KYOJO CUP RD1 RACE REPORT

FIRST

翁長 実希MIKI ONAGA

#114 Car Beauty Pro RSS VITA

TOTAL POINTS : 21

2ND

斎藤 愛未AIMI SAITO

#17 Team M 岡部自動車 D.D.R VITA

TOTAL POINTS : 18

3RD

下野 璃央RIO SHIMONO

#86 Dr.Dry VITA

TOTAL POINTS : 12

4TH

平川 真子MAKO HIRAKAWA

#44 RSS vita

TOTAL POINTS : 10

初ポールポジションの斎藤愛未を決勝最終ラップで逆転した翁長実希が優勝を飾る

2024年のKYOJO CUP第1戦が5月12日(日)に富士スピードウェイで開催され、#114 翁長実希(Car Beauty Pro RSS VITA)が逆転で優勝を飾った。

今年で8年目を迎えたKYOJO CUPは、過去最高となる28台が年間エントリー。このうち9人が新規参戦のドライバーと、顔ぶれも大きく変わったなかでシーズン開幕を迎えた。また昨年チャンピオンの三浦愛が、今季のKYOJO CUPでは自身が立ち上げたTeamMの監督に専念することとなり、新王者をかけた熱戦にも注目が集まるシーズンとなる。

【予選】

午前8時00分から始まった公式予選では、2022年チャンピオンの翁長が最初に1分58秒997を記録しトップに立つが、それを#17 斎藤愛未(Team M岡部自動車D. D. R VITA)が1分58秒809で逆転。その後も、周回を重ねるたびにタイムを更新していったが、セッション中盤に斎藤が1分58秒704をマーク。翁長を0.037秒上回ってトップにたった。両者ともセッション終盤までタイム更新の機会を狙ったが、順位変動はなくチェッカーフラッグ。斎藤が初のポールポジションを獲得した。2番手には翁長、3番手には1年ぶりの復帰となる#86 下野璃央(Dr.DRY VITA)が0.339秒差で3番手につけた。

4番手以降も非常に接戦となっただけではなく、例年になくタイムも上がっており、15番手の#13 髙野理加(ORC☆サウンドキッズVITA)までが2分00秒台。20番手の#24 藤島知子(ENEOS MOMO BBS VITA)までが2分01秒台と、例年にないハイレベルな予選となった。

Driver’s Voice

ポールポジション:#17 斎藤愛未(Team M岡部自動車D. D. R VITA)

ここに来るまで4年かかりました。すごく嬉しいですし感慨深いですが、アタックに関しては悔しい部分もあるので、これに満足せず上を目指したいです。今週末は、走り出しからちょっと足りないなという感じで、FCR VITAの予選もトップ集団と比べるとまだまだなところはありました。KYOJO CUPの予選はコンディションに合わせられて何とかタイムが出ました。途中クールダウンラップを入れて、最後にもう一度タイムアタックに行こうと思ったんですけど、周りとの間合いがうまく合わなくて、アタックができず、そこは反省点です。決勝は課題がまだまだ多いので、どうなるか分からないですが、最終目標は決勝1位なので『終わりよければ全てよし!』にしたいです」

【決勝】

10時45分から決勝レース。予選とはかわって曇り空となり、メインストレートでは追い風も強く吹くなど、やや肌寒いコンディションで12周のバトルが始まった。

スタートではグリッド最前列を獲得した斎藤と翁長が並んだ状態でTGRコーナーに進入。そのままコカ・コーラコーナーを過ぎるところまで2台が一歩も引かないバトルをみせたが、最終的に翁長がトップを奪取。2番手に下がった斎藤の後方には下野が付け、序盤から3台によるトップ争いが展開された。

一方、後方では14番手スタートの#36 荻原友美(KNC VITA)がTGRコーナーでの混戦でスピンを喫し後退。今回デビュー戦となる#730 前田琴未(ハイスピードエトワールR VITA)はマシントラブルで1周目にピットインしリタイアとなった。さらに#559 織戸茉彩(MAX ORIDO VITA)もトラブルが発生し、4周目に戦線離脱を余儀なくされた。

各所でバトルが展開されるなか、トップ集団も抜きつ抜かれつのバトルとなる。一度はスタートでトップの座を明け渡す形となった斎藤だが、徐々に間隔を詰めていき、4周目のTGRコーナーでオーバーテイクに成功。3番手の下野も隙があればトップを狙いにいく勢いで、2番手に下がった翁長に並びかけようと積極的に攻め込んでいた。

