IPS PRO RD5-6 RACE REPORT

FIRST

福住 仁嶺NIREI FUKUZUMI

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 62

2ND

山下 健太KENTA YAMASHITA

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 52

3RD

藤波 清斗KIYOTO FUJINAMI

#7 KF MOTORSPORT

TOTAL POINTS : 51

4TH

阪口 晴南SENA SAKAGUCHI

#96 K-tunes Racing

TOTAL POINTS : 50

関口雄飛と野尻智紀が今季初優勝。福住仁嶺がランキングトップへ

2021 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer第3大会が9月25日(土)~26日(日)に富士スピードウェイで開催され、プロフェッショナルレースの第5戦は#55 関口雄飛(人馬一体ドライビングアカデミー)が、第6戦は#7 野尻智紀(J-Gear KIプロモート)がそれぞれ今季初優勝を飾った。

富士スピードウェイが東京オリンピック/パラリンピックの自転車競技会場となっていたこともあり、同地でのレース開催は約3ヶ月半ぶり。金曜日の練習走行から、各チームとも念入りに針仕込みをしていた。

▶︎予選

25日(土)の予選日は、早朝に雨が降ったものの、10時15分から始まったプロフェッショナルレースの予選ではドライコンディションとなっていた。セッション序盤はCCS-R、SUPRAクラスの車両がコースインしタイムアタックを行い、IP車両はピットで待機。開始5分を経過したところで続々とコースインしていった。

この中でいち早く好タイム記録したのが関口で、1分44秒984を記録しトップに浮上する。これに対しライバルも肉薄。なかでも第2大会を終えてポイントランキング首位につける#44 山下健太(NAVUL)が渾身のアタックを見せたが、結果は1分45秒007と、わずかに0.023秒届かなかった。

このまま関口がポールポジションかと思われたが、最終ラップのアタックで#32 坪井翔(NETZ NOVEL MIE)が、1分44秒984をマークし、0.001秒まで同タイムで関口に並んだ。規定では先に計測していた方の順位が上となるため、関口が今季初のポールポジションを獲得。2番手には坪井、3番手には山下が入った。

Driver’s Voice

ポールポジション:#55 関口雄飛

「万全の体制で今日を迎えたわけではなかったですが、いろいろ修正ができて、それがこの結果につながりました。もう少し詰めないといけない部分はありますが、ここまでの成績を考えたら、一つのステップを踏めたかなと。トラックエンジニアが今年初めてのメンバーで、本人もここまで辛かったと思うけど、一つ形になって喜んでいると思うし、自分がポールポジションを獲ったことで喜んでもらえる環境を作れたことにホッとしています。明日の決勝に向けてもしっかり準備して、やるからには優勝を目指します」

▶︎決勝

午前中に行われたジェントルマンレース第6戦で複数台が絡むアクシデントが発生。これにより数台のマシンが大きなダメージを受け、山下、#96 中山雄一(岡山トヨペットK-tunes)、#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)が、プロフェッショナルレースに出走できなくなり、IP車両は7台で争われることとなった。

直前から降り始めた雨の影響で、ウエットコンディションでレースがスタート。ポールポジションの関口が好スタートを決めてTGRコーナーをトップで通過したが、2番手スタートの坪井が序盤から積極的に攻めていく。3周目のコントロールライン通過時に関口の0.1秒後方に迫った坪井は、そのままTGRコーナーでオーバーテイクを試みたが、ブレーキングで止まりきれずにコースオフ。これにより#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)が2番手に浮上した。

そのクインタレッリも6周目に関口を攻略しようとするが、こちらもTGRコーナーでコースオフを喫してしまい、4番手に交代。序盤はタイヤの内圧が狙い通りにいかず苦戦を強いられていた関口だが、ライバルの猛追を耐え凌ぎ、1秒以上のギャップを作ることに成功した。

