IPS EXP RD7-8 RACE REPORT

FIRST

大蔵 峰樹 MINEKI OOKURA

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 156

2ND

永井 秀貴HIDEKI NAGAI

#32 GR Garage Yokkaichi

TOTAL POINTS : 128

3RD

FLYING RATFLYING RAT

#3 INGING MOTORSPORT

TOTAL POINTS : 92

4TH

翁長 実希MIKI ONAGA

#27 KIプロモート

TOTAL POINTS : 90

エキスパートクラスは翁長実希が2連勝を記録。大蔵峰樹が初のクラス王座に輝く

2022 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第4大会が12月10日(土)・11日(日)に富士スピードウェイで開催され、IPSジェントルマンレースのエキスパートクラスは、#27 翁長実希(表参道メディカルクリニック)が2連勝を飾った。シリーズ争いでは、2戦連続で2位に入った#37 大蔵峰樹(キーパー号)が初のクラスチャンピオンとなった。

▶︎予選

今回も5台がエントリーしたエキスパートクラス。10日(土)8時35分から始まった予選では、ハイレベルなタイムアタック合戦が繰り広げられた。まず好タイムを出したのは、#44 山口達雄(NAVUL)。開始7分を過ぎたところで1分45秒937と、いち早く1分45秒台をマークし、トップに浮上した。ここに翁長が1分45秒961、大蔵が1分45秒967で食らいつき、トップ3台が0.03秒以内にひしめく大接戦となった。

セッション終盤になると、山口と翁長がさらにタイムを上げていく。残り5分を切ったところで山口が1分45秒589を記録してトップタイムを更新すると、すかさず翁長も1分45秒871で追いすがった。両車のタイムアタックは最終ラップまで続いたが、ここからタイム更新はなく、山口が第7戦のポールポジションを手にした。なお、セカンドベストタイムでグリッド順が決まる第8戦は、翁長が同クラスで自身初ポールポジションを獲得した。

Driver’s Voice

ポールポジション:#44 山口達雄

「前回は大蔵選手の後ろから(アタックに)いったりしましたけど、今回は逆にこちら側へ巻き込んでやろうと思って、先にコースに出ていきました。前日の練習走行でやった予選のシミュレーションも良かったですし、第4大会に向けて改良したポイントもあったので、それを活かせました。ただ、途中までベストでこれた周があったのですが、最後(他の車両に)詰まった部分があったので勿体なかったです。セカンドベストでは翁長選手に取られてしまいましたが、仕方ないかなと思います今年は第1大会に出られませんでしたが、それを除いた状態でのポイントは一番になりたいかなと思いますし、やっぱり前年チャンピオンなので、意地をみせるのはここしかないです! もちろん、何かあればチャンスが巡ってきますから、希望を捨てずにいきたいと思います」

▶︎第7戦決勝

14時00分から行われた第7戦決勝は12周で争われた。今回も2周のフォーメーションラップが行われ、レーススタートとなったが、直後のTGRコーナーから各所で激しいバトルが展開された。なかでも注目を集めたのが山口と翁長のトップ争い。1周目から積極的に仕掛けていく翁長に対し、山口も応戦しトップを死守。2周目のADVANコーナーで仕掛けそびれた翁長が、大蔵、#32 永井秀貴(NAVUL)の3番手集団に捕まってしまい、その間に山口が1秒近いリードを築いたが、翁長が3周目、4周目と連続でファステストラップを更新し、再び山口の背後につけた。

一方、後方では大蔵と永井の3番手争いが白熱。この2人はエキスパートクラスでもランキングトップを争っており、1レース目から激しいポジション争いが繰り広げられたが、終始冷静なレース運びをみせていた大蔵がポジションを守り、トップ2台を追いかけた。

レース後半の6周目に入ると、再び山口と翁長のトップ争いが本格化する。メインストレートでスリップストリームを使いTGRコーナーでトップに立った翁長だが、クロスラインをとって直後のコカ・コーラコーナーでトップを奪い返す山口。こうして、ほぼ各コーナーで順位を入れ替える白熱したバトルとなった。

やや翁長に押され気味な印象だった山口だが、9周目にトップを取り戻し、トップチェッカーを目指して周回を重ねた。ところが10周目のコカ・コーラコーナーで痛恨のスピン。これで大きくポジションを落とし、優勝争いから脱落してしまった。

これで翁長が首位に浮上したが、背後には大蔵が迫っており、最終ラップは2台によるサイド・バイ・サイドの争いとなった。途中、山口とのバトルでブレーキをロックさせてしまい、タイヤにフラットスポットができるなど、苦しい状況だった翁長だが、なんとかトップを守りきりチェッカーフラッグ。エキスパートクラス初優勝を飾った。2位には大蔵、3位には永井が続いた。

