IPS EXP RD7-8 RACE REPORT

FIRST

山口 達雄TATSUO YAMAGUCHI

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 129

2ND

寺川 和紘KAZUHIRO TERAKAWA

#55 人馬一体ドライビングアカデミー&KTR

TOTAL POINTS : 125.5

3RD

今橋 彩佳AYAKA IMAHASHI

#19 Garden Clinic Racing Team

TOTAL POINTS : 114

4TH

永井 秀貴HIDEKI NAGAI

#32 GR Garage Yokkaichi

TOTAL POINTS : 102

厳しいトップ争いを勝ち抜いて第7戦では山口達雄、第8戦では今橋彩佳が優勝。山口がエキスパートクラスを連覇

晴天に恵まれた12月11日(土)~12日(日)、富士スピードウェイでは2021 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePerの第4大会が開催され、ジェントルマンレースのIPエキスパートクラスでは、土曜日に行われた第7戦は#44 山口達雄(NAVUL)が、日曜日に行われた第8戦は#19 今橋彩佳(GARDEN CLINIC RT)が、それぞれ優勝を飾った。
第3大会から2か月半のインターバルで、季節は完全に冬となり、気温や路面温度が低下して厳しいコンディションとなったが、公式スケジュールが始まる前日の金曜日から、各車とも積極的に走り込みを続け、このハードでタフなコンディションにドライバーとクルマを合わせこんでいた。

▶予選

土曜日の午前8時50分、青空が広がる冬晴れでドライコンディションだったものの、まだまだ気温は低く、路面温度も5℃にも届かないコンディションで予選がスタートしていく。タイヤを温めるのにも苦労するところだが、各車ともに慎重に周回を重ねていった。

途中赤旗中断があったものの、タイムは着実に削られていき、#55 寺川和紘(人馬一体ドライビングアカデミー)がトップタイムをマークするが、これはベストラップをマークした周にランオフエリア走行があったためにタイム抹消となり下位に沈むことになる。

そして第7戦のポールポジションは1分46秒275に自己ベストタイムをマークした山口が手に入れ、セカンドベストで決定する第8戦のポールポジションは#37 大蔵峰樹(キーパー号)が手にいれることになった。また今回が初参戦の#8 木村武史(CARGUY IPS)は健闘し、第7戦では5番手、第8戦では3番手のグリッドを手に入れている。

▶第7戦決勝

第7戦のスタートを前に、インタープロトの立ち上げから参戦し、シリーズをインナーから支え、先日亡くなった東名スポーツの中野啓吉代表の逝去を悼んで黙とうがささげられた。

スタートが切られると、上位陣には大きな変動はなく、トップ3は山口、大蔵、寺川とグリッドのオーダーのまま1コーナーを立ち上がっていく。その後方では5番手スタートの木村が好ダッシュを見せ、1コーナーで今橋のインサイドをつき、Aコーナーのアプローチまで並走を続けてこれをパス、4番手にポジションをアップしている。

トップ3はつかず離れずで周回を重ねていくが3周目辺りから3位の寺川が、前を行く大蔵との間隔を詰めていき、5周目のダンロップコーナーではブレーキングでインに並ぶと先にアプローチ。立ち上がるころには完全にポジションを逆転させていた。その後もトップグループは、着かず離れずのバトルを続けていたものの、オーダーが変わるには至らずレースは終盤を迎える。

レースも終盤となった10周目の1コーナーで、今橋が大蔵のインを突いて並ぶと、Aコーナーまでには完全にポジションを入れ替える。これで3位に進出した今橋はさらに前を行く寺川に猛チャージを掛けることになるが、その寺川もトップの山口を追い詰め、テール・トゥ・ノーズでファイナルラップに入ると1コーナーでこれをパス。

大詰めに来てトップに立った寺川だったが、後方からチャージしてきた山口のプレッシャーに負けたかGRスープラコーナーで単独スピン。これで山口は再びトップに立ってチェッカーを受け、今橋、木村、#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)が続いてゴールラインを駆け抜ける。手が届きそうだった優勝を逃した寺川は、それでも再スタートを切り5位でゴールすることになった。

Driver’s Voice

第7戦 優勝:#44 山口達雄

バトルが激しくて大変でした。クルマのバランスも崩れてきて後半は厳しかったですね。スタートからトップをキープできましたが、ファイナルラップの1コーナーは抑えきれませんでした。1コーナーでクロスラインでかわそうと思いましたが届かなかったですね。なので次は得意なヘアピンでと思って100Rの出口から仕掛けていったのですが読まれていましたね。ダンロップでは無理だと思い、2番手で着いて行ったらGRスープラコーナーで(トップを行く寺川選手が)カウンターを当てているのが分かり、そのままスピン状態になったので、どこに滑っていくのか確認してインからかわしました。でも一瞬アクセルを戻したすきに、今橋(彩佳)選手にぴったり背後に着かれてしまいました。何とかトップで逃げ切れてよかったです。今朝の予選では(明日の決勝のグリッドを決める)セカンドタイムが良くなくて明日は8番手辺りからのスタートなんで、何とか今日のレースで優勝したかったんです。予選では2番手タイムに終わりましたが寺川選手のトップタイムが抹消になってポールに繰り上げられたのはラッキーでした。これでポイントリーダーになったようですが、明日も何とか粘り強いレースで優勝を目指したいと思います。

