フェイスマスクをつけてから、ヘルメットをかぶるのでファンデーションは塗れないんです。
とはいえ、ヘルメットしていても目元は見えるので、その部分のメイクは重要。
レース当日の朝7時には車検がありますが、私の場合、その前に子どもたちの準備もあるので、自分のためのメイク時間ってほとんどないんですよね。
だから、メイク時間が短縮になるまつ毛エクステも眉毛のアートメイクも、BBクリームも、本当に感謝ですよ!
それさえしておけば、レース以外の日常生活でも時短メイクができるのでありがたいですね。

家族みんなでレースをサポートするのが細川家のスタイル

ー SNSなどを見ていると、細川ファミリーはいつも一緒で、家族みんなでレースに参戦している姿が素敵ですね。

K細川慎弥:これまでレース界では、家族を表に出さないのが美学とされていましたが、僕がGTを降りるタイミングで「この空気感を崩してやろう」と思ったんです。
最近は、他の選手もSNSで家族の話題を出すようになって、それがきっかけになってファンが増えたりもしていますね。

細川由衣花:インタープロトシリーズの時は、富士スピードウェイ内にキッズエリアもあるので、子連れとしてはすごく助かります。
自分のレースの時も「ここで遊んだら、この後、ちょっとだけピットでは我慢してね」って子どもと約束したり(笑)。

私のほかにママドライバーはいないけれど、これからもっと出てくるかも。そうやって環境が変わって、年齢を重ねてもレースが続けられるんだということをみんなに知ってもらえたらうれしいです。