Driver’s Voice

第7戦 優勝:#27 翁長実希

「非常に嬉しいです。皆さんがシリーズをフルで戦っている中、私は途中からの参戦となりましたが、自分の実力を最大限発揮していきたいと思っていました。一緒にバトルしていただいて、嬉しい気持ちでいっぱいです。(レースでは)自分の速いところが明確だったので、そこを利用してバトルをしていこうと考えていましたが、なかなか前に行かせてもらえなかったです。スパッと一発で抜ききれない部分もそうですし、バックマーカーの処理とか、自分のペースを落とさず走るという点では、まだまだ課題は残りますが、最終的にトップで戻ってこられて良かったです。(山口選手とのバトルでは)ストレートではアドバンテージがなかったように感じたので、1コーナーで抜いてインフィールドで差をつけて逃げ切りたいと思っていましたが、なかなか1コーナーで抜くのが手間取ったりして、一発で抜ききれませんでした。山口選手もすごく速かったので、すごくギリギリのバトルができたのかなと思います」

▶︎第8戦決勝

第8戦は11日(日)の午前8時50分と早い時間からのスタートとなった。前日の予選で記録したセカンドベストタイム順でグリッドが決定するが、当初2番手スタートだった山口は、第7戦でスピンを喫した際にタイヤにダメージが及んでしまい、急きょタイヤ交換を行なったためにインタープロト車両の最後尾からのスタートとなった。

2周のフォーメーションラップを終えてスタートが切られた。ポールポジションの翁長はTGRコーナーでブレーキをロックさせてしまうが、なんとかトップを死守。そこに大蔵、永井がついていく。

前日の第7戦でタイヤを使いすぎてしまったこともあり、序盤は防戦一方となってしまった翁長。その隙をついて、大蔵が毎周にわたってTGRコーナーで横に並びかけるが、なかなか前に出ることはかなわなかった。

一方、後方では永井の背後に、5番手スタートからポジションを上げてきた#3 FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)が接近。激しいバトルの末、6周目の2コーナーで3番手を獲得した。その後も好ペースで周回を重ね、トップ2台に追いつくような勢いある走りをみせた。

翁長と大蔵のトップ争いは、レース後半になっても続いていた。大蔵は相手に揺さぶりをかけ続け、なんとかトップを奪おうとするも、7周目のGRスープラコーナーでコースオフを喫してしまう。2番手のポジション自体は守れた大蔵だったが、トップとの差が2秒まで離れてしまった。

これでいくらか楽になった翁長だが、最後まで気を緩めることなくトップを守り切り、最終的に2.3秒のリードを築いて2連勝を飾った。2位には大蔵が入り、念願のエキスパートクラスのシリーズタイトルを獲得。3位争いは、最終ラップまで接戦の展開となり、2台が横並びでゴールラインを通過した。タイム計測上では全くの同タイムだったが、写真判定による順位検証の結果、永井がわずかに先にゴールし、3位を手にした。

Driver’s Voice

第8戦 優勝:#27 翁長実希

「第7戦で若干フラットスポットを作ってタイヤを痛めてしまったのですが、最初から苦しいなという雰囲気があって、ミスなく辛抱するレースになるだろうなと予想していました。自分の速いところでしっかり引き離して、ストレートではスリップを使われて横に並ばれてしまうので、そこでしっかりと抑えられればなと思っていました。前に行かれたら(逆転の)チャンスは限りなく少ないことは分かっていたので、しっかりと抑えて、前でチェッカーを受けることを意識して走っていました。大蔵選手からのプレッシャーはすごかったですし、絶対に後半で勝負を仕掛けてくることは分かっていたので、それでも私は前に行かせないというのを、走りでアピールし続けていました。ミスしたらすぐにスピンしてしまう感じだったので、ペースを上げたくても、自分で抑えて走って、ギリギリのなかで優勝することができて良かったです」

シリーズチャンピオン:#37 大蔵峰樹

「正直、チャンピオンになったという実感が湧いていないですけど、めちゃくちゃ嬉しいです。第7戦では、山口選手と翁長選手のバトルを後ろから冷静に見て……。とにかく、リスクを負わないように走ることを意識していました。第8戦でも、無理に仕掛けるのではなくて『抜きに行くぞ』というそぶりを見せておいて、ちゃんと隙ができたときに、抜こうと思っていました。だから、自分から仕掛けていくことはしませんでした。昨年とかまでは、予選で一発のタイムを出すというのはできていましたが、やっぱりレースの組み立てができていなかったので、ひたすら追いかけてプッシュをするという感じでした。でも今シーズンはこうした我慢のレースもできるようになったというのが『自分も大人になったな』と思いましたね(笑)。来年も楽しくレースができればなと思っています」