IPS PRO RD3-4 RACE REPORT

ポールポジションの利を活かした山下健太と、ワンチャンスで逆転を決めた坪井翔が第2大会の勝利を分け合う

2022 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第2大会が10月22日(土)・23日(日)に富士スピードウェイで開催され、第3戦は#44 山下健太(NAVUL)、第4戦は#32 坪井翔(NETZ NOVEL MIE)が優勝を飾った。

5月の開幕大会から、長いインターバルを経ての開催となった第2大会。新しく#8 表参道メディカルクリニックが新規参戦を果たすなど、インタープロトクラスは10台で争われた。しかし、#7 野尻智紀(J-POINT)はジェントルマンレースの公式予選でアクシデントがあり、車両の修復が間に合わないことから、プロレースの公式予選を欠場することとなった。

▶︎予選

残る9台で争われた公式予選。各車ともベストポジションでタイムアタックをしようと、ピットアウト直後から激しい駆け引きが行われた。そんな中で、いち早く好タイムを記録したのは、IPSでのレースは今季初となる山下だった。開始10分を過ぎたところで、1分45秒133をマークすると、翌周にはさらにタイムを縮め、1分45秒115をマークして、ライバルとの差を大きく引き離した。

これに対し、ポールポジションを狙う各ドライバーも終盤になってタイムを更新。#88 佐々木大樹(Pastel Motorsport)が1分45秒280、#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)が1分45秒355と、山下に迫るタイムを記録するが、トップには届かない。最後に坪井が1分45秒241を叩き出して2番手に食い込むが、これも逆転トップとはならなかった。

ここでチェッカーフラッグが振られ、セッション終了。山下が、今季初レースで見事ポールポジションを獲得した。

Driver’s Voice

ポールポジション:#44 山下健太

「僕にとっては久しぶりのIPSになります。一発のアタックで細い糸をたどっていって、ベストを出すような感じなので、そこを攻めていくのは面白いなと思いますが、難しいなと感じるところも多々ありました。予選は、ポジション取りの争いがすごかったですね。自分はスリップストリームを使うつもりでいたので、前のクルマがアクセルを緩めても、自分は緩めずに真後ろについていって、スリップストリームもかなり使いました。絶妙な間合いでアタックができました。

クルマも昨日から少しオーバーステアのような感じもありましたが、そこはしっかり修正して、タイムを出すことができて良かったです。予選の一発はもともと自信があるんですけど、いつも決勝でズルズルと下がっていってしまうので、そうならないようにしたいなと思います」

▶︎決勝

アクシデントにより公式予選に出走できなかった野尻だが、関係者の協力により別の車両を用意。白いカラーリングではあるが、7号車が復活し、決勝レースではインタープロトクラス最後尾からの出走が決まった。

プロフェッショナルの決勝は第3戦・第4戦ともに9周で争われた。各車が隊列を整え、まずは第3戦のスタートが切られたのだが、各車とも後半へのタイヤ温存なのか、目立った攻防戦もなく各車がTGRコーナーを通過した。

1周目はグリッドとほぼ同じ順で通過したが、2周目で仕掛けにいったのは、4番手スタートの阪口。3番手の佐々木に対してTGRコーナーで並びかけ、コカ・コーラコーナーでオーバーテイクに成功。その後、#37 福住仁嶺(キーパー号)も4番手に浮上した。

一方、トップ争いは序盤から山下がリードを広げにかかったが、周回を重ねるごとに2番手の坪井が差を縮めていき、4周目には0.3秒差まで接近。さらに残り2周になると阪口と福住も接近し、これまでこう着状態だったトップ争いが、一気に白熱することとなった。

そのなかで最初に動いたのは坪井。ファイナルラップに入ったところで山下に対して仕掛けていき、何度かイン側を狙うようなそぶりを見せた。しかし、横に並びかけるまでには至らず、山下がそのままトップでチェッカー。今季初参戦のレースを見事勝利で飾った。2位には坪井、3位には阪口が続いた。



