IPS EXP RD5-6 RACE REPORT

大混戦のIPエキスパートクラス、第5戦は大蔵峰樹、第6戦は山口達雄がバトルを制する

2022 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第3大会が11月12日(土)・13日(日)に富士スピードウェイで開催され、IPエキスパートクラスでは第5戦は#37 大蔵峰樹(キーパー号)がポール・トゥ・ウィンを果たし、第6戦では#44 山口達雄(NAVUL)が今季初優勝を飾った。

今シーズンも熱戦が繰り広げられているエキスパートクラスだが、今回は新たに表参道メディカルクリニックの27号車がエントリー。KYOJO CUPに参戦中の翁長実希が、FCR-VITAと合わせてトリプルエントリーでIPSに初参戦となった。また開幕大会以来のエントリーとなる#77 CARGUYは木村が参戦。より激しい戦いになることが予想された。

▶︎予選

土曜日の午前8時30分から行われた公式予選では、前回大会で久しぶりに優勝を果たした大蔵が速さをみせる。セッション前半から1分46秒台をマークし、開始8分を過ぎたところで1分45秒645のベストタイムを記録しトップに躍り出た。これに対抗したのが、今シーズンは第2大会からのエントリーとなっている山口。大蔵がタイムを出した直後に1分45秒769をマークし2番手につけた。

ともにクールダウンラップを挟んで、セッション終盤に再びタイムを出しにいったが、残念ながら両者ともベストを更新できず。大蔵が第5戦のポールポジションを獲得したが、第6戦のグリッドを決定するセカンドベストタイムでは山口がトップとなり、2人がポールポジションを分け合うこととなった。

Driver’s Voice

ポールポジション:#37 大蔵峰樹

「永井選手と山口選手がピットレーンで後ろについて『もしかしてスリップを使うのか?』と思って、早めにペースを上げて引き離したら、逆にタイヤのグリップが一番いい時で後方集団に追いついてしまって『しまったな!』と思いました。(第5戦の)ポールは獲れましたが(第6戦のグリッドを決める)セカンドベストでトップを獲れなかったので、正直言うと嬉しさ半減というところです。その中でも1分45秒台に入れたので良かったかなと思います。まずはポールスタートを活かして、1レース目を1位で終えたいです」

▶︎第5戦決勝

今大会では、安全にタイヤのウォームアップ時間を設けるために、フォーメーションラップを2周に設定。各車とも念入りにタイヤを温めてスタートが切られた。グリーンシグナルが点灯して各車が一斉に加速すると、TGRコーナーでは大蔵と山口がサイドバイサイドのバトルを展開。その後方では3番手スタートの#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)を、木村が抜きにかかろうとするなど、1周目から接戦のバトルが繰り広げられた。トップを守った大蔵は、1周目からペースを上げていき後続を引き離す。1周目で0.7秒のリードをつけると、その後も逃げていく展開で4周目には1.3秒の差をつけた。

これに対し、2番手争いは山口、永井、木村の三つ巴に。まずは木村が仕掛けていき、2周目のコカ・コーラコーナーで3番手に浮上。そのまま山口の背後に迫り、4周目のTGRコーナーで追い抜いて2番手に浮上した。一方、表彰台圏内から外れてしまった永井は、翁長にも隙を突かれて5番手に後退。レース後半に1分46秒359のファステストラップを記録して挽回を図るも、ポジション回復には至らなかった。

中盤までは順調にトップを快走していた大蔵だが、2番手に上がった木村のペースがよく、その差は徐々に縮まっていった。7周目のダンロップコーナーで背後につき、ここから白熱のトップ争いが展開されるかと思われたが、その直後にセーフティカー導入が宣言された。SUPRAクラスの車両がTGRコーナーでクラッシュしたためだ。これにより、各車とも隊列走行となり、タイヤを温めながら周回を重ねていたが、TGRコーナーのガードレールが大きく損傷しており、修復には時間を要することとなった。そうこうしているうちに上限時間の25分を迎え、11周を終えたところでチェッカーフラッグ。大蔵が今季2勝目を挙げた。2位には木村、3位には山口が入った。

