IPS EXP RD5-6 RACE REPORT

FIRST

永井 秀貴HIDEKI NAGAI

#32 GR Garage Yokkaichi

TOTAL POINTS : 80

2ND

川田 浩史HIROSHI KAWATA

#55 人馬一体

TOTAL POINTS : 64

3RD

山口 達雄TATSUO YAMAGUCHI

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 42

4TH

斎藤 愛未AIMI SAITO

#27 表参道メディカルクリニックレーシング

TOTAL POINTS : 40

予選から白熱の接戦! 第5戦は川田浩史が今季2勝目、第6戦は永井秀貴が僅差で勝利をもぎ取る

2023 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第3大会が9月23日(土)・24日(日)に富士スピードウェイで開催され、各セッションとも熱戦が展開。IPエキスパートクラスは、第5戦は#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)が今季2勝目を挙げ、日曜日の第6戦では#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)と#44 山口達雄(NAVUL)が並んでフィニッシュ。0.014秒差で永井が勝利を手にした。

シーズン後半戦に突入したインタープロト。今回もIP車両は12台のエントリーとなった。このうちエキスパートクラスでは昨年王者の#37 大蔵峰樹(キーパー号)が開幕大会以来の参戦となり、前回大会で37号車からジェントルマンクラスに出場した植田正幸がエキスパートにスイッチして#8 表参道メディカルクリニックで戦うこととなった。

【予選】

土曜日の公式予選は霧がかかったあいにくの天候となり、本来なら先にジェントルマンレースの予選が行われる予定だったが、視界状況を考慮して、先にプロクラスの予選が実施されるスケジュールに変更された。これによりジェントルマン予選は9時25分からとなったが、開始前から雨が降り出し、各車がピットレーンに並ぶころにはフルウエットコンディションに。セッション序盤からSUPRAクラスでコースオフする車両も何台か見られたが、ここ数年でハイレベル化していると言われているIPエキスパートクラスのドライバーたちは、難コンディションのなかで果敢にタイム計測に挑んでいった。

まず好タイムを記録したのは、前回の第3戦でエキスパートクラス初優勝を果たした川田。2分08秒282で、ライバルに1秒以上の差をつけ、トップに立った。その他の車両も2分10秒を切るタイムを記録するが、セッションが進むにつれて雨の量が増していき、タイム更新が困難な状況となる。これをみて、川田も一度ピットに戻って様子を見た。

これで川田のポールポジションが確実かと思われたが、残り5分を切ったあたりから雨脚も落ち着き、ライバルたちが続々とタイムを更新。まずはランキング首位の永井が2分05秒756を記録してトップに立つと、残り2分を切ったところで大蔵が2分05秒053で逆転した。これに対し、最終ラップでタイムを伸ばした山口が2分05秒146で2番手に食い込むと、川田がそれを更新して2分05秒063をマーク。トップに0.010秒差に迫った。

最後はライバルとのタイムアタック合戦に競り勝った大蔵が最終ラップで2分04秒568を叩き出し、第5戦ポールポジションを獲得。セカンドベストタイムでグリッドが決まる第6戦もトップからのスタートが決まった。

Driver’s Voice

ポールポジション:#37 大蔵峰樹(キーパー号)

どんどん路面の水の量が増えていく感じで、メインストレートでもハイドロプレーニングが起きて危ない感じではあったんですけど、最後の2周くらいだけ(路面の水の量が)少しだけ減って『ここしかないな!』というつもりで、スピンするつもりでプッシュしました。第5戦の決勝も雨になるのであれば、前のポジションにいた方が絶対的に有利になるので、ポールポジションをとれて良かったです。

【第5戦 決勝】

13時10分から行われた第5戦決勝。午前中の雨は止んだものの、路面はウエット状態のままで、セーフティカー先導でレースが開始された。ポールポジションの大蔵を先頭に隊列走行が組まれ、2周を終えたところでグリーンフラッグとなりレースが本格的にスタートした。

最初は各車とも様子を見てか、TGRコーナーで永井が山口に仕掛けた以外は、サイドバイサイドになるシーンがなく3周目まで終了した。ただ、2番手を走っていた川田は着実に大蔵を攻略する準備を進めており、パナソニックコーナーからメインストレートに入るところで間合いを詰めると、4周目のTGRコーナーでアウト側から並びかけた。2台が並びながらコカ・コーラコーナーに進入するが、ここは大蔵がトップを死守。一方、後方では永井が山口を抜いて3番手に浮上。そのままの勢いで4周目に2分04秒683のファステストラップを記録し、トップ2台に迫る走りをみせた。

