IPS PRO RD1-2 RACE REPORT

FIRST

福住 仁嶺NIREI FUKUZUMI

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 24

2ND

山下 健太KENTA YAMASHITA

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 24

3RD

坪井 翔SHO TSUBOI

#32 GR GARAGE YOKKAICHI

TOTAL POINTS : 20

4TH

関口 雄飛YUHI SEKIGUCHI

#55 人馬一体ドライビングアカデミー&KTR

TOTAL POINTS : 16

2021年インタープロトシリーズ開幕。山下健太と福住仁嶺が勝利を分け合う

2021 インタープロトシリーズ powered by KeePerの第1大会が6月5日(土)~6日(日)に富士スピードウェイで開催され、プロフェッショナルレース第1戦は#44 山下健太(NAVUL)、第2戦は#37 福住仁嶺(キーパー号)がそれぞれ優勝を飾った。

昨年は新型コロナウイルス感染防止対策の一環として、予選・決勝を1日で開催していたが、今年は感染防止対策をしっかりと講じた上で、土曜と日曜の2デイ開催が復活。また今年から、新たにTOYOTA GR SUPRA GT4を対象とした『SUPRA』が新設され、3台がエントリー(うち1台は賞典外)。IP車両12台、CCS-R車両4台と合わせ、合計19台でシーズン開幕を迎えた。

▶︎予選

午前9時50分から始まったプロフェッショナルレースの公式予選は、曇り空の中ドライコンディションで行われた。今回は総勢19台がエントリーしていることもあり、コース上の一部で混雑するところも見られたが、各車ともポールポジションを目指して、セッション序盤から積極的にタイムアタックを行っていった。その中で、頭ひとつ抜け出る走りを見せていたのが、2019年以来のインタープロト参戦となる山下。周りが1分47秒台前半のタイムで推移している中、それを1秒近く上回る1分46秒198を叩き出したのだ。

セッション終盤にはライバルたちも1分46秒台に入れてきたが、トップとは0.5秒以上も差が付いている状態でチェッカーフラッグとなり、山下が圧巻の走りで開幕大会のポールポジションを奪取した。2番手には昨年王者の福住、3番手には#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)がつけた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#44 山下健太

「このタイム差は自分でもビックリしました。事前の練習走行の段階からベースのセットアップがとても良く、そこから自分好みに微調整させてもらって、すごくいい状態に仕上がっているのは間違いないです。本当にチームのみなさんに『ありがとうございます!』と言いたいです。タイムアタックの位置取りも良くて、関口選手、坪井選手、中山選手がピットアウトして、その後ろについていく感じでした。微妙にスリップストリームも効いていたかもしれないです。インタープロトの一番難しいところは、決勝レース。あの混戦の中で競り勝たなきゃいけないんですが、このタイム差を考えれば、うまくいけば逃げられると思います。スタートから逃げていって、独走で勝ってみたいですね」

▶︎決勝

6日(日)の決勝は、直前に降った雨の影響で路面は濡れていたが、上空は少しずつ明るくなり始め、コンディションの回復を予感させた。そのためスターティンググリッドでは各車とも、どのタイヤを装着するかギリギリの時間まで悩む様子を見せていた。まだ路面上にある程度の水が残っているということもあり、IP車両はほとんどのマシンがウエットタイヤをチョイス。唯一、11番手スタートの#8 大滝拓也(J-Gear KIプロモート)がスリックタイヤを装着してグリッドを離れた。

ローリングスタート形式でレースが始まると、ポールポジションの山下がトップでTGRコーナーに進入していく。後方では激しい順位争いが展開されたが、コカ・コーラコーナーで#7 野尻智紀(CARGUY IPS)がスピンを喫し後退。マシンにダメージはなかったのだが、野尻はすぐにピットインしてスリックタイヤに交換し、路面が乾くであろう第2戦に備えた。

さらに2周目には#55 関口雄飛(人馬一体ドライビングアカデミー)、5周目には福住が相次いでピットインしスリックタイヤに交換。終盤には#88 佐々木大樹(Pastel Motorsport)、#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)、#25 三浦愛(TAO team SAMURAI)もスリックタイヤを求めてピットに戻ってきた。

