SUPRA RD7-8 RACE REPORT

FIRST

坪井 翔SHO TSUBOI

#39 CERUMO CRA

TOTAL POINTS : 177

2ND

卜部 和久KAZUHISA URABE

#38 CERUMO CRA

TOTAL POINTS : 99

3RD

片岡 龍也TATSUYA KATAOKA

#45 NAVUL

TOTAL POINTS : 97

4TH

堤 優威YUUI TSUTSUMI

#31 CERUMO CRA

TOTAL POINTS : 70

プロクラスは坪井翔が完全勝利、ジェントルマンクラスも橋本達宏が2連勝

2023 インタープロトシリーズ第4大会が11月25日(土)~26日(日)、富士スピードウェイで行われた。GR Supra GT4 EVOクラスには5台が参戦、ジェントルマンクラスでは#45橋本達宏(NTP GR Supra GT4 EVO)が2戦ともにポール・トゥ・ウィン。またプロフェッショナルクラスは#38坪井翔(TR GR Supra GT4 EVO)が完全制覇の2連勝を獲得した。

[ジェントルマンレース]

今シーズンのジェントルマンレースは、ルーキーの橋本とベテラン卜部治久が交互に勝ち星を上げるシーソーゲームの様相を呈してきた。しかし今大会は卜部がエントリーせず、ライバルを失った形の橋本のひとり舞台となった。
公式予選では1分47秒430のコースレコードをマーク。2位の#72近藤保(アキランドGR Supra GT4 EVO)に対して約2秒4という大きな差を付けた。3位には初参戦の#39池田比呂志(P.MU GR Supra GT4 EVO)、4位に#38豊島豊(TR GR Supra GT4 EVO)、5位は#31兼重和生(SNK GR Supra GT4 EVO)となった。

11月末の富士スピードウェイは寒い。第7戦は午後とはいえ風が吹き、体感温度はとても低かった。当然スリックタイヤをキッチリと温めなければ、本来の性能は発揮できないが、ジェントルマンにとってはそれがレースの最初のハードルとなる。
ポールポジションの橋本はオープニングラップから独走し、2位に上がった池田に対して4秒159の大きな差を付ける。2周目には6秒642、3周目に11秒434と、大幅にリードを拡げていく。8周目に1分47秒873のファステストを記録、このタイムはインタープロトの中に組み入れても3番手のタイムだ。
最終的に50秒986の差をつけて独走優勝。初参戦ながら池田が2位、3位は近藤となった。

第8戦は翌日の午前中で、まだ気温が上がる前。ポールポジションの橋本はタイヤをキッチリと温め、スタートダッシュを決める。まるで第7戦のVTRのように、オープニングラップで4秒115、2周目に7秒762と差を拡げていく。予選2位は第7戦と同じ近藤だったが、セッティングを大きく変更したことでペースを改善、3位スタートの池田の追撃を受けるものの、2位をキープした。
レースはそのままの順位でチェッカーを受け、橋本が2戦連続のポール・トゥ・ウィン。ヤリスカップからステップアップしたルーキーながら、ピカイチの速さを見せ、シーズンを締めくくった。

Driver's Voice

第7戦・第8戦優勝 #45 橋本達宏(NTP GR Supra GT4 EVO)

「今シーズン交互に優勝してきた卜部治久選手というライバルが居て、いい緊張感を持って参戦してきたんですが、今回は不参加ということで、とても残念でした。ただ自分なりの課題もあるので、いろいろとチャレンジしました。公式予選ではコースレコードを記録することができましたが、実は狙っていました。FFのヤリスからハイパワーなFRに変わったのですが、片岡選手やチームのアドバイスもあって、結果を残すことができました」

[プロフェッショナルレース]

