野尻 智紀TOMOKI NOJIRI
#7 KIプロモート
TOTAL POINTS : 42
RACE
REPORT
野尻 智紀TOMOKI NOJIRI
#7 KIプロモート
TOTAL POINTS : 42
福住 仁嶺NIREI FUKUZUMI
#37 K-Design
TOTAL POINTS : 26
ロニー・クインタレッリRONNIE QUINTARELLI
#16 TOMEI SPORTS
TOTAL POINTS : 24
阪口 晴南SENA SAKAGUCHI
#96 K-tunes Racing
TOTAL POINTS : 18
フルウエットの中で熱戦が繰り広げられた2023開幕大会、IPSは野尻智紀が2連勝を飾る
2023 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第1大会が5月13日(土)・14日(日)に富士スピードウェイで開催され、ウエットコンディションの中で終始安定した走りをみせた#7 野尻智紀(J-POINT)が第1戦、第2戦ともにポール・トゥ・ウィンを飾った。
今年も富士スピードウェイを舞台に4大会が開催されるインタープロトシリーズ。昨年シリーズタイトルvを獲得した坪井翔は、今季SUPRAクラスに移り、昨年の全日本スーパーフォーミュラ・ライツ選手権でチャンピオンとなった小高一斗が#32 NETZ NOVEL MIEから参戦する。また、シリーズ開始11年目を迎えるインタープロトシリーズだが、参戦車両である「kuruma」の外装パーツがアップデートされ、より接近戦が生まれやすいマシンへと進化。この開幕大会では過去最多タイとなる12台がエントリーした。
【公式予選】
13日(土)の公式予選は10時00分からスタート。かなり雨量が強く、また直前に行われたジェントルマンレースの予選でクラッシュがあった影響で、#3 阪口晴南(INGING MOTORSPORT)と、#96 中山雄一(岡山トヨペット K-tunes)は、このセッションは出走できずに終えることに。残るインタープロト車両の10台はグリーンシグナルとともにコースイン。滑りやすい路面で、コースオフすることなく、着実にタイムを上げていった。
通常ならIP、SUPRA、CCS-Rと3クラスある中で、インタープロト車両が一番速いタイムを記録するが、滑りやすい路面では、電子制御のついたSUPRA車両の方が好タイムを記録していく展開となり、総合トップタイム争いはSUPRAクラスで繰り広げられていく。
それでも、IPクラスのポールポジション争いは白熱し、周回を重ねるごとに順位が目まぐるしく変わった。その中でセッション開始時から速さをみせたのは野尻。計測2周目に1分59秒315を記録すると、翌周以降もタイムを更新し、1分58秒429でクラスポールポジションを獲得した。2番手には#37 福住仁嶺(キーパー号)が0.023秒差まで迫るも逆転は叶わず、フロントローに並ぶこととなった。3番手には小高がつけたが、その背後には昨シーズンから参戦している表参道メディカルクリニックの#8 大滝拓也、#27 ジュリアーノ・アレジがつけるなど、昨年とは異なる勢力図が垣間見えた予選セッションとなった。
Driver’s Voice 野尻智紀
「金曜日の専有走行とかで、色々と試したなかで、新しい発見もあったので、コンディションは違いましたけど、それを活かせたところもあったかなと思います。すごく雨量が多い中での予選になりましたが、最初から良いスペースを見つけてタイムを出しに行くことができました。コース上で川になっているところは、グリップを失う場面も多かったですけど、それ以外のところではグリップを感じることができていたので、自信を持って走ることができました。
スーパーフォーミュラやSUPER GTに注目が集まりがちですが、このインタープロトでもポールポジションを獲得できるというのは、すごく嬉しいですし、光栄なことです。翌日の決勝レースも“これぞインタープロト”という展開になると思います。乗っている方としては気が抜けないし、自分が速くても後ろが離れなくて『嫌だな……』と思う時もありますが、それが観戦しているお客さんにとっては楽しんでもらえるポイントだと思います。自分のベストを尽くしたいなと思います」