そんな中、山下は順調に後続との差を広げてトップを快走。2番手にはクインタレッリがつけていたが、そこに今回初参戦となる#19 藤波清斗(GARDEN CLINIC RT)が3番手に浮上し、インタープロトで経験豊富なクインタレッリに勝負を挑んでいく。そこに#32 坪井翔(NETZ NOVEL MIE)も追いつき、三つ巴の2番手争いが白熱した。

3人の中でもアグレッシブに攻めていた藤波は、9周目のホームストレートでクインタレッリのテールに張り付くと、続くTGRコーナーに向けてクインタレッリのアウト側に並びかける。2台は横並びで飛び込んでいったが、そこで生じたイン側のスペースをついた坪井が一気に2台を抜いて2番手に浮上。3番手にクインタレッリ、4番手に藤波という順に変わった。3台は最終ラップまで激しいバトルを繰り広げたが、これ以上順位が入れ替わることはなかった。

結局、スタートから一度もトップを譲らなかった山下がトップチェッカーを受け開幕戦を制し、2位には坪井、3位にはクインタレッリが入った。

本来なら第1戦の順位のまま、すぐにグリッド整列が行われて第2戦が始まるが、山下はクールダウンラップでピットに戻りスリックタイヤに交換。このため2レース目はピットスタートとなり、坪井が先頭となってスタートが切られた。

しかし坪井はウエットタイヤを履いており、思うように加速できず。Race1からスリックタイヤを履き、このRace2は実質4番手からのスタートとなっていた大滝にTGRコーナーで攻め込まれるが、大滝がブレーキングで止まりきれずコースオフしたことでトップを守り切ることに成功する。その後方ではクインタレッリと阪口が接触するなど、混乱の多い1周目となった。

徐々に路面が乾き始めてくるなかで、ウエットタイヤの坪井はペースが上がらず、後方から追われる展開に。2周目に入るところで福住がオーバーテイクし、トップ浮上。福住も大滝同様にRace1でスリックタイヤを履いており、コーナーの混乱をすり抜けオープニングラップで2位に上がっていた。坪井はマシンにもトラブルを抱えており苦しいレース展開となる。

1周目のGR Supraコーナーで坪井をとらえて2番手に上がったのは阪口だったが、1周目のクインタレッリとの接触でドライブスルーペナルティを受けて後退。代わって関口が2番手となるも、その時点でトップを走る福住とは3.4秒の差がついており、逆転は難しい状況に。

あまり順位変動がなくなった中盤戦で目を見張る活躍を見せたのが、藤波だった。第1戦はウエットタイヤで最後まで走りきり、第2戦の1周目にスリックタイヤに交換。これでクラス最下位まで後退したが、そこからファステストラップを連発する速さをみせ、6周目には1分47秒447をマークした。

レース後半は独走状態となった福住は、最終的に6.6秒ものリードを築いて今シーズン初優勝を飾った。2位には関口、3位には佐々木との白熱したバトルを制した野尻が入った。天気の影響があったとはいえ、1戦目と2戦目で全く異なる顔ぶれがトップ3を獲得するという、インタープロトではなかなか見られないレースとなった。

Driver’s Voice

第1戦 優勝:#44 山下健太

「第1戦で勝つことはできましたが、第2戦に関しては正直仕方がないです。(第1戦で)周りが全員ウエットタイヤだったので、僕たちもウエットタイヤを選択しました。第2戦に勝負をかけるという選択肢もあったのですが……。あの状況では、どうしようもできませんでした。次回の鈴鹿大会では良い結果を残せるよう頑張ります」

第1戦 2位:#32 坪井翔

「今回はクルマにトラブルを抱えながらの走行になって、ジェントルマンレースの永井選手も乗りづらそうな感じで、本当に大変な状態でした。僕も本当だったらもっと下の順位だったかもしれないのですが、こういうコンディションだったからこそ、2位になれたと思います。1レース目で遅かった人たちがギャンブルに出て、速かった人たちはウエットレースで居残るという展開で、1レース目を獲るか2レース目を獲るかという流れになりましたね。僕は最後までウエットタイヤのままで行きましたが、その戦略の中ではトップでした。山下選手が選んだ1レース目をゴールしてからタイヤ交換をするという選択肢もあったんですけど、最終的に彼の前で2レース目を終えられたのを見ると、それが“答え”なのかなと思います」

