SUPRA RD1-2 RACE REPORT

2台のGRスープラGT4が参戦。プロフェッショナルレースは石浦が2連勝

2022 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer第1大会が5月14日(土)~15日(日)に富士スピードウェイで開催され、SUPRAクラスには2台が参戦。ジェントルマンレースでは第1戦は#38 卜部治久(P.MU RACING SUPRA)が、第2戦は#71 大山正芳(ダイワN通称アキランドレーシング)がそれぞれ優勝を飾った。プロフェッショナルレースは2レースとも#38 石浦宏明(P.MU RACING SUPRA)が制した。

ここ数年、CCS-Rクラスで圧倒的な速さをみせていた卜部が、昨年の途中からSUPRAクラスに転向。今年も38号車で開幕大会からエントリーを果たした。加えて、今季から他のカテゴリーでも参戦経験の豊富なアキランドレーシングがエントリー。ジェントルマンドライバーは大山、プロドライバーは谷川達也が務める。

▶ジェントルマンレース

まずはジェントルマンレース。14日(土)の公式予選は、ウエットコンディションとなったが、電子制御が入っているGR スープラ GT4は2台ともIP車両を上回る速さをみせた。最終的に大山が2分02秒806を記録し総合3番手に入るパフォーマンスを披露。同時にSUPRAクラスデビュー戦でいきなり、クラスポールポジションを獲得した。卜部はウエット路面に苦戦していた部分もあったようだが、0.6秒差の2分03秒481で総合4番手につけた。

そのまま午後に行われた第1戦決勝は、雨が止み、一部濡れている箇所があるものの、ドライ路面でレースがスタートした。霧に包まれて視界確保が難しい1戦となったが、そこで頭ひとつ抜け出たのが卜部。1周目に大山を抜いてクラストップに浮上すると、2周目には早くも3.8秒ものリードを築いて言った。その後も、試行錯誤しながら周回を重ねたという卜部だが、順調に大山との差を広げていき、最終的に12.0秒のギャップを築いてチェッカーフラッグを受け、今季の開幕戦を制した。

Driver’s Voice

第1戦 優勝:#38 卜部治久

「今回はウエットでの走行が初めてだったので、ABSの入り方も含め、色々なことが初めての経験でした。今までなら『(レースウィーク中に)1回くらいスピンするかな?』という感じでしたが、金曜日は4回くらいスピンをして、グラベルに飛び出したり、やっぱり難しいクルマです。ただ、それで滑りやすい路面での限界値がつかめていたので、ドライは少し行くことができました。予選と決勝でコンディションが変わって難しかったですけど、ドライで走れて良かったです。
決勝では、最初ついていくのが精一杯かなと思っていたのですが、1周目で前に出てしまって、僕もびっくりしました。そこから2~3周は頑張ってプッシュをしたら離れてくれたので、そこからは自分のペースで走れましたし、タイヤの内圧を外してしまうと大変なことになってしまうのですが、今回はドンピシャで、すごく乗りやすかったです。昨年からスープラに乗り始めていますが、インターバルが空いてしまっていて、今回も『はじめまして……』みたいな感じで走り出しました。
いつも、日曜日くらいになって、感覚がつかめてきて『もう一度ニュータイヤを履かせてほしいな』と思ってしまいます。これで日曜日のレースが終わったら、第2大会まで時間が空くので、みなさんと比べるとまだまだですね」

翌日の第2戦決勝も2台のバトルに注目が集まったが、卜部が第2戦に向けてのコンディションが整わず、急きょレース参加を見送ることになった。これにより、SUPRAクラスは大山1台のみでスタートすることになったが、ドライコンディションで目を見張るハイペースを披露した。

レース中盤には1分51秒台に突入し、7周目にはIP車両の#88 八木常治(PASTEL MOTORSPORT)をオーバーテイク。そのまま引き離して、前を走るIP車両を追いかけていくレース展開をみせた。

最終的に1分50秒733のベストタイムを記録し、総合7番手でフィニッシュ。同6番手の#16 渡邊久和(ララパルーザ)に6.1秒差と、クラスの異なる車両にも迫るほどの活躍だった。

