三浦 愛AI MIURA
RD1.#109 KYOJO TOKEN DREAM VITA
RD2.#17 Team M VITA
TOTAL POINTS : 21
RACE
REPORT
三浦 愛AI MIURA
RD1.#109 KYOJO TOKEN DREAM VITA
RD2.#17 Team M VITA
TOTAL POINTS : 21
永井 歩夢AYUMU NAGAI
#50 BBS VITA
TOTAL POINTS : 16
翁長 実希MIKI ONAGA
#114 Car Beauty Pro RSS VITA
TOTAL POINTS : 12
斎藤 愛未AIMI SAITO
#17 Team M 岡部自動車 D.D.R VITA
TOTAL POINTS : 10
ルーキーの富下李央菜がポールポジションを奪うも、決勝では2020年女王の三浦愛が逆転V
2023年のKYOJO CUP第1戦が富士スピードウェイで開催され、予選では今大会が4輪デビューレースとなる#225 富下李央菜(KTMS VITA)がポールポジションを獲得。ヘビーウエットコンディションとなった決勝レースでは2020年シリーズチャンピオンの#17 三浦愛(Team M VITA)が逆転勝利を飾った。
今年も、女性のみのレースシリーズ「KYOJO CUP」が開幕した。今年は、歴代のチャンピオンである#114 翁長実希(RSS VITA)や三浦など、実績のある選手が参戦するほか、新人ドライバーも7名加わり、例年よりさらなる盛り上がりを見せそうだ。
【予選】
5月14日に富士スピードウェイで行われた開幕戦は、あいにくの雨となった。
特に予選は、濡れた路面からドライアップしていくような難しいコンディション。また、総勢22台という大所帯が一気にアタックすればトラフィックも生まれる。この刻々と変わる路面状況を捉え、渋滞の合間を縫って上手くタイムをまとめられたドライバーがポールポジションを獲得できる。おそらく、車両の扱いや予選アタックにも慣れているベテラン勢が上がってくるのではないか……。そんな大半の予想を裏切り、予選が終了する間際、ラストアタックでトップに立ったのは、なんと16才でKYOJO CUP初参戦という、最年少ドライバーの#225 富下李央菜(KTMS VITA)だ。
予選を終えた富下は開口一番「自分でもびっくりしました(笑)」と一言。富下がレースの世界へと足を踏み入れたのは、元々弟がカートを始めたところに「面白そう」とついて行ったのがきっかけだという。6年間のカート経験はあるが、VITA-01に乗ったのは、この予選を含めてまだたったの3回目。わずかな経験しかない中、並み居る先輩ドライバーたちを抑えポールポジションを獲得した。
富下とは先輩後輩の関係にある、昨年のチャンピオン#114 翁長実希(RSS VITA)は、最後のアタックでトラフィックにかかってしまったことで自己ベストタイムを更新できず、わずか0.091秒差の2位に。「富下選手は後輩ですが、本当にすごい新人が入ってきたなという印象です。正直すごく楽しみですね(笑)。決勝では、私もチャンピオンとしての走りを見せられたらと思います」と、大型新人の登場にも余裕のある表情を見せた。3番手には#337 斎藤愛未(D.D.R VITA-01)、4番手には#86 永井歩夢(Dr.DRY VITA)と、昨年の最終戦で表彰台を分け合った2人がグリッド2列目に並ぶことに。トップから7番手までのタイム差が1秒差に収まる接戦の予選となった。
Driver’sVoice
ポールポジション:#225 富下李央菜(KTMS VITA)
「VITAは、カートと違ってシフトがついていて、このシフト操作がすごく楽しいです。カートコースに比べると道幅がとても広いので、どうやって走らせようか最初は戸惑いました。今日の予選は、ウエットからどんどんドライになるコンディションだったので、最後のラップはドライで練習した時の走らせ方を思い出してアタックしました。手応えがあったので『上の方なんじゃないかな』とは思ったんですが、まさかポールポジションとは思わなくて。決勝も優勝目指して頑張ります!」
【決勝】
決勝は、雨が降り注ぐ完全なウエットコンディション。雨を待ち望んでいたドライバーもいれば、できればドライで走りたかったというドライバーも。そして、チャンピオン獲得に燃えるドライバーもいれば、初参戦でとにかくチェッカーを受けようというドライバーもいる。それぞれが様々な思いを抱えた開幕戦、12周のレースの火蓋が切られた。
抜群のスタートを決めたのは、やはり経験豊富なドライバーたちだ。2番手のイン側のグリッドからスタートした翁長は、1コーナーに達するまでに1番手の富下を抜き去り、あっという間にトップへと浮上。後方では、#36 岩岡万梨恵(KNC VITA)と#35 織戸茉彩(恒志堂レーシング CLASS VITA)が接触してスピンするも、その他のドライバーはそれを上手く避け、雨の中でもスタートでの混乱は少なかった。