Driver’s Voice

第5戦 優勝:#37 大蔵峰樹

前回(第3戦)の教訓を生かして、オープニングラップは置きにいかず、なるべく全開でいくようにして、なんとか1周目で引き離そうと思いました。途中から木村選手が追いついてきて、特にセクター2で詰め寄られる感じがありましたが、セクター3は僕の方が速さはある感じだったので、なんとか凌ぎきれるかなと思っていたところSCが出ました。その時は『終わった……』『SC明けで前に行かれるかもしれない』と思っていたのですが、結果的にラッキーでした。第6戦は山口選手がポールなので、2人でいいレースができればなと思います。

▶︎第6戦決勝

一夜明けた13日(日)の午前に行われた第6戦の決勝レースでは、山口がポールポジションでスタートが切られた。山口が先頭でTGRコーナーに入っていくが、その後ろでは永井、木村、大蔵が3台並んで飛び込んでいくも、3台とも接触しスピンを喫してしまい、いきなり上位陣が後退する波乱となった。3台ともなんとか戦列に復帰したが木村はピットにマシンを戻してリタイア。永井も接触の影響があったのか、なかなかペースを上げられなかった。

これで、山口は1周目から6秒もの大量リードを築き、独走状態で周回を重ねていった。一方、序盤から勢いある走りを見せたのが、今大会がIPS初挑戦となっている翁長。1周目のアクシデントで行き場を失い、一時は6番手までポジションを下げたが、序盤の2周でジェントルマンクラスの#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)と#7 勝又隆二(J-POINT)を次々とかわすと、2番手を走る#3 FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)に接近。3周目のダンロップコーナーからプレッシャーをかけていき、GRスープラコーナーでインを突いてオーバーテイクに成功した。

翁長が2番手に上がったことにより、FLYING RAT、勝又、川田の3台で総合3番手を争う集団が形成されたが、ここに追いついてきたのが、1周目のスピンから挽回を目指す大蔵だった。4周目を終えるところで3台の背後に着くと、まずは川田を抜いて5番手に浮上。続いて勝又にプレッシャーをかけていくが、勝又もギリギリのところを抑えてポジションをキープしていく。それでも7周目のTGRコーナーでインに飛び込んだ大蔵が先行する形となり、4番手を獲得。その後、パナソニックコーナーでFLYING RATも攻略し、3番手まで順位を上げた。

序盤から大きなリードを手に入れていたトップの山口だが、それを1分46秒台のペースで翁長が追いかけ、両者のペースは徐々に縮まっていった。インタープロト車両での走行経験が積めていないという翁長だが、走るごとにタイムを上げていき、10周目には1分46秒512でファステストラップを更新。当初は8秒あった山口との差を3.6秒にまで縮めた。その後も攻めの手を緩めることなくタイムを刻んでいき、最終ラップには1分46秒440をマークした翁長だったが、あと1.9秒届かず。山口がポジションを守り切って、今シーズン初のトップチェッカーを受けた。2位には初参戦ながら見どころの多いレースをみせた翁長、3位には序盤のアクシデントから挽回した大蔵が入った。

これで、ポイントランキングでは大蔵が108ポイントに伸ばし、第2大会終了時点でトップだった永井を逆転。念願の初タイトルに向け、ランキングリーダーとして12月の最終大会に臨む。

Driver’s Voice

第6戦 優勝:#44 山口達雄

「1周目はスタートをうまく決めたのですが、1コーナーを立ち上がって後ろに誰もいなかったので、一瞬何が起こったのか、自分も混乱していました。これ大きなリードを手に入れたのですが、レースペースとして遅い部分がありました。最終的に1分46秒台は記録できませんでしたし……まだまだ自分の甘さがあるのかなと思いました。後ろから翁長選手がきているのは分かっていましたが、四脱とかをして変なペナルティをもらわないように走ろうと意識していました。次の最終大会も楽しく走って、第2大会の時のようなバトルができればいいですね」