IPS PRO RD7-8 RACE REPORT

FIRST

坪井 翔SHO TSUBOI

#32 GR GARAGE YOKKAICHI

TOTAL POINTS : 126

2ND

山下 健太KENTA YAMASHITA

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 113

3RD

阪口 晴南SENA SAKAGUCHI

#3 INGING MOTORSPORT

TOTAL POINTS : 113

4TH

野尻 智紀TOMOKI NOJIRI

#7 KIプロモート

TOTAL POINTS : 90.5

最終戦にふさわしい白熱のバトルの末、坪井翔が2度目のチャンピオンを飾る

2022 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第4大会が12月11日(土)・12日(日)に富士スピードウェイで開催され、第7戦は#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)、第8戦は#44 山下健太(NAVUL)が優勝。第8戦で2位に入った#32 坪井翔(NETZ NOVEL MIE)が、2度目となるインタープロト シリーズチャンピオンに輝いた。

シーズンを締めくくる最終の第4大会には、#72 アキランドIPSが新たにエントリーし、プロフェッショナルレースには国本雄資が参戦。これでインタープロトクラスは今シーズン最多の12台となり、熾烈なバトルが繰り広げられた。

▶︎予選

1日(土)に行われた公式予選では、今回もスリップストリームを使おうと、全車が同じタイミングでピットアウト。
前回の第3大会でポールポジションを獲った#7 野尻智紀(J-POINT)の後ろにつこうと、非常にゆっくりしたペースでタイヤのウォームアップが始まった。

集団からいち早く抜け出してタイムアタックに入ったのが、#27 ジュリアーノ・アレジ(表参道メディカルクリニック)。順調にタイムを上げて行き、1分45秒859でトップに立った。残り3分を切ったあたりから残りの車両もペースアップしていくが、#88 佐々木大樹(Pastel Motorsport)がマシントラブルを抱えてしまい、アタックができないままピットインを余儀なくされた。

各車がタイムアタックに入ると、集団の前の方にいた#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)が、1分45秒213を記録しトップに躍り出るが、次の周のコカ・コーラコーナーでスピンを喫してしまい、それ以上のタイム更新はならなかった。またこの影響で、後ろでアタックをしていた数台は影響を受けてしまい、特に野尻はクラッシュを回避した結果、走路外走行をとられることに。その周にベストタイムを記録していたが、これが削除となり、最後尾に下がる結果となった。

この混乱のなかでアタックをまとめたのが山下。1分45秒166を記録し、今季2度目のポールポジションを獲得した。2位には阪口、3位には#8 大滝拓也(表参道メディカルクリニック)が続いた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#44 山下健太

「最後の1周はみんなアタックするだろうから、それまで耐えようと思っていました。前の方でゴチャゴチャしていても、それより遅い速度で走って、後ろに待機するという作戦がうまくいきました。そもそも予選一発は速いので、今回は戦略とクルマのセッティングも、全部うまくいったかなと思います。まだ逆転チャンピオンの可能性も残っていますし、今年最後のレースということもあります。ここで勝って、チャンピオンを獲れれば、気持ちよく年を越せます。それを目標にして、明日の決勝も頑張りたいです」

▶︎第7戦決勝

他のレースで赤旗中断があったこともあり、予定より10分遅れの15時05分から9周で争われた第7戦決勝。ポールポジションの山下がトップでTGRコーナーを通過するも、阪口がぴったりと背後につけてトップ浮上の機会を伺っていた。一方、最後尾スタートの野尻が1周目から積極的にオーバーテイクを仕掛けて行き、ポジションを上げていった。

