SUPRA RD1-2 RACE REPORT

FIRST

石浦 宏明HIROAKI ISHIURA

#31 CERUMO CRA

TOTAL POINTS : 42

2ND

坪井 翔SHO TSUBOI

#39 CERUMO CRA

TOTAL POINTS : 32

3RD

片岡 龍也TATSUYA KATAOKA

#45 NAVUL

TOTAL POINTS : 24

プロフェッショナルレースでは石浦宏明が圧勝、ジェントルマンレースはベテラン卜部治久とルーキー橋本達宏が分け合う

2023 インタープロトシリーズ第1大会が、5月13日(土)~14日(日)富士スピードウェイで開催された。Supraクラスのジェントルマンレースではベテランの#39卜部治久(P.MU RACING SUPRA)とルーキーの#45橋本達宏(NTP SUPRA GT4)が1勝ずつ、プロフェッショナルレースでは#31石浦宏明(SNK SUPRA)が雨を味方に2連勝を挙げた。

▶︎ジェントルマンレース

開幕戦にエントリーしたのは4台。GR Supra GT4をプレシーズンから走らせてきた経験多い卜部に対して、残りの3台はいずれもルーキーで、今シーズンから走らせることになった経験値のないマシンでのレースとなった。
今シーズンからはマシン自体がアップグレードされ、GR Supra GT4 EVOとなった。初期型のマシンもECUの更新やパーツの交換を行うことで、EVOと同じ性能となる。見た目の変更点はフロントのバンパースポイラーにカナードが付加されたことくらいだが、中身もしっかりと進化しており、速さを磨いただけでなく、乗りやすく扱いやすいマシン特性となっているという。

そうした特性の進化も影響したのか、雨の公式予選でルーキーの橋本がポールポジションを獲得、セカンドベストタイムでもトップだったため、第1戦・第2戦ともにポールスタートとなった。今回の公式予選ではインタープロトのクラッシュしたマシンを回収するために2度の赤旗中断となり、さらに最終的に時間も短縮。橋本以外は満足なタイムアタックができなかったことも勝因のひとつだろう。
橋本は名古屋トヨペットグループの社員ドライバーで、これまでヴィッツレースやヤリスカップで腕を磨いてきたとはいえ、ハイパワーFRのマシンでいきなり結果を出した。卜部はいずれも2位に留まった。

朝からの雨が止むことなく始まった第1戦はセーフティカー(SC)スタートとなり、4周目にグリーンフラッグが振られてレースがスタートした。ポールスタートの橋本と追いかける卜部の2台が抜け出し、ハイペースのマッチレースを展開。2人のペースはインタープロトを超える速さとなっていた。#38豊島豊(TR SUPRA)と#31兼重和生(SNK SUPRA)は、ラップタイムでトップの2人に対して10秒前後の差があったが、それでもタイム自体は安定していた。
トップ2台のバトルは、5周目に卜部がトップを奪うと一気に大きく差を広げ、独走状態へ。レースは所定の12周よりも前にレース最大時間の25分を超えたため、11周で終了。開幕レースは卜部が勝利を手にした。

翌日の第2戦、路面には所々に乾き切っていない場所もあったものの、曇り空の下、ドライコンディションでのレースとなった。スターティンググリッドの順位は第1戦と同じ。ポールポジションからスタートしたものの逆転され2位となった橋本にとっては、その再現を許したくないところだろう。
しかし2周目、卜部にトップを奪われてしまう。第1戦と違ったのは、橋本が抜かれた後も離されずキッチリと食らいついたこと。5周目、わずかにミスをした卜部を見逃すことなくオーバーテイクし、トップ奪還に成功。3位は豊島豊、4位兼重和生の2人はトップ争いから10秒ほどのタイム差があったものの、周回を重ねるほどにタイムも上がっていった。
橋本と卜部、ルーキーVSベテランの接近戦はファイナルラップまで続いたものの順位の入れ換えはなく、橋本が初優勝を飾った。

Driver's Voice

第1戦優勝:#39 卜部治久(P.MU RACING SUPRA)