第1戦 3位:#16 ロニー・クインタレッリ

「最初のウエットはすごく調子が良く、途中バトルもありつつ3位で終えることができました。第1レースを終えてから第2レースに向けうところでピットインしようか迷ったんですが、そうするとピットスタートになって勝負権を失ってしまうと思ったので、ウエットタイヤのまま第2レースをスタートすることになりました。その時はほとんどドライ路面になっていて苦しい展開になりました。仕方ないですね。まずは第1レースのウエットで調子が良かったので、それはポジティブな部分かなとは思います。次は鈴鹿大会ですが、昨年は大雨の中での開催だったので、今年はドライで走りたいですね。鈴鹿は調子も悪くなかったので、楽しみです」

第2戦 優勝:#37 福住仁嶺

「第1レースを終えたところでタイヤ交換するとピットスタートになってしまうことは分かっていたので、もし(第1戦で)調子が悪ければ、途中でピットインする可能性があることもチームと話し合っていました。実際、ウエット路面は調子が良くなくポジションを落としたタイミングでピットインを決断しました。幸いスリックタイヤに交換した選手の中では前の方の位置で復帰でき、ペース良く走ることができました。第1戦も7位で終えられてポイントも稼ぐことができましたし、判断的には悪くなかったのかなと思います。第2戦でもスタート直後の混戦を切り抜けてトップに立つことができました。優勝できたのは良かったです。でも、山下選手のペースや藤波選手のファステストラップはすごく速いので、普通にレースをしていたら(勝つのは)難しかったのかなと思うと、課題はまだまだ多いですね」

第2戦 2位:#55 関口雄飛

「ウエットタイヤでスタートしましたが、第1戦は少ししたら『第2戦はスリックになりそうだな』と思ったので、交換しました。それで第2戦は上位で争えましたが、ライバルたちを抜き終えて2位に上がった時には、福住選手とは結構離れている状態でしたね。2~3周はこっちの方が少しペースは良かったですけど、あとは離されてしまいました。後ろとも離れていたので、終盤は単独で走ることになって、インタープロトにしては珍しい展開になりました。次は鈴鹿になりますが、昨年はあまり良くなかったので、セッティングも含めて色々と考えて臨むことができればなと思っています」

第2戦 3位:#7 野尻智紀

「ウエットタイヤでスタートしたものの『すぐ乾きそうだな』という気配はありました。スタート直後のコカ・コーラコーナーでスピンしてしまって、そこで『スリックで交換しよう!』ということになりました。SUPER GTやスーパーフォーミュラだと、少し濡れている路面でのスリックはコントロールが難しいのでどうなるかと思いましたが、意外といけました。(第2戦の)佐々木選手とのバトルでは、向こうがストレートで早くて、なかなか逃げ切れない印象でした。でも、ギリギリのところで良いバトルができました。(とおる君に良い結果をプレゼントできたことについて)本当は一緒にやっている時に、もっとうまく走れれば良かったんですけど……。実は僕のクルマを担当してくれていた若いメカニックも、開幕までの間に天国に旅立ってしまい、そういうのも含めて、今回は何とか良いレースをしたいなと思っていました。1レース目はああいう形になって残念でしたが、2レース目はなんとかリカバリーしたいという思いで、うまく集中できました。最低限、表彰台という形で終えられたので非常に良かったと思います。次は勝てるように頑張りたいなと思います」

第1戦上位3名
第1位 #44 山下健太選手
第2位 #32 坪井翔選手
第3位 #16 ロニー・クインタレッリ選手

第2戦上位3名
第1位 #37 福住仁嶺選手
エアージェイ賞
第2位 #55 関口雄飛選手
EDIFICE賞
エアージェイ賞
第3位 #7 野尻智紀選手
エアージェイ賞

ポールポジション獲得#44 山下健太選手
ファステストラップ記録#19 藤波清斗選手
ベストガレージ賞#44 芹澤 良一

副賞
EDIFICE賞
エアージェイ賞