IPS PRO RD7-8 RACE REPORT

FIRST

山下 健太KENTA YAMASHITA

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 135

2ND

阪口 晴南SENA SAKAGUCHI

#3 INGING MOTORSPORT

TOTAL POINTS : 133

3RD

福住 仁嶺NIREI FUKUZUMI

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 108

4TH

野尻 智紀TOMOKI NOJIRI

#7 KIプロモート

TOTAL POINTS : 101

第7戦を制した山下健太が逆転で初のインタープロト王者に輝く

2023インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第4大会が11月25日(土)・26日(日)に富士スピードウェイで開催され、第7戦は#44 山下健太(NAVUL)、第8戦は#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)が優勝を飾り、2ポイント差で阪口を逆転した山下が、自身初のシリーズチャンピオンを獲得した。

今回も12台のIP車両が参戦したが、新たに#8 ルーニーアキランドダイワIPSがエントリー。プロフェッショナルレースでステアリングを握るのは、今季のSUPER GTでシリーズチャンピオンに輝いた川合孝汰。シーズン最終戦ながら国内トップカテゴリーを制したドライバーが新たにインタープロトシリーズに加わった。また第3大会を終えて、阪口が85ポイントでランキングをリード。それを山下が78ポイント、#7 野尻智紀(J-POINT)、#37 福住仁嶺(キーパー号)が66ポイントで追いかけている。最終大会は付与されるポイントが通常の1.5倍となるため、実質的に混戦模様という状況で、今季最後の大会が幕を開けた。

【予選】

11月下旬ということもあり、25日(土)は非常に寒いコンディションで予選セッションが始まった。開始5分を迎えるところで各車が一斉にピットアウトするが、いつも以上にタイヤのウォームアップを念入りに行っている様子だ。

最近のプロクラスでは、他車の背後について、自車が受ける空気抵抗を減らす「スリップストリーム」を使おうと、全体的に間隔を狭めてタイムアタックを実施することが多い。ただ、今回はその動きが顕著で、#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)を除く11台が一列に並び、タイムアタックに入っていった。

最後の1周で各車がタイムを更新していくなか、最終的にトップに立ったのは山下。2番手を0.3秒近く引き離す1分44秒752をマークした。2番手には福住が続き、単独の走行で最後にタイムアタックを終えたクインタレッリが3番手に入った。ポイントリーダーの阪口は4番手から、翌日の第7戦を迎えることとなった。なお、この結果により山下がポールポジションボーナスの3ポイントを獲得し、阪口との差を4ポイントに縮めた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#44 山下健太(NAVUL)

「前日の専有走行と比べて気温と路面温度がかなり低かったので、タイヤの温まりが心配でした。みんな考えていることは同じで、ロニー選手以外は集団になって走りましたが、その中でうまく間合いをとれました。クルマもすごく調子が良いので、トップを獲れて良かったです。チャンピオン争いのことは正直あまり考えていなくて、2レースとも勝って今シーズンを締めくくりたいです」

【決勝】

晴天に恵まれた26日(日)の決勝レース。まず行われた第7戦(9周もしくは17分)は、ポールポジションの山下が好スタートを決めた一方で、フロントローの福住が少し出遅れる格好に。その福住をTGRコーナーでとらえたクインタレッリが2番手に浮上した。いったんポジションを落とした福住だが、2周目のTGRコーナーからコカ・コーラコーナーにかけてクインタレッリに仕掛けていき、2番手を奪還。その隙をついて阪口も3番手に浮上した。

後方でも複数台による接近戦が展開。特に#27 ジュリアーノ・アレジ(表参道メディカルクリニック)を先頭とした5番手争いが白熱した。TGRコーナーではほぼ毎周のようにサイドバイサイドのバトルが繰り広げられたが、そんな中で逆転チャンピオンを狙う野尻が4周目にアレジを抜いて5番手に浮上。先行する上位4台を追いかけた。さらに後方では、初参戦の川合を先頭に、#55 宮田莉朋(人馬一体ドライビングアカデミー)、#71 国本雄資(アキランドIPS)も激しいポジション争いを繰り広げていた。