▶第8戦決勝

日曜日に行われた第8戦は、土曜日の第7戦とは異なり、寒いコンディションで行われたが、トップグループは手に汗握るドッグファイトを繰り広げることになった。2番手グリッドから飛び出した今橋が、1コーナーでは早くもポールスタートの大蔵に仕掛けてサイド・バイ・サイドのバトルに持ち込む。そしてAコーナーの立ち上がりからトヨペット100Rまで我慢比べをした末に今橋は大蔵をパス。

さらにヘアピンでは永井が大蔵を攻略。これで集中力を乱されたか大蔵は300Rでスピンして大きく遅れることになる。これで上位陣は今橋、永井、木村、寺川のオーダーとなり、今橋が3台を引き離したかと思えば、永井が追い上げてきて2台ずつのマッチレースを展開するようになり、とその形態を変えながらバトルを継続していった。

このレースでは、土曜日の第7戦と合わせて最も速いラップタイムを刻んだドライバーにファステストラップ・ポイントが与えられることになっていて、最終戦となった今回はこれまでの1.5倍の1.5ポイントが与えられる。この1.5ポイントはタイトル争いをも左右する可能性があり、これまで以上にラップタイムも気になるところだが、6周目には寺川が1分47秒037をマークして前日に自らがマークしたベストラップを更新する。

寺川はなおもペースを緩めることなく上位陣にチャージを続ける、8周目には1分46秒656をマーク。結局これが2レースを通じてのベストタイムとなり、タイトルに大きく近づく1.5ポイントをゲットすることになった。しかしポイントよりも何とか上位を、と猛チャージを続けた結果、9周目には2位を行く永井のテールに食らいつくまでになる。そして10周目の1コーナーで仕掛けると、Aコーナーから100Rへのアプローチまで並走した後、2位にポジションアップを果たすことになった。

レースはファイナルラップを迎えても、上位グループは僅差の争いを続けており、まさにチェッカーが振られるまで展開の読めないレースとなっていく。そしてスタート直後にトップ逆転した後は、ファイナルラップまでそのポジションをキープし続けた今橋が、そのままトップチェッカーを受けることになった。2位の寺川はコンマ3秒差で3位の永井を押さえきり、さらに木村も3位からコンマ5秒差の4位。トップ4は接近状態でコントロールラインを横切っていた。

タイトル争いは2位に入った寺川が24ポイントに加えてファステストラップの1.5ポイントも稼いだものの、第7戦の優勝でランキングトップに立っていた山口が、この第8戦でも5位に入って辛くも逃げ切り、昨年に続いてエキスパートクラスの連覇を果たすことになった。

Driver’s Voice

第8戦 優勝:#19 今橋彩佳

今日はメンタル的にとても厳しいレースになりました。自分としては追い上げていく展開の方が(気持ち的には)楽で、今日も後半に追い上げていくことになる、と思っていました。でもスタートしてすぐにトップに立ったので、後方から追い上げられる展開となり、6周を過ぎた辺りからはもう泣きそうでした。でも、何とか最後までトップをキープすることができて、一皮むけたというのか、メンタル的にも成長できたと思います。今日のレースをいい経験にして、次のレースに生かしたいと思います。来シーズンのことはまだ何も決まっていなくて、レースするのかどうかも決まっていません。でも、今日のレースで勝ったのは嬉しかったのですが、同時にチャンピオンを獲れなくて悔かった。悔しさを感じたので、ぜひもう一度、このIPSに挑戦して、こんどはシリーズチャンピオンを獲ってみたい。今はそう思っています。

シリーズチャンピオン:#44 山口達雄

レース中はポイントがどうのこうのは全く考えていませんでした。もう前を行くクルマをどうやって抜くか、それだけを考えて走っていました。レースを終えてピットに戻ってきて初めて、チャンピオンになったと知りました。後方からのスタートでしたが(チャンピオン争いで最大のライバルとなっている)寺川さん(#55 寺川和紘選手)の姿は見えていました。でもスタートしてみると寺川さんはトップ3の後方にいて、自分は間に2台挟んで7番手でした。そしてトップ4台と、セカンドグループの4台の間がズルズルと離れて行きました。直前の2台を抜くのは大変でした。コースのあちこちでトライしていましたが、2台を抜いて5番手に立ったのはレースも後半に入ってからで、4番手とはもうかなり差が開いていました。そしてペース的にももう限界で苦しい展開になって、あとはもうクラッシュせずに最後まで走り切ろうと考えました。ただ、オープニングラップで大蔵さん(#37大蔵峰樹選手)がスピンで遅れてポジションを一つ上げられていたことなど、ラッキーな面もありました。シーズン当初からチャンピオンは目指していて、第1大会と第2大会ではともにレース1で勝っていい滑り出しだったのですが、第3大会ではクラッシュさせてレース2ではノーポイント。でも今回はクルマをきっちり直してもらい、昨日のレース1で優勝したことが、今日のチャンピオンに繋がりました。