今大会もエントリーは5台。ポイントリーダーは今シーズンSupra GT4へ鞍替えした#39坪井翔(P.MU GR Supra GT4 EVO)。ただしチームのエントリーの都合から、マシンは前回までの38号車から39号車へ変更。つまり#38卜部和久(TR GR Supra GT4 EVO)と入れ替わっている。38号車は昨シーズンから使用している旧モデルをレトロフィットでEVO化したもので、39号車は今シーズン導入されたEVOモデル。基本スペックに違いはないが、細部のわずかな違いがフィーリングの差を生む可能性は高い。

前戦のポールポジションを卜部に奪われた坪井は、39号車のセッティングを見直し、短時間で仕上げポールポジションを獲得した。だが卜部は38号車を十分にフィットさせることができず、予選4位に。経験の差が出たといっていいだろう。
その2人に割って入り予選2位となったのは、#31堤優威(SNK GR Supra GT4 EVO)。そもそもGR Supra GT4をレース向けに仕上げたドライバーであり、開発車両1台だけでCCS-Rと一緒にレース参戦していた。つまりマシンの経験は十分なのだが、複数のGR Supra GT4が参加するレースは前大会が初めてだった。
予選3位は#45片岡龍也(NTP GR Supra GT4 EVO)。優れたコーチングによってジェントルマンの橋本達宏をスキルアップさせたものの、今大会ではマシンのグリップ不足に苦しんだ。予選3位とはいえ、坪井翔との差は1秒以上もあった。
#72阪口良平(アキランドGR Supra GT4 EVO)は予選5位。ただし予選を終え、その後のジェントルマンの第7戦終了後にマシンのセッティングを大きく見直し、決勝レース前にパフォーマンスは改善されていた。

GR Supra GT4のラップタイムは、ほぼインタープロトと同等。ただしマシンの特性は異なり、強力なエンジンパワーによってストレートは速いのだが、マシンが重いこともあってコーナリングは不利だ。それだけにプロドライバー同士のレースではオーバーテイクが起きにくい。
第7戦、ポールポジションからスタートの坪井はオープニングラップで一気に差を拡げ、1秒153の差をつけてみせた。プロドライバーにとっては、小さくない差だ。その後はそれほど大きな差を生み出すのは難しいが、それでも1分46秒台のハイペースで2位の堤をジリジリと引き離していく。
2人のギャップが2秒を超えると、坪井はペースを落とした。それは堤がペースダウンしたのを確認してからで、2人の差が縮まることはなく、そのままの順位でチェッカーを受けた。
第7戦で唯一のオーバーテイクシーンは、ファイナルラップだった。卜部がグリップ不足に苦しむ片岡を捉えて3位へと上がった。

続く第8戦は、第7戦の順位でのスタートとなる。つまり1位が坪井、2位堤、3位に卜部、4位が片岡、5位が阪口だ。
スタートでは再び坪井がスパートをかけ、1周目で2位に1秒以上の差をつける。しかし2位争い、オープニングラップでは卜部が2位を奪取するが、2周目には再び堤がポジションを奪い返した。このシビアなバトルはレース後半まで続いていく。
その後方では6周目に阪口が4位へとポジションを上げ、その勢いで3位卜部にアタック。そしてファイナルラップを阪口が制して、3位表彰台に立つことになった。
坪井は最終的に2位堤優威に対して5秒617という大差をつけて、優勝を果たした。第1大会こそ2位に甘んじたものの、第2大会以降は6連勝とし、実力を見せつけた形となった。

Driver's Voice

第7戦・第8戦優勝 #39 坪井 翔(TR GR Supra GT4 EVO)

「マシンを乗り換えることになったので、マシンは1から作り直すような形になりました。急ピッチで仕上げて何とか予選に間に合ったという感じだったんですが、コースレコードも出せてまずまずの成果だったと思います。レースは、スタートでリードを拡げてスリップの圏外に行けば有利に戦えるかな、という形ですね。堤選手が結構いいペースで走ってきていて、なかなか引き離すことができなかったんですが、前を走っていれば抜かれることはないだろうと思っていました」