第3戦の到着順でグリッドの再整列が行われ、第4戦のレースがスタート。ここでは、序盤から各所でサイドバイサイドのバトルが展開され、TGRコーナーでは第3戦とは打って変わって、激しいポジション争奪戦が展開された。

その中で、山下、坪井、阪口の3台が集団から抜け出し、第3戦と同様の激しいバトルを展開。ここでも積極的に仕掛けていったのは坪井で、2周目に0.2秒後方まで迫ると、3周目のTGRコーナーで山下のイン側に飛び込み、オーバーテイクを決めた。そのままハイペースで周回した坪井は、1分46秒154のファステストラップをマーク。一気に山下との差を広げにかかった。

その間、後方でも一進一退のバトルが続いていたが、そのなかでも光る走りをみせたのが最後尾スタートの野尻。車体が変わったことによるフィーリングの違いを懸念していたものの、序盤からペースよく周回を重ね、前のマシンを次々とオーバーテイク。第3戦の7位から、さらに順位を上げて第4戦では4位に浮上した。

一時は1秒近いリードを築いた坪井だったが、後半に入ると山下がペースを取り戻し、再び坪井との差を縮めた。8周目のパナソニックコーナーで抜きにかかろうとするが、坪井もしっかりと牽制しポジションは変わらず。最終ラップもサイドバイサイドになることはなく、そのままチェッカーとなり、坪井が今季2勝目を挙げた。2位には山下、3位には阪口が入り、第3戦と同じ顔ぶれが表彰台に上がることとなった。

Driver’s Voice

第3戦 優勝、第4戦 2位:#44 山下健太

「今年初めての参戦になりましたが、改めて『インタープロトって難しいな』と思うところが多々ありました。決勝では今までの流れを考えると、後半にタイヤがタレるだろうなと思ったので、1レース目はちょっと抑え気味で走っていたんですけど、先頭を走っている時の方がバランスが苦しくなってくる感じがありました。坪井選手の方が速そうだなという印象を受けて1レース目が終わって、2レース目は厳しくなるだろうなと思いました。最初の2周は比較的大丈夫でしたが、周回を重ねるごとにどんどんキツくなってきた。(追い抜かれた時は)正直、仕掛けてこないだろうなと思っていたところをやられてしまったので、ちょっとダサかったですね」

第3戦 2位、第4戦 優勝:#32 坪井翔

「1レース目の終盤から僕の方がペースが良さそうだったので、2レース目にチャンスはあるなと思っていました。ただ、前回(第1大会)で2レース目の序盤からバトルをしたことで混戦状態になって、結局(接触で)リタイアしてしまいました。そうなるのは嫌だったので、仕掛けるちょっと待っても良いのかなと思っていました。ただ、思ったよりも追いつくことができましたし、1周目で後ろとの差も離れたので『仕掛けても良いのかな?』と思ったのと同時に、『抜いたらすぐに引き話さないといけない』と考えていました。そこは予定通りにできて、あとは山下選手が阪口選手とバトルしてくれれば、余裕で優勝だなと思ったんですけど、そこから思ったほど僕のペースが上がらず、だんだん追いつかれてしまいました。コックピット内でちょっとしたトラブルがあって、それに気を取られて集中力が途切れそうでしたけど、なんとか持ちこたえることができました。今季は前回の2レース目(第2戦)以外は、ずっと上位でレースができているので、シリーズのポイントを考えても今回の結果は大きかったかなと思います」

第3戦 3位、第4戦 3位:#3 阪口晴南

「1レース目のスタート後の早いタイミングで1台パスすることができました。そこから前の集団に食らいつけるか、後ろの集団に飲み込まれるか微妙なところでしたが、ペースが良くてクルマもうまくいっていたので、前の2台に追いつくことができました。ただ、2台も速かったので捕らえるまでにはいかなかったですけど、今までよりもレースペースの改善はかなりできている感じなので、そこは良かったと思います。路面温度が下がってガソリンの少なくなってきた2レース目の後半は、前の2台が速くて仕掛けられる感じではなかったので、そこについては次大会に向けて作戦を練り直したいなと思います」