「第1戦は雨の難しいコンディションに橋本選手が苦労していたので、前に出てからリードを広げて勝つことができました。第2戦はドライで互角な戦いだと思っていたので、早めに前に出てリードを広げようと考えていたんですが、ヘアピンで失敗してしまって、抜かれちゃいました。やっぱりミスをしては勝てませんね」

第2戦優勝:#45 橋本達宏(NTP SUPRA GT4)

「昨日の第1戦はちょっと残念でしたが、今日は取り返すことができました。ただ一度は前に出られてしまいましたね。卜部選手はベテランで(走りの)引き出しも多く、上手いですよね。そのあたりは戦いながら学んでいきたいと思います。優勝は卜部選手のミスに助けられた部分もあるので、もっと勉強しないとダメですね」

▶︎プロフェッショナルレース

エントリーリストは4台だったが、実際に参戦したのは#31石浦宏明、#38坪井翔、#45片岡龍也の3人。#39卜部和久はライセンスの関係でレース参戦は叶わなかった。FIA-F4で2年目のシーズンを送っている18歳になったばかりの若手ドライバーは、そのトップグループに迫るポジションでレースを戦っている。その速さについては、第2大会の楽しみとしておこう。
金曜日のスポーツ走行はドライで、速さを見せていたのは坪井だった。昨年のインタープロトシリーズのチャンピオンは、スーパー耐久でGR Supra GT4でシーズンを戦った経験もあり、トヨタ陣営のエースドライバーとして当然の速さを発揮したかに思えた。
しかし雨の公式予選は、そう簡単ではなかった。

ポールポジションを獲得したのは石浦だった。ベテランドライバーはウエットの路面をきっちりと見極め、最初のアタックで1分58秒417、2度目のアタックで1分57秒214までタイムを上げ、これがポールタイムとなった。
坪井は1分57秒562に留まり予選2位、片岡は1分58秒259で予選3位となった。片岡はEVOへの対応がまだ不十分なようで、本来のポテンシャルを発揮できていなかったようだ。
このSUPRAクラスの予選トップ3は、オーバーオールの予選トップ3でもあった。つまりインタープロトの予選トップは片岡に届かず、オーバーオールで予選4位となったのだ。これはインタープロトシリーズ11年目にして、初の出来事だった。

日曜日の決勝レース、ジェントルマンはドライコンディションで行われたが、お昼頃には雨が降りウエットコンディションに逆戻りしていた。スターティンググリッドはクラス別なので、予選タイムは上位であっても、SUPRAクラスはインタープロトの後方からのスタートとなった。

決勝レースは9周、ただし17分という時間制限が定められていた。
第1戦は雨のためSCスタートとなり、それが解除となりレースがスタートしたのは4周目。ただし残り時間は7分10秒しか残されておらず、残り4周の超スプリントレースとなった。ポールポジションの石浦が坪井をジリジリと引き離していく。7周でチェッカーとなった時点でのギャップはわずか0.914秒でしかなかった。片岡はペースに苦しみ、およそ0.8秒前後のラップタイム差が生じていた。
続く第2戦は通常のローリングスタートとなった。第1戦と同様に、石浦が坪井をジリジリと引き離していく。じつは坪井のマシンはエアコンにトラブルを抱え、作動しなくなっていた。GR Supra GT4のエアコンは単にコクピット内を冷やすだけでなく、インタークーラーにも作用し、吸気温度を効果的に下げる役割がある。つまりエアコンのトラブルにより、パワーを失うことになるわけだ。
4周目、エンジンルームが温まったこともあるのだろう、坪井はペースダウンし、石浦のリードが大きくなっていった。結局石浦が第2戦も制して連勝。片岡は第1戦同様にペースに苦しみ、3位でレースを終えた。

Driver's Voice

第1戦・第2戦優勝:#31 石浦宏明

「ドライだと坪井選手にちょっと勝てないかな、というくらい差がついてしまっていたので、ウエットはチャンスだと思っていました。マシンの調子は良くて、こういうコンディションだと雨量によって大きく変わってしまうんですが、今日の路面状況にはピッタリと合っていたと思います。とりあえず開幕戦は勝てて良かったです」