【決勝レース】
今年もプロフェッショナルレースは9周(もしくは17分)の2回続けて行うフォーマットを採用する。予選結果をもとに各クラスが整列し、第1戦を実施。ゴールした後はピットに戻らず、グリッドに再整列し、第2戦に向けたスタート手順が進められていく。
決勝日の午前に行われたジェントルマンレースでは雨も止んでおり、スリックタイヤでレースができるコンディションだったが、お昼前から強い雨が降り始め、プロフェッショナルレースの決勝はフルウエットのコンディションで行われることとなった。
さらに、この日は決勝前からハプニングも発生。午前中のジェントルマンレース第2戦決勝で、#44 山口達雄(NAVUL)と、#37 大蔵峰樹(キーパー号)が接触。プロフェッショナルレースでは山下健太が乗車を予定していた44号車の損傷がひどく、短時間での修復が不可能ということで、決勝レース欠場を余儀なくされた。昨シーズンもポールポジションを獲得するなど、速さを見せていた山下。今季は開幕大会から出られるということで、チャンピオン獲得に向けて気合いがはいっていただけに、悔しいシーズンスタートとなった。もう1台の37号車は、破損したボディカウルをガムテープ等で修復し、なんとかスターティンググリッドについた。
44号車を除いた11台で争われることとなった第1戦だが、悪天候の影響でセーフティカー(SC)先導でのスタートとなった。ポールポジションの野尻を先頭に、SCに続いて続々とグリッドを後にし、各ドライバーがコース状況を確認しながら周回。3周を終えたところでセーフティカーが解除され、レーススタートとなった。
TGRコーナーでは、野尻、福住、小高とグリッド順に通過していくが、4番手以下は混戦模様。その中で存在感ある走りをみせたのが、8番手スタートの#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)だ。グリーンフラッグ後の1周目でポジションをふたつ上げると、5周目のグリーンファイト100Rで大滝を抜いて5番手に浮上した。6周目に入ると、4番手を走るアレジの背後につけたクインタレッリ。そのまま白熱のバトルが期待されたが、序盤のセーフティカー先導もあり、規定周回数より前に17分の上限時間を迎え、7周でチェッカーフラッグ。4番手争いは第2戦に持ち越しとなった。
結局、スタートから一度もトップを譲らなかった野尻が第1戦を制し、2位には福住、3位には小高が続いた。
第1戦での到着順で、すぐにグリッド整列し、第2戦がスタート。今回は通常通りの手順で9周の熱戦が繰り広げられた。上位3台はそのままの順番でTGRコーナーを通過するが、第1戦の終盤から白熱していたアレジとクインタレッリの4番手争いが、ここでも繰り広げられた。その後方でも、激しいポジション争いが展開され、13コーナーでは中山が#88 佐々木大樹(Pastel Motorsport)とのサイドバイサイドの戦いを制して、7番手に浮上した。
最終パナソニックコーナーでは、アレジとクインタレッリが競り合っている横から阪口が仕掛けに入り、三つ巴のままメインストレートへ。雨が降りしきるなか、3台並んでTGRコーナーに飛びこみ、クインタレッリが4番手を奪った。その後もバトルは続き、コース後半では抜きつ抜かれつの展開に。3周目では阪口、アレジ、中山の5番手争いが盛り上がった。
3周目のTGRコーナーでは、雨の中でブレーキングを直前まで我慢する限界のバトルが繰り広げられたが、2コーナーに入るところで、アレジと接触した中山がスピン。大きくポジションを落としてしまった。
この集団からいち早く抜け出たクインタレッリは、トップ3の攻略にかかり、4番手の阪口もそれを追いかける。加えて、後方では#55 宮田莉朋(人馬一体ドライビングアカデミー)が、好ペースで順位を上げ、アレジ、佐々木と次々とオーバーテイクしていった。
レース後半に入ると、表彰台圏内の争いが白熱する。第1戦の途中からペースが苦しかったという小高に対し、クインタレッリが接近。5周目のGRスープラコーナーで順位が入れ替わる。クインタレッリは、そのまま福住の背後につけ8周目の13コーナーで2番手に浮上した。この勢いに乗るように、阪口も小高、福住をとらえて3番手に上がり、ファイナルラップに入るところでクインタレッリとの2番手争いに持ち込んだ。