Driver’s Voice

第2戦 優勝:大山正芳

「今日は卜部選手といい勝負ができると思っていたので、一緒に走れなかったのは残念でしたけど、また次回期待しています。僕自身、スープラGT4にはテストで一度乗って、今回のレースウィークを迎えました。最初は雨でしたが、そこから徐々にタイムが上がってきて、だんだん乗り慣れてきたなという感じでした。決勝では八木選手も追い抜くことができましたし、もう少しアンダーステアを出さないように走れば、40秒台後半はいけるのではないかなと思います。このクルマはターボ車なので、上のエンジン回転を使うというよりも、下の回転からパワーが出てくる感じで、なかなか慣れないですね。シフトも7速まであるので、他のクルマと比べても、シフトポジションが違う。例えば、1コーナーも2速というのが一般的な感覚ですけど、このクルマは4速で回れてしまいます。他のコーナーも1速分高めの感覚で走らなきゃいけないので、そこが他のクルマとは感覚が少し違うところではありますね。第2大会に向けてしっかり練習して、今度はもっとたくさんのライバルがいるなかで、良いレースをしたいです」

▶プロフェッショナルレース

プロジェッショナルレースは、予選から安定したペースを披露した石浦がクラスポールポジションを獲得し、2番手に71号車の谷川がつけた。15(日)午後の第1戦では、「スタートが勝負どころ」と捉えていた石浦がしっかりとポジションを守ると、その後もペースよく周回を重ね、5周目には6.5秒のリードを築いた。後半になっても順調な走りを見せた石浦は、最終的に9.5秒の差をつけて第1戦を制した。

そのまま、グリッドに再整列し、第2戦がスタート。ここでも石浦が先行する形となったが、3周目のコカ・コーラコーナーでストップ車両が発生し、マシン撤去のためにダブルイエローグラッグ(黄旗二本振動)の対応がとられた。石浦も状況を把握しており、当該区間ではしっかりと減速するなど、ペースを抑え気味に走ったこともあってか、2台の差は第1戦ほど広がらなかった。それでも終始、石浦が3秒以上の差をつけて、トップチェッカー。見事2戦連続で優勝を果たした。

また、今大会には昨年でレーシングドライバーを引退し、現在はTGRヨーロッパ(TGR-E)の副会長を務める中嶋一貴氏が、TGR-Eの海外スタッフを連れて来場。スープラGT4の欧州展開のために役立つ情報を収集していった。これには、38号車の石浦も様々なフィードバックを行い、時間を見つけては担当者たちと話をする姿がみられた。

Driver’s Voice

プロフェッショナル 第1戦、第2戦 優勝:石浦宏明

「ドライでの感覚を忘れていたので、決勝を走りながら思い出していた感じでした。オープニングラップを凌ぎ切れば、結構いけるなと思っていたんですけど、谷川選手も狙っていたので、そこだけ集中して抑え切りました。あとは自分のペースで走って気持ちよくレースができましたし、(第2戦の時に)途中ダブルイエローが出ていた区間がありましたが、先日のSUPER GTのこともあるので、そこは安全にペースを落として、気をつけながら、走りました。 今回、スープラGT4のTGR-Eスタッフの方も来てくれて、いろんなサポートをしてくれました。もっといいクルマづくりにつながればなと思いますし、このレースが現場の生の声も伝えるという場になっています。このクルマでレースをさせてもらえていることで、未来につながるものもあります。そういう意味で、今回は最初から最後まで全力でプッシュをして、どんなことが起こるかも見ながらレースをしていました。 土曜日に(中嶋)一貴がスタッフと一緒に来てくれていて、フィードバックをするときも通訳をしてくれたので、細かいことをやってくれました。ウエット路面での状況もそうですし、色々なものを試す中でわかってくることもあります。そういった話を2日間で吸い上げてくれました。今まではTGR-Eに、なかなか声が届かなかったんですけど、そこに一貴がいてくれることで、橋渡しになってくれて、『今後も何かあればLINEですぐ連絡ください!』と言ってくれたので、すごくありがたいですね!」