IPS EXP RD7-8 RACE REPORT

FIRST

永井 秀貴HIDEKI NAGAI

#32 GR Garage Yokkaichi

TOTAL POINTS : 156

2ND

川田 浩史HIROSHI KAWATA

#55 人馬一体

TOTAL POINTS : 145.5

3RD

山口 達雄TATSUO YAMAGUCHI

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 110

4TH

大蔵 峰樹 MINEKI OOKURA

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 93

チャンピオン争いはわずか0.2秒差で決着! 永井秀貴が2度目のチャンピオンに輝く

2023インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第4大会が11月25日(土)・26日(日)に富士スピードウェイで開催され、エキスパートクラスは第7戦が#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)、第8戦は#37 大蔵峰樹(キーパー号)が優勝。最終大会を2戦とも2位で終えた#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)が、2度目のエキスパートクラスチャンピオンを獲得した。

今回も6台がエントリーしたIPのエキスパートクラス。顔ぶれも第3大会から変更はないが、植田正幸が#8 ルーニーアキランドダイワIPSからのエントリーとなり、マシンのカラーリングも黄色に変更された。

【予選】

厳しい冷え込みの中で行われた25日(土)朝の予選では、路面温度が低く、タイヤが温まっていないことも影響してか、セッション開始早々に大蔵がメインストレートでコースオフ。すぐに赤旗が出され、セッション中断となった。

大蔵は自力でピットに戻り、すぐにセッション再開。各車とも入念にタイヤを温めてタイムアタックに入っていった。まず、1分47秒台に入る速さを見せたのは、金曜日から好調な走りをみせていた#44 山口達雄(NAVUL)。1分47秒937でトップに躍り出るが、その背後でタイムアタックをしていた大蔵が0.085秒上回る。それを更新してIPクラストップとなったのは、ランキング2番手で逆転チャンピオンを狙う川田。1分47秒517で大蔵を逆転した。これに対し、ランキング首位につける永井も負けておらず、1分47秒621で2番手につけた。

この後も、毎周回にわたってタイムが塗り替えられる激しい展開となったが、最後に頭ひとつ抜け出てトップタイムを奪ったのは山口。1分47秒089で第7戦のポールポジションを決めた。そこに0.038秒差まで迫った永井が2番手に食い込み、川田が3番手で予選を終えた。終わってみれば、トップ3が0.4秒以内にひしめく大接戦となり、午後の決勝レースは、さらなる混戦模様が予想された。

Driver’s Voice

ポールポジション:#44 山口達雄(NAVUL)

「セッション中盤までスープラクラスの車両に詰まっていたが、後半はクリアで走ることができたのでプッシュしました。永井選手とはポイント差がありますが、僕が出来ることはフルポイントを獲ること。それを達成して、あとは運に任せるだけです。そして山下選手にクルマをつなげたいです」

【第7戦 決勝】

13時20分から始まった第7戦決勝。今大会は寒い時期でのレースということで、安全を考慮してフォーメーションラップを2周設けられた。各車ともしっかりとタイヤを温めて12周レースのスタートが切られると、山口を先頭に各車がTGRコーナーに入っていった。

上位陣は特に順位変動がなかったが、コカ・コーラコーナーで少しミスをした川田の隙をついて、大蔵がADVANコーナーで3番手に浮上。前を走る2台を追いかけた。

レース序盤は山口を先頭に、永井、大蔵、川田、#3 FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)の5台が一つの集団となって、上位争いを展開。最初の数周は、互いに様子を探るような動きとなっていたが、5周目のTGRコーナーで、永井、大蔵、川田の3人が、それぞれ前の車両に対して仕掛けに入った。コース前半の各所でサイドバイサイドのバトルとなったが、隙をついて順位を上げたのは川田。ADVANコーナーで大蔵を抜いて、3番手に浮上した。

直後のダンロップコーナーでは、永井が山口のインを突いてトップに浮上。そこに川田も追いつき、6周目のTGRコーナーではトップ3台が横並びになった状態で突入。ここでの順位変動はなく、ADVANコーナーとダンロップコーナーで、川田が山口のインをうかがうも、順位アップはならず。その間に永井がリードを広げていった。一方、後方では植田がジェントルマンクラスの#7 勝又隆二(J-POINT)と激しいバトルを展開。トップ争いに負けず劣らずの接近戦をみせた。

このまま永井が優勝かと思われたが、7周目のTGRコーナーで2番手に浮上した川田が、徐々に差を縮めていき、8周目に入るところで0.3秒後方に接近。1分47秒321のファステストラップを記録すると、続く9周目のTGRコーナーで永井をオーバーテイクし、ついにトップ浮上。そのまま最後まで逃げ切り、今季3勝目となるトップチェッカーを受けた。2位には永井、3位山口が続いた。