阪口は各コーナーでプレッシャーをかけていき、パナソニックコーナーで勝負をしかけるが、クインタレッリもしっかりと応戦した。それでも阪口は2番手浮上を諦めず、最終コーナーでクインタレッリの背後にぴたりとつけと、スリップを使って加速していく。コントロールライン直前のところで並びかけ、2台はほぼ横一線でチェッカー。最後の最後まで白熱した戦いはクインタレッリが0.031秒差で2位の座を守り、阪口は3位となった。
優勝は、第1戦に続いて野尻。後半は完全に独走状態となり、最後は5.3秒もの大差をつけ、開幕2連勝を飾るトップチェッカーを受けた。
第2大会は、7月22日(土)・23日(日)に、富士スピードウェイで開催される。
IPS第1戦・第2戦 優勝:#7 野尻智紀
「セーフティカースタートだったことも、展開を作りやすかったひとつの要因です。そこからは自分のペースでしっかり走れました。レース中は多分(雨量が少なくなって)路面が乾いていく方向なのだろうなと予想して、タイヤの内圧を設定して臨んだのも良かったです。2レース目は、ある程度余裕を持って走れましたが、最後はちょっと(パフォーマンスが)落ちてきた感じはありました。(2連勝を飾ることができ)これ以上ないような良い出だしが出来たと思っています。このレースは、自分にとって“修行や鍛錬の場”でもあるので、普段できないような思い切ったドライビングへのトライもできました。スーパーフォーミュラやSUPER GTに繋げられたらなと思っています」
第1戦 2位:#37 福住仁嶺
「スタートから野尻選手についていけない印象で、レースが始まって2周目くらいに『今回は良くないな』というフィーリングで走っていました。第1レースは、(SCの影響で)周回数が短く終わったので2位を守れたのかなと思いますが、通常の9周だったらさらに順位を落としていたかもしれません。午前のジェントルマンレースでアクシデントがあって、クルマも応急処置で走れるようになりましたが、アクシデントの影響は少なからずあったと思います。バックモニターも使えないトラブルも起きていて、かなり色んなところに神経を使わないといけないレースでした」
第1戦 3位:#32 小高一斗
「スタートして、もう少し雨が降るかなと予想してタイヤの内圧なども設定したのですけど、そこがうまく噛み合わず、1レース目の途中から厳しい状況でした。タイヤがどんどん熱を持ってしまって、2レース目のフォーメーションラップでは『できるだけタイヤを温めないようにスタートをする』という、いつもと違う流れでした。でも、この位置で戦えるというのは、次に向けて自信につながったので、トップドライバーが出ているインタープロトで結果を残せるように頑張ります」
第2戦 2位:#16 ロニー・クインタレッリ
「雨量がどうなっていくかの判断が難しくて、チームスタッフとタイヤの内圧設定などはギリギリまで悩みました。結果的に2レースともクルマ・タイヤ共に良くて、ラップタイムも安定していました。良い追い上げができました。特に第2レースのジュリアーノとのバトルや、3ワイドなどは、“これぞインタープロト”というレースでした。この週末を通して、今後に向けてウエットコンディションでのセットアップの良いデータも取れたので、次回以降が楽しみですし、いつも一生懸命がんばってくれているチームのみんなに感謝しています」
第2戦 3位:#3 阪口晴南
「色々あったレースでしたね。後方からのスタートで追い上げるしかない状態でしたけど、ペースは良かったですし、今週はドライもウエットも行けそうな予感はしていました。自信を持って走れましたし、バトルも楽しめたので、良い結果だったと思います。(2レース目は)ロニー選手と自分とは速いところ、遅いところが全然違う感じでしたが、1周走ると同じようなペースでした。2台で前の車両をパスしていくという感じでしたが、僕の方がパスするタイミングが少し遅かった感じだったので、結果的に(ロニー選手の)後ろでゴールになりました。最後は狙ったのですけど、惜しかったですね。でも、スタート位置を考えると良かったと思います」