そんな後続のバトルを尻目に、トップの山下は、前半のうちに2秒近いリードを築く。ただレース後半になると、後続のライバルに迫られる展開となった。7周目には福住が0.5秒後方まで接近し、最終ラップのパナソニックコーナーでトップ攻略を狙ったが、順位は入れ替わらず。わずか0.1秒差で山下が逃げ切り、予選後に語った目標に向けて、まずは今季4勝目を飾った。2位には福住、3位には阪口が入った。この時点で、山下が111ポイントとなり、阪口を逆転。第8戦では2位以内に入れば無条件でチャンピオンが決められる状況となった。

第7戦の順位をもとにグリッドの再整列が行われ、今季の最終戦である第8戦(9周もしくは17分)がスタート。各車がフォーメーションラップを終え、2列の隊列を組んでスタートの瞬間を待っていたが、第7戦で11位に入った川合がシフトトラブルでピットイン。残念ながらここで戦線離脱となった。

第8戦は、山下、福住、阪口による三つ巴のトップ争いが序盤から白熱する。2周目のコカ・コーラコーナーで阪口が福住をかわして2番手に浮上すると、チャンピオン獲得に向けて徐々に山下との差を詰めていく。レースの折り返し地点を過ぎ、6周目のコカ・コーラコーナーで逆転を果たし、トップに浮上した。

後方でも第7戦と同様に激しいバトルが繰り広げられたが、なかでも光る走りを見せたのが、今季のスーパーフォーミュラ、SUPER GT(GT500)でダブルチャンピオンに輝いた宮田。スタート直後には最下位に下がるものの、コーナーでの速さを活かして順位を上げていく。6周目には1分46秒365のファステストラップを記録し、最終的に7位までポジションアップした。

トップ争いでは、阪口に対し、山下が少しずつ引き離されていく展開となった。2番手を走る山下は、これ以上ポジションを下げるとチャンピオンの権利が阪口に移ってしまう。後方から福住が猛追してくるが、山下はこれを必死にかわし、2番手を死守する。

最終ラップに入り、山下と福住の2番手争いはパナソニックコーナーを立ち上がって、ゴールラインまで続いたが、最後まで順位が入れ替わることはなく、チェッカーフラッグ。2台が激しく争っていることで余裕が生まれた阪口がトップチェッカーを受け、今季2勝目を飾った。2位には山下、3位に福住が続いた。

これにより、山下が135ポイントとなり、自身初となるインタープロトのシリーズチャンピオンを獲得。阪口は、わずか2ポイント差でランキング2位。同3位は福住(108ポイント)となった。

Driver’s Voice

第7戦 優勝、第8戦 2位:#44 山下健太(NAVUL)

「1レース目のスタートで後ろを引き離せたので、このまま逃げ切れると思ったのですけど、周回を重ねるにつれて後続に詰められる展開になりました。2レース目は厳しくなるだろうなと思ったのですが、その通りになりました。なんとか阪口選手を抑えたかったですけど、抑えきれなかったです。インタープロトは相手の後ろにつくと速さが戻ることがあるので、残り周回でチャンスはあるのかなと思いましたけど、仕掛けることはできなかったです」

第7戦 3位、第8戦 優勝:#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)

「第7戦が終わった後に、チームにポイントを計算してもらって、僕が優勝して山下選手が3位にならないとチャンピオンを獲れないと聞きました。そうなると、自分としては勝つことだけを考えて、最後締めくくれるようにというところを考えました。ペースは良くないかなと思っていましたが、2レース目が始まると前についていくことができました。今回も力強いクルマを作ってくれましたし、ここまで安定した速さを引き出せたシーズンはなかったので、本当にチームの皆さんには感謝したいです」

第7戦 2位、第8戦 3位:#37 福住仁嶺(キーパー号)

「第1レースのスタートを失敗してしまって、ロニー選手に前に行かれましたが、その後すぐに抜き返すことができました。ペースも今までと比べると悪くなかったですが、あと少し、ストレートスピードの伸びの部分で、トップと比べると足りなかったです。2レース目で3番手に落ちた後、またチャンスがあれば前に出ようと思っていましたが、前の2台にストレートで離されてしまうので、オーバーテイクには至りませんでした。あとちょっとスピードが欲しかったなという感じでした」

2023シリーズチャンピオン:#44 山下健太(NAVUL)

「最後は2位でしたけど、チャンピオンを獲ることができて嬉しいです。僕自身、インタープロトは長い間出ていますけど、チャンピオンを獲れていないことが気がかりでした。本当は勝って終わりたかったですけど、第1大会でレースができなかったことを考えると良かったです。すごいドライバーたちが参戦しているレースなので、このチャンピオンは誇りに感じます」