4位の大蔵、5位のFLYING RATもトップ集団に食らいついたが表彰台獲得はならず。植田は、最後まで勝又、#71 大山正芳(アキランドIPS)とのバトルを展開し、エキスパートクラス6位となった。

Driver’s Voice

第7戦優勝:#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)

「路面温度が低かったので、慎重に行っていたら大蔵選手に抜かれて、その後もあまりペースが良くなかったです。タイヤが温まってからは、ブレーキングポイントは自分の方が若干奥だったので、1台ずつ隙を見つけながら、抜いていきました。ただ、最終ラップにバックマーカーが現れて、けっこうキツかったですが、勝ててよかったです。(ポイント差は)気になりますけど、気にしないようにします! 最終戦のことだけに集中していきます。今回は宮田選手が練習走行の日にいらっしゃらなくて、すごく不安でした。その分、周回数も多かったので、これも修行だと思ってい受け入れて頑張りました!」

【第8戦 決勝】

26日(日)8時40分と、いつもより早い時間帯で行われた今シーズンの最終第8戦の決勝。第7戦同様に12週で争われた。グリッドは前日の予選で記録されたセカンドベストタイム順に並べられ、ポールポジションは第7戦に続いて山口が獲得。2番手には川田、3番手には永井がつけた。

スタートでは、山口が先頭でTGRコーナーを通過するが、2番手には好ダッシュを決めた永井が2番手で進入。そこに川田が続いたが、コーナー出口の加速で少し挙動を乱した隙に大蔵が前に出て、3番手に浮上した。

前日の第7戦では、山口がレース中盤までトップを守る展開だったが、チャンピオン獲得のためにも好結果がほしい永井が、序盤から積極的に仕掛けていく。2周目終了時点で0.2秒後方に迫ると、3周目のTGRコーナーでインに飛び込んで逆転。トップに浮上した。

後続との差を広げようとペースを上げにかかる永井に対して、レース中盤に追いついたのが大蔵。5周目のTGRコーナーで山口を抜いて2番手に浮上すると、8周目のTGRコーナーでインから並びかけてオーバーテイクした。

しかし、永井も負けじと応戦し、直後のコカ・コーラコーナーで抜き返す。2台の攻防はレース終盤まで続き、最終的に粘り強く攻め続けた大蔵が、10周目のコカ・コーラコーナーで前に出て、ついにトップの座を使った。

2番手に下がった永井は、川田の前でゴールすればチャンピオンが確定するという状況。その川田は4番手を走行しており、終盤にはFLYING RATが後方から迫る展開。徐々に年間王者の行方が決まりつつあったが、このまま終わらないのがインタープロトのエキスパートクラスである。最終ラップに手に汗を握るドラマが待っていた。

逆転チャンピオンのために、少しでも意地を見せたい川田は、最終ラップに入るところで周回遅れの車両に引っかかった上位3台の隙をついて、グリーンファイト100Rで山口を抜いて3番手に。目の前にいる永井を抜けば逆転チャンピオンという状況に持ち込んだ。

最終セクターは両者とも必死の攻防戦となり、2台が接近した状態でフィニッシュラインを迎えたが、最終的に順位は変わらず。大蔵が優勝を果たし、2位に永井、3位に川田が続いた。さらに4位の山口、5位のFLYING RATも接近しており、トップ5台が3秒以内でゴールする大接戦の最終戦となった。また上田も最後まで力強い走りを見せ、6位完走を果たした。

これで、永井が156ポイントとなり、2019年以来2度目のエキスパートクラスチャンピオンを獲得した。

Driver’s Voice

第8戦優勝:#37 大蔵峰樹(キーパー号)

「今回は他の車両と比べてブレーキングが良かったので、それを活かして、どんどん詰めていきました。今年は第2大会を欠席していた関係で、シリーズ争いは難しいなと思っていましたけど、最後に勝って終わることができて良かったですし、この最終戦はシリーズ争いがかかっていなかったので、楽しく行くことを心がけていました。最後は気持ちよくシーズンを終えられて良かったです」

シリーズチャンピオン:#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)

「今日は最初からプッシュして、たとえ負けたとしても、積極的に行こうと思っていました。最後にタレてくるのも想定内で、そこからどれだけ持ち堪えられるかを自分なりにやれればと思っていました。その結果、ダメであっても良いかなと思いながらプッシュしました。みんなが本当にフェアにレースをしてくれていました。楽しみながら積極的にレースができたと思います。僕は2019年以来、2度目のチャンピオンですけど、皆さんのレベルが上がっていて、すごく激戦のシーズンでした。本当に簡単ではないシーズンだったと思っています。その中で自分の技術も、みなさんと切磋琢磨したことで上手くなったところもあると思うので、すごく勉強になった1年でした」