トップ争いは山下と阪口の一騎打ちとなり、メインストレートからTGRコーナーにかけて、阪口が何度も並びかけるが、山下もしっかりとイン側のスペースを守ってポジションを維持。その後方では、大滝、#55 宮田莉朋(人馬一体ドライビングアカデミー)の3番手争いに#37 福住仁嶺(キーパー号)と坪井が追いつき、4台による接近戦がスタートした。まずは6周目のTGRコーナーで宮田が3番手に浮上すると、その隙を逃さず福住もダンロップコーナーで大滝に並びかけていき、サイドバイサイドの展開に。そこで生じた隙をついて坪井が13コーナーで2台をごぼう抜きし、一気に4番手まで浮上した。予選では6番手と後方に下がってしまった坪井は、タイトル獲得のためには表彰台圏内まで挽回する必要があり、そのまま前の集団を追いかけた。

一方、トップ争いは阪口が再三TGRコーナーで仕掛けようとしていたが、なかなか突破口を開くことはできなかった。それでもそれでも諦めずにチャンスを探り続け、8周目のダンロップコーナーでインを突いて、オーバーテイク。ついにトップに浮上した。その後も2台による激しい攻防戦が展開されたが、阪口がトップチェッカーを受け、今シーズン初優勝を飾った。2位には山下、3位に宮田が入り、今季初の表彰台となった。

この最終大会では、獲得できるポイントは通常の1.5ポイントとなる。ランキング首位の坪井は4位に入ったことで102ポイントに。これに対し優勝して30ポイントを加算した阪口は95ポイントでランキング2位に浮上した。

▶︎第8戦決勝

第7戦の到着順でグリッドに再整列し、9周で争われる第8戦がスタート。まずはグリッド通り、阪口、山下の順でトップ2台はTGRコーナーを通過する。その背後では坪井が宮田をコカ・コーラコーナーでパスし3番手に浮上、トップ2台を追いかけた。

2周目に入ると、3番手争いが白熱。宮田、福住、野尻の3台が並んでTGRコーナーに飛び込むと、その混戦に乗じて後方集団も追いつき、コカ・コーラコーナーに突入。ここで宮田が挙動を乱し、コースオフしてしまうが、大きな順位後退はなくコースに復帰。このバトルは野尻が制し、4番手を手にした。中団グループのバトルは2周目を終えるところまで続いたが、その途中で国本とアレジが接触。2台ともマシンにダメージを受け、リタイアとなってしまった。

トップ争いは阪口、山下の2台に坪井も追いついての三つ巴状態となる。阪口に対して山下が仕掛けていくという展開を後ろから冷静に見守っていた坪井だが、そこにファステストラップを刻みながら追い上げてきた野尻も加わり、レース中盤には4台によるトップ争いが始まった。それぞれにチャンスを伺ってオーバーテイクを仕掛けるが、なかなか順位変動には至らない。そんな中で突破口を見出したのが山下で、6周目の最終パナソニックコーナーで阪口のインを突きトップを奪い返した。

逆転王座のためには優勝が必要な阪口は、再び山下を攻略しようと各コーナーで攻め込むが、山下も行く手を阻むようにトップを死守した。その攻防戦はファイナルラップまで続いたが、その13コーナーで隙を見つけた坪井が阪口を抜いて2番手に浮上。結局、最終コーナーを立ち上がっても、山下、坪井、阪口、野尻の4台がひしめき合っている状態で、4台が密集した状態でチェッカーフラッグ。山下が今シーズン2勝目をマークした。2位に坪井が入り、第7戦優勝の阪口は3位。直後には4位の野尻がゴールしたが、わずか0.337秒以内にトップ4台がひしめく、インタープロト史上でも稀に見る大接戦となった。