7周目に入ると、坪井と野尻による2番手争いが白熱し、セクター3で抜きつ抜かれるのバトルを披露する。2人のサイドバイサイドの展開は続き、8周目のADVANコーナーで野尻がついに2番手に浮上した。

その勢いで、野尻は今度はトップの関口に急接近。最終ラップのパナソニックコーナーを立ち上がったところで背後につけたが、わずか0.1秒差で逃げ切った関口がトップチェッカーを受け今シーズン初勝利を飾った。2位には野尻、3位には坪井が入った。

第5戦の到着順ですぐにグリッド再整列が行われ、第6戦がスタート。ここでは関口の加速が一瞬鈍り、各車が混戦状態のままTGRコーナーに突入していく。タイヤをロックさせ、ラインを膨らませてしまった関口をかわし、3番手スタートの坪井がいったんトップに立つが、続くコカ・コーラコーナーで野尻がアウト側からオーバーテイク。目まぐるしくトップが入れ替わるスタート直後の展開となった。野尻に続いて#37 福住仁嶺(キーパー号)も坪井を抜きにかかったが、コカ・コーラコーナーの出口で接触。この影響で坪井はスローダウンしてしまい、ポジションを落とすことになった。

その後もトップ争いは白熱し、パナソニックコーナーでは福住が野尻を抜きにかかるが、ここではポジションは変わらず。2周目のTGRコーナーでは3番手の関口が福住を抜きにかかったが、コーナーの立ち上がりで接触してしまい、関口がスピン。さらに接触の衝撃でサスペンションアームが曲がってしまい、ピットに戻ってリタイアとなってしまった。

後続の混戦のうちにリードを広げつつあったトップの野尻だが、レース後半になると福住が徐々に接近。野尻がTGRコーナーで少し膨らんだところを狙うが、順位を入れ替えるには至らず。最後まで緊迫したトップ争いとなったが、野尻が0.3秒差で逃げ切りトップチェッカー。今シーズン初勝利を飾った。2位には福住、3位にはクインタレッリが入った。4位には、レース中盤から#88 佐々木大樹(Pastel Motorsport)と激しい争いを繰り広げていた#19 藤波清斗(GARDEN CLINIC RT)が入り、ランキング3位をキープする10ポイント獲得を果たしている。

この結果により、ポイントランキングでは福住が62点に伸ばして首位に浮上。2位に52点の山下、3位に51点の藤波がつけた。最終大会では獲得ポイントが1.5倍となるため、4位以降の多くのドライバーにもチャンピオン獲得の可能性が残っている。

Driver’s Voice

第5戦 優勝:#55 関口雄飛

「自分のリクエストでタイヤの内圧を高めに設定しましたが、それがうまく噛み合わなくて苦しかったです。それでも1コーナーでのブレーキングで何とか粘ってトップを守りました。最後は野尻選手が背後に来ましたけど、その時点である程度マージンもあったので、タイヤを冷やしたりなど、おさえる走りで1レース目をゴールしました。2レース目は、スタートや1コーナーでうまくいかないことが多くて順位を落としてしまいました。次の周で混戦のなかでポジションをあげようとしましたが、1コーナーの立ち上がりで福住選手と当たってしまいました。仕方がないアクシデントでしたが、その時にサスペンションのアームが曲がってしまって、レース続行は不可能でした。

昨日のジェントルマンレースで同じチームの寺川(和紘)選手が優勝してくれて、ここまで自分がコーチングし、一緒にやって来たことが成果として現れたのは嬉しかったです」

第5戦 2位・第6戦 優勝:#7 野尻智紀

「決勝レース前にあったチェック走行の時に、ウエットコンディションの確認をしましたけど、いつもよりグリップしている感じがして『意外といけるかも』という自信みたいなものはありました。レースが始まって周りを見渡すと、トラクションがかからないクルマとか、ブレーキングで苦労しているクルマが多かったので、いけそうな自信はありました。ただ、1レース目の最初はみんな(オーバーテイクなど)動きが大きかったので、ここで無理をして変なことに巻き込まれると勿体ないなと思い、周りのバトルが落ち着くまで様子をみて、そこから1台ずつ抜いていこう、1レース目は上がれるところまで上がろうという感じでした。2レース目は、福住選手にブレーキングで迫られることが多かったですけど、コーナリングでは僕の方に分がある印象だったので、とにかくミスをしないように、自分の速いところでしっかりと引き離せるように心がけて、集中して走りました。