その後方では#213Burton Hana(PRIX WORKSHOP VITA)と#50永井歩夢(BBS VITA)のバトルを中心に中団や後方グループでも接近戦の展開が続いた。

なかでも奮闘を見せたのが今回初参戦の#779 関あゆみ(栄建設TBR VITA)。16番手スタートから徐々に順位を上げ、レースの折り返しを過ぎたあたりから#34 保井舞(中央建設エムクラフトVITA)とバトルを展開。8周目に関が先行して13番手に浮上した。

レース中盤に入ると、トップ集団は斎藤、翁長、下野の3台に絞られ、その後方に#44 平川真子(RSS VITA)を先頭する4番手集団となる。その中でも、斎藤と翁長のペースが頭ひとつ抜け出ており、終盤に向かうにつれて下野が少しずつ遅れをとる展開となった。

トップの2台は1分58秒台のペースを維持。両者とも一進一退の攻防戦が続くなか、残り2周を迎えたあたりからトップとの間隔を縮めていった翁長は、終盤で勝負をかける。最終ラップのメインストレートで斎藤の真後ろにつくと、直後のTGRコーナーでイン側から飛び込んでいき、前に出ようとする。2人の攻防はコカ・コーラコーナーまで続き、翁長がトップに浮上した。斎藤も再逆転を狙って最後までチャンスを探ったが、わずか0.2秒届かず。翁長がトップチェッカーを受け、2024シーズンの開幕戦を制した。2位には斎藤が入り、自身ベストリザルトタイを獲得。3位には下野が入った。

28台で争われた開幕戦はトラブルで2台の脱落があったものの、26台が完走。ルーキードライバーでは関の14位が最上位。「すごく楽しかったです! 最後にシフトミスをして保井選手に追いつかれてしまいましたが、なんとか前でチェッカーを受けることができました」という関。コントロールラインでは横に並んだ状態で、わずか0.002秒差で先着していた。

次戦に向けて関は「今回のレースで課題も見えましたし、セッティングについても試したいものがいくつか出てきました。第2戦までに色々トライをしたいと思います」と意気込みを語っていた。

次回は7月20日・21日に開催される全日本スーパーフォーミュラ選手権の併催レースとして第2戦と第3戦が予定されている。

Driver’s Voice

優勝:#114 翁長実希(Car Beauty Pro RSS VITA)

「優勝することはできましたが、まだまだ良くできるところがあったレースだったかなと思います。最終ラップでの逆転も“狙い通り”というものではなかったです。斎藤選手が速く、後半にタイヤが苦しくなるところでチャンスが出てくるかなと思っていましたけど、本当にミスなく走り続けていたので、こちらが差を詰めていく機会が少ない中で、少しずつタイムを稼いでいきました。最後はどこで仕掛けるかをすごく考えましたが、1コーナーで狙おうと決めて、最後は意地の張り合いになりましたけど、何とか前に出ることができました。チームも良いクルマを作ってくれているので、次戦に向けてもっとアジャストして、勝利を確実なものにできるようにしたいです」

2位:#17 斎藤愛未(Team M岡部自動車D. D. R VITA)

「最初に前に出られてしまったことは想定内だったので、そこは大きく捉えていませんし、その後の展開の方を重要視していました。少し前に出るのが早かったですが、前に出てもある程度コントロールはできていたので、すごく良いレースでした。中盤はとても上手くいきましたが、最後2周あたりから大きくペースが落ちてしまったので、そこが敗因だと思います。あとはバトルで競り負けたことが1番悔しいですが、一昨年の最終戦に比べると非常に冷静に走れて、メンタル面でも全然違った部分があったので、本当に大きな収穫でした。2位は悔しいですが、次に向けても良いデータも取れました。非常に前向きなレースだったので、今後に活きると自分の中では思っています」

3位:#86 下野璃央(Dr.DRY VITA)

「先頭2台についていけていましたし、前半は3台で逃げて後半に仕掛けるという作戦を実行したかったのですが、思ったよりも少し離れてしまいました。ベストの1分58秒台が2~3回は出せましたし、そこから1分59秒2など安定はしていました。今回はついていけなかったので、テストを重ねていきたいです。トップとの位置関係は想像よりも遠かったです。予選は負けたとしても、決勝はもう少しついていけると思っていました。前半最初の2~4周目までは順調に走れていて、そこから前半のペースでいければいけそうだなというところでしたが、厳しかったです」