KYOJO CUP RD2 RACE REPORT

混戦の中から抜け出した翁長実希が開幕2連勝をマーク

2022年のKYOJO CUP第2戦が10月23日(日)に富士スピードウェイで開催され、#37 翁長実希(KeePer VITA)が、2戦連続のポール・トゥ・ウィンを果たした。

開幕戦から約5ヶ月空いた今大会では、19台がエントリーし、予選・決勝ともに大盛況となった。なかでも、今回はKYOJO CUPが立ち上げたクラウドファンディング『TOKEN GO PROJECT』の支援により、#109 KYOJO TOKEN DREAM VITAが参戦。ドライバーには、ファン投票により2020年のチャンピオンである三浦愛が選出され、「少しでもKYOJO CUPを盛り上げられるようなレースをしたいです」と意気込みを語った。

▶︎予選

8時00分からスタートした公式予選では、各車とも少しでもタイム更新を目指そうと、スリップストリームを使う駆け引きも生まれ、いつも以上に緊迫した予選アタックとなった。

セッション序盤から速さを見せたのは、開幕戦でポール・トゥ・ウィンを果たした翁長。計測1周目からトップに立ち続け、セッション中盤には2分00秒台に突入し、開始10分のところでは2分00秒501を記録した。ここで2~3周クールダウンを挟んで再びタイムアタックに向かうと残り4分で2分00秒184を記録すると、最後のアタックでは2分00秒085までタイムを縮めた。あわや1分59秒台に迫る勢いだったが、ここでチェッカーフラッグが振られてセッションが終了。翁長が2戦連続でポールポジションを獲得した。

2番手にはTOKEN GO PROJECTで注目を集める三浦、3番手には#38 猪爪杏奈(LHG Racing YLT VITA)がつけた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#37 翁長実希

「正直、悔しいです。1分59秒台を狙っていたのですが、予想以上に路面温度が上がって、想定していたタイヤの内圧が合わなくなってバランスを崩してしまいました。最後のアタックもセクター2までは良かったですが、セクター3で“ある”と思っていたタイヤのグリップ感がなくて……。悔しいですね。もちろん順位も重要ですが、自分のベストを尽くせたかというのが、いつも気になってしまいます。そういう意味で行ききれなかった予選でした。決勝では、もっと出し切れるように頑張りたいです」

▶︎決勝

12時25分から始まった12周の決勝レース。スタートでは、ポールポジションの翁長が少し出遅れた一方で、2番グリッドの三浦が好ダッシュ。一瞬前に出たものの、TGRコーナーまでに翁長も追いつき、2台並んでコーナーに飛び込んでいった。ここで姿勢を乱して外に膨らんでしまった翁長に対して、きっちりとイン側のラインを守った三浦がトップに。3番手以降も各所でバトルが繰り広げられ、1周目から大混戦となった。

なんとか集団から抜け出したかった三浦だが、2周目のTGRコーナーでは翁長に仕掛けられ、サイドバイサイドのまま進入。ここで三浦がブレーキでタイヤをロックさせて外に膨らんでしまった。この間にトップに立った翁長が、勝負どころとばかりにペースを上げて、一気に後続を引き離した。

2番手争いは3周目以降も大混戦となり、#87 山本龍(おさきにどうぞ☆VITA)、猪爪が三浦をパス。さらに#47 下野璃央(KeePer VITA)も先行し、三浦は5番手までポジションを落とした。

その後も、彼女ら4台による抜きつ抜かれつのバトルが続き、そこに#86 永井歩夢(Dr.DRY VITA)と#377 斎藤愛未(D.D.R VITA-01)も加わり、6台による熾烈な争いとなった。

その中で、まず集団から抜け出したのが猪爪。山本とのバトルを制して7周目に2番手を奪うと、ペースを上げて後続を少しずつ引き離した。さらに後方では、三浦も下野を抜いて4番手を取り戻していた。

後半に入ると、一時は7番手まで順位を下げていた斎藤がペースアップ。まずは永井と下野を攻略し、8周目に5番手に浮上。さらに山本と三浦が争っている隙をついて、11周目には3番手まで順位を上げた。

後続が激しいバトルを繰り広げている間に、トップの翁長は安定したペースで独走状態に。中盤以降は2分01秒台前半のペースを維持し、7周目には2分01秒242でファステストラップを記録すると、終盤に入っても2分01秒3のタイムを揃える安定感をみせた。

最終的には2番手の猪爪に対して11.4秒もの大差をつけ、開幕2連勝となるトップチェッカーをうけた。2位には猪爪が入り、2戦連続となる表彰台を獲得。3位には斎藤が入り、今期初の表彰台となった。

Driver’sVoice

優勝:#37 翁長実希

「決勝ではスタートで三浦選手に前に出てしまいましたが2周目に抜き返すことができました。そこからは次のメインストレートでスリップストリームに入られないところまで差を広げられれば私の勝ちだなと思っていたのですが、まさにその通りの展開になりました。クルマはバッチリ決まっていました。メカニックさんが私のコメントやオーダーに対して、クルマを合わせてくれました。路面温度が上がっていたので、そこは心配でしたけど、走れば走るほど安定してきて、ファステストラップも出せましたし、ペースを維持して走ることができました。ポイント差を広げられたことは嬉しいですが、安心しちゃダメだなと思っています。今年はチャンピオンを獲ることは最低条件だと思っていて、まだ誰も達成していないシリーズ全戦優勝を目指して行きたいなと思ってます」

2位:#38 猪爪杏奈

「思った以上に山本選手がストレートで速く、スリップストリームに入られると抜かれてしまうので、それを考えた差を作りたかったのですが、そこまで作り切れずに2番手集団の中に入ってしまいました。中盤で抜いてからは自分のペースで走ることで逃げられましたし、後ろもバトルをしてくれたので、そこで助かった部分はありました。ただ、そこから翁長選手に追いつくのは厳しかったです。もう少し自分のペースがほしいなと思いましたね。最初から常に一定のペースで走るのが大事で、集団の中に入ってしまうと自分の走りができなくなってしまうので、自分の走りをしながら逃げるというふうにしないといけないなと思いました。第3戦に向けては、ペースをもっと引き上げられるように準備をしていきたいです」

3位:#337 斎藤愛未

「自分としては良いスタートが切れたつもりでしたが、それ以上に後ろの2台が速くて、前に行かれてしまいました。さらに集団の中で合わせて走っていたら、また抜かれてしまって。そこがレースを振り返ると惜しかったところです。序盤はペースがあまり良くなくて、逆に後半で少しバランスがあったかなという感じでした。前が集団になって争ってくれていたので、追いつくことができました。かなり激しいバトルをしていたので、その中に飛び込んでいくのは勇気がいりましたが、相手の動きとかもしっかり観察できていたので、隙を見つけてパスしていきました。決勝日は気温も上がって太陽も出ていたので、後半はタイヤが苦しくなるだろうと思って、コントロールしながら走っていましたが、それもうまくいきました。決勝でのペースを考えれば2位も見える感じではあったので、そこは悔しいところです」