2018年の最後にインタープロトに参戦を始めて、2019年も第3戦までは連勝していたんですが、そこから勝てなくなって、ずっと“暗黒の時代”のような感じで……。2年以上勝てていませんでした。その間、不甲斐ないレースが多すぎたので、申し訳ないなと思っていました。その分、今日はせっかく巡ってきたチャンスだったので、SUPE GTやスーパーフォーミュラでやっている時と同じように集中して、タイムを削っていくということをやれたので、それも結果につながったのかなと思います」

第5戦 3位:#32 坪井翔

「ウエットコンディションではあまり調子が良くなかったので、追われる展開になって厳しかったです。やっぱり本音を言うとドライコンディションでレースがしたかったですね。その中でも1レース目は混戦の中で3位を獲得できましたし、2レース目はスタートがすごく良くて、トップに立てたんですけど、コカ・コーラコーナーで福住選手と接触があり、右フロント部分がおかしくなってしまってまっすぐ走らない状態になってしまいました。そこで勝負権を失ってしまいましたが、速さは足りていなかったので勝つのは難しかったのかなと思います。クルマもトラブルが続いているので、まずはそれらを解消して、最終大会に臨みたいと思います」

第6戦 2位:#37 福住仁嶺

「今回のレースからマシンの方向性を変えて、色々なものを試しながら、新しく発見したものもありました。その中で1レース目は5番手からのスタートでしたが、前半はバランスが良くなくてペースを上げられず苦しんではいました。でも、終盤に4番手に上がることができましたし、前のクルマのペースを見ていると、意外と苦しそうだなという印象があったので、もしかすると2レース目でチャンスがあるかもしれないと思って、1レース目を終えました。2レース目が始まってから坪井選手、関口選手と接触がありましたけど、しっかりとコース上に留まることができました。その後はトップとの戦いで、野尻選手も何度かミスがあってチャンスが出てくるかなと思いましたけど、2位でレースを終えることになりました。今大会でチャンピオン争いも、面白い展開になったと思います。とにかく、最後までしっかりと良いレースをしたいです」

第6戦 3位:#16 ロニー・クインタレッリ

「コンディションに合わせてウエットタイヤも新品でいくのか中古でいくのか、色々と選択肢があって悩みました。僕たちとしては第1レースでフィーリングが良くて、2番手まで順位を上げられました。その後、関口選手とのバトルでは1コーナーで止まりきれなくて、真っ直ぐいってしまいました。それで流れが悪くなってしまいましたね。それでも第2レースは『まだまだチャンスだ!』と思っていったんですけど、第1レースと比べて水の量が減っていって、僕たちが選んだタイヤの内圧が裏目に出てしまいました。でも、最終的に表彰台に乗れてよかったですし、インタープロトらしく各所でバトルがあって面白いレースでした」

第5戦上位3名
第1位 #55 関口雄飛選手
第2位 #7 野尻智紀選手
第3位 #32 坪井翔選手

第6戦上位3名
第1位 #7 野尻智紀選手
エアージェイ賞
第2位 #37 福住仁嶺選手
エアージェイ賞
第3位 #16 ロニー・クインタレッリ選手(EDIFICE賞含む)
EDIFICE賞
エアージェイ賞

ポールポジション獲得#55 関口雄飛選手
ファステストラップ記録#7 野尻智紀選手
ベストガレージ賞#7 TOMEI SPORTS

副賞
EDIFICE賞
エアージェイ賞