大蔵と川田のトップ争いは5周目に入っても白熱。序盤と同じようにメインストレートで並びかけると、TGRコーナーを2台並んで通過。今度は2コーナーでの加速でわずかに前に出た川田がコカ・コーラコーナーで完全に大蔵の前に出て、ついにトップに浮上した。そこに、ペースを上げてきていた永井が接近し、ADVANコーナーで大蔵を攻略しにかかるが、ここでは前に出られず。その隙をついて4番手の山口がバトルに加わり、4つ巴の上位争いとなった。

しかし、7周目に入って永井のペースが乱れ始め、コカ・コーラコーナーで少し膨らんだところに山口に抜かれて4番手に後退。8周目のTGRコーナーでは単独でスピンを喫し、序盤の好ペースから一転して苦しい後半戦となってしまう。

後続での混戦を尻目に、トップに立って以降は順調な走りをみせる川口。8周目には2分04秒073でファステストラップを記録すると、2番手の大蔵に対して最大で4.2秒ものリードを築いた。

終盤に入って、路面上の水が少なくなり始めると、大蔵と山口もペースアップ。トップの川田に追いつこうとしたが、12周の規定周回より前に、上限時間の25分に達したため、11周完了時点でチェッカーフラッグ。川田が今季2勝目を飾った。2位には大蔵、3位には最終ラップに2分03秒637でファステストラップを塗り替えた山口が続いた。

Driver’s Voice

第5戦優勝:#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)

予選では前半にトップタイムを出せて、そこでピットに戻ってしまったのですが、結果的に最後まで走り続けていた方が、タイムが伸びた結果になりました。そういうこともあって、決勝は気合いを入れてスタートに臨みました。セクター1とセクター2は相手と比べて遅い印象でしたけど、最終コーナーあたりはこちらの方が速いということが序盤に分かって、何回か仕掛けていくなかで、アウト側から抜きにいって、上手く前に出られました。あそこで前に出られていなかったら、その後は厳しかったなと思います。

【第6戦 決勝】

24日(日)の第6戦決勝は、前日の予選で記録されたセカンドベストタイム順でグリッドが決められ、大蔵が2戦連続でポールポジション。永井がフロントローに並び、2列目から川田と山口がスタートするという流れになった。前日までの雨とはうって変わり、この日は夏の暑さを思い出すような天候となり、路面もドライコンディションに。通常通りのフォーメーションラップを経て12周のレースが始まった。

すると、直後のTGRコーナーから大蔵と永井がサイドバイサイドのバトルを展開。2台は並んだままコカ・コーラコーナーに突入し、永井がトップに浮上。リードを広げていく。その背後には川田、山口も接近しており、3周目のTGRコーナーで永井を攻略しきれなかった大蔵の隙をついて、2台が接近。三つ巴の状態でグリーンファイト100RからADVANコーナーに進入していったが、大蔵が突然マシンの挙動を乱してコースオフ。そのままマシンを止めてリタイアとなった。

この間に、2秒近いリードを築いた永井は順調に周回を重ねゴールを目指していく。一方、川田と山口による2番手争いも激化しており、コース各所で接近戦のバトルが展開された。山口を押さえ込もうと必死になるあまり、走路外走行を複数回して黒白旗を提示された川田。山口からのプレッシャーも重なったことが影響してか、7周目のGRスープラコーナーでスピンを喫してしまい、2番手の座を明け渡してしまった。

後方では#3 FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)がジェントルマンクラスの#7 勝又隆二(J-POINT)とバトルを展開。9周目のTGRコーナーでオーバーテイクを決め、総合4番手に浮上した。

レース終盤になると、トップ争いが白熱。2番手に浮上した山口は9周目に1分47秒016のファステストラップを記録し、永井に急接近。残り2周で0.2秒後方まで迫った。なんとしてもトップに立つべく、TGRコーナーやパナソニックコーナーで仕掛けようとするが、永井も冷静に対処し、トップを守ったままファイナルラップに突入する。

TGRコーナーでの攻防戦で前に出られなかった山口は、セクター3に入った13コーナーで永井の隙をついて並びかけ、GRスープラコーナー、パナソニックコーナーを2台並走状態で通過。メインストレートでの勝負に持ち込んだ。

2台横並びの状態でゴールラインを通過したが、わずか0.014秒差で永井が先着。今シーズン3勝目を飾った。2位には素晴らしい追い上げをみせた山口、3位にはスピンから復帰した川田が入った。

Driver’s Voice

第5戦優勝:#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)

終盤はけっこうタイヤがキツくなっていて、アンダーステアが出ていました。スピンしないようにと抑えながら走っていて、特に最終コーナーは気をつけていたのですけど、そこで(山口選手に)来られましたね。立ち上がりでは山口選手の方が良くて、一回抜かれたんですけど、(ゴールラインまでに)抜き返しました。そのタイミングの差で決まったような感じで……。正直負けたと思いました。今回も楽しくレースができて、良かったです。