そして、翁長以外に完璧なスタートを決めたのが三浦だ。予選は雨想定でセッティングしていたが実際はほぼドライになってしまったことと、最後にアタックへ行けなかったため、10番グリッドからのスタートとなったというが、スタートから上手く蹴り出して一気に前に出ると、そこから驚異的な追い上げを見せ、最終コーナーではすでに4番手に。ホームストレートで2、3番手争いをしている富下と斎藤の背後にピタリとつけ、スリップで一気にこの2台を抜き去り2番手を奪取。ほぼ1周で見事に8台抜きをやってのけた。
2周目に入り、ポジション争いがさらに激化するかと思われたところで、#4 宮島花蓮(タイヤカスレーシング VITA)が1コーナーの立ち上がりでスピンしてしまい、コース外でストップ。このマシンの回収のためにセーフティカー(SC)が導入された。
これにより翁長は、2番手の三浦に対して築いていたマージンはなくなった。SC明けの7周目から三浦は一気に距離を詰めるが、翁長は前に行かせまいと何とか1コーナーを堪える。しかし、アドバンコーナーで翁長が水量の少ないアウト側を走っている隙に、三浦はインへ飛び込みオーバーテイク。トップへと浮上した。
その後方では、4番手まで順位を落とした富下と、5番手の永井、6番手の#15 RINA ITO(恒志堂レーシング レブニーズ VITA)が、目まぐるしく順位が入れ替わるような激しい戦いを続けていたが、斎藤、永井、RINAがそこから抜け出すと、富下はやや勢いを失って中団へと飲み込まれてしまった。その後、最終セクターで、富下と#87 山本龍(お先にどうぞ⭐︎VITA)、#610 兼松由奈(恒志堂レーシング YOSHIMI VITA)が接触。マシンにダメージを負った富下と兼松は走行を続けることができず、ここでレースを終えることとなった。
三浦と翁長によるトップ争いは終盤にもドラマが残されていた。翁長は9周目のホームストレートで三浦のスリップを使いトップを奪い返し、徐々に三浦を突き放していく。このまま決着がつくかと思われたが、なんと翁長がGRスープラコーナーの外側の縁石に乗りすぎてしまい、単独スピン。一気に4番手まで後退してしまう。
その間、終始良いペースで走っていた永井が斎藤をかわして2番手へと浮上。翁長は、すぐにペースを取り戻して順位を上げ、一時は永井に迫る2番手まで上がったものの、最終コーナー手前で再びオーバーランし、再度4番手へ戻ってしまった。三浦が独走体制に入る中、ファイナルラップでは、翁長がダンロップで斎藤を辛うじてオーバーテイク。両車は最後のコントロールラインまで競り続けたが、翁長が0.009秒差で斎藤を退け、3番手でチェッカーを受けた。
Driver’sVoice
優勝:#17 三浦愛(Team M VITA)
「予選はセッティングを合わせ切れず、最後もう1周アタックに行きたかったのですが、それもできずに10番手という結果になったのは反省ですね。決勝は『雨降ってくれたらいいな』と思っていたんですが、それが当たって良かったです。ただ、雨でのスタートはこれまでほぼなかったので、雨のスタートで上手く決まった人の動画を見て研究して、それでスタートを上手く決めることができました。今回のレースでは、そこが一番大きいポイントだったと思います。ただ、2番手に上がってからは、前車の水しぶきがすごくて自分のペースで走れなかったので、もう少し『自分が前に出るぞ』という気持ちで序盤から攻めた方が良かったですね。ただ、翁長選手も焦っていたように見えたので、『12周のレースだからきっとチャンスはある』と思って諦めずに走り切った結果、優勝できて本当に良かったです」
2位:#86 永井歩夢(Dr.DRY VITA)
「今回は雨のレースを期待していたので、予選ではドライになってしまったのが残念でした。でも、決勝はすごく雨が降ってくれたので、それで冷静になれてしっかり走れたと思います。いつも緊張してしまってミスをしてしまうこともあるのですが、今日はバトルしている間もすごく冷静に走れていたことが、すごく良かったかなと思います。チームのおかげでマシンも良かったですし、自信を持ってレースに挑めました。昨年の最終戦は3位で、今日の開幕戦は2位だったので、次戦は1位目指して頑張ります」
3位:#114 翁長実希(RSS VITA)
「スタートからトップに立てたのは良かったのですが、その後にSCが入ってしまって、すぐ自分の真後ろに三浦選手が来ていたことは大きなプレッシャーでした。SC後の再スタートももっと加速して間を開けたかったのですが、雨量がすごくてあまりアドバンテージを稼げませんでした。バトルでは前に出られて、そこからペースを上げて少しずつ離すことができたんですが、ミスをしてスピンしてしまって……そこから流れが変わってしまいましたね。ただ、そこでセーブはしたくなかったので、自分の中でもベストを尽くして最後まで諦めずに走り切りました。勝てたはずのレースで勝てなかったというのはすごく悔しいですが、次戦は優勝目指してまた頑張りたいと思います」