この結果、坪井が126ポイントとなり、2019年以来のチャンピオンに輝いた。山下と阪口は113ポイントで並んだが、勝利数の多い山下がランキング2位を手にした。

Driver’s Voice

第7戦 優勝、第8戦 3位:#3 阪口晴南

「1レース目は序盤からバトルがありましたが、大きなチャンスを一発で仕留めることができました。その後の山下選手の攻めからもポジションを守って勝つことができたので、非常に良い結果だったと思います。2レース目はフィーリングも良く、トップに値するクルマの感触はあったので、そこでトップで戻ってこられなかったのは、自分のせいだなと思います。決して油断したわけではありませんが、最終コーナーであの距離から仕掛けられるのは、正直考えていなくて、そこは山下選手がうまかったです。終盤は厳しいブロックで、なかなか前に行かせてもらえず、軽い接触もありましたが、お互いコース上に留まってゴールができました。すごく見応えのあるレースを見せられたかなと思います。個人的には残念なところはありますけど、クルマの調子が良いので、来年またリベンジしたいなと思います」

第7戦 2位、第8戦 優勝:#44 山下健太

「1レース目は最初から、阪口選手からのプレッシャーをしのぐという展開でしたが、途中のダンロップコーナーで阪口選手がインのさらにイン側を攻めてきたので、自分もちょっと引き気味になってしまい、抜かれてしまいました。ただ、寒い時期のインタープロトは他の車両の後ろについているとグリップが復活する傾向があるので、なんとか阪口選手にはついていけていました。2レース目は、最終コーナーでは、少し距離がある状態で無理やりでしたが、飛び込んで抜いていきました。残り3周の押さえ込みは、ちょっと強引ところもありましたが、最後は何としても勝ちたかったので……。トップでチェッカーを受けられて良かったです。第1大会が出られなかったので、ランキングのことは考えていませんでしたが、最善の結果は残せたのかなと思います」

第7戦 4位、第8戦 2位:#32 坪井翔

「今週は練習走行から絶不調で、予選も6番手で終えられたのが奇跡なくらいでした。ポイントを争っている山下選手と阪口選手が速いことは分かっていましたし、レースで逃げていくと思ったので、1レース目で2台か3台抜きたいと思っていました。全然抜けなくて『まずい!』と思いましたが、3番手争いの混戦でチャンスをものにできたので、1レースを4位で終えられて、やれることはやれました。2レース目も、スタート直後に宮田選手を抜いて順調にいったんですけど、(2番手の)山下選手が速そうで、僕は抜ける感じではなかったので『阪口選手を抜いてくれ!』と他力本願で待っていたら、野尻選手がものすごい勢いで追いかけてきて、逆に『これはマズイ!』となりました。なんとか野尻選手からポジションを守りきって、最後はトップ2台が争ってくれて2位に上がれましたけど……。本当に(チャンピオンを)獲れなくてもおかしくないくらいの調子の悪さだったので、粘り強く戦えてよかったです」

第7戦 3位、第8戦 5位:#55 宮田莉朋

「予選で4番手を獲得できて、1レース目も本来は速いクルマが後ろでバトルをしてくれたことで3位になれたのかなと思います。2レース目はストレートというか、5速に入るまでが遅いので、それを何とか良くしようと努力していましたが、それが改善しきれず、2レース目はあの順位(5位)になりました。でも、抑え切るところは抑えきれたと思います。2レース目でトップ4に入ったクルマは、僕がいつも足りないと感じている加速が良い車両なので、それを踏まえた上で走ると、この結果はよかったのかなと思いますし、ようやくドライコンディションでも前にいられるようになったので、最終大会ですが良いところに行けたのかなと思います」

シリーズチャンピオン:#32 坪井翔

「久しぶりのチャンピオンは嬉しいです。最終戦の前はポイントもそれなりにリードしていたので『この感じで行けば』という思いはありましたが、ここまで追い込まれるとは思いませんでした。今週末はエンジニアと色んなことを考えて試して、その結果が報われたので、非常によかったです嬉しいです。あとは直前のKYOJO CUPで妻(斎藤愛未選手)が優勝を獲り損ねていて、その悔しさはドライバーだからこそ、分かることもすごくありました。どうしても彼女のためにも『僕がここで獲らなきゃいけない』という強い思いで挑んで、それで勝ち取れたチャンピオンかなと思います」