IPS EXP RD3-4 RACE REPORT

FIRST

山口 達雄TATSUO YAMAGUCHI

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 71

2ND

寺川 和紘KAZUHIRO TERAKAWA

#55 人馬一体ドライビングアカデミー&KTR

TOTAL POINTS : 52

3RD

今橋 彩佳AYAKA IMAHASHI

#19 Garden Clinic Racing Team

TOTAL POINTS : 44

4TH

大蔵 峰樹 MINEKI OOKURA

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 44

エキスパートクラス鈴鹿大会はサイドバイサイドの熱戦に

2021 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer第2大会が7月24日(土)~25日(日)に鈴鹿サーキットで開催された。ジェントルマンレースのエキスパートクラスは2レースとも白熱したバトルが繰り広げられ、第3戦は#44 山口達雄(NAVUL)、第4戦は寺川和紘(人馬一体ドライビングアカデミー)がそれぞれ優勝を飾った。

普段は富士スピードウェイが舞台になっているインタープロトシリーズだが、今回は鈴鹿サーキットでの開催となる。F1日本グランプリの開催地として世界的に知られているサーキットだけに、特にジェントルマンレースに出場しているドライバーたちは、鈴鹿でのレースを楽しみにしている様子が見られた。

▶︎予選

24日(土)13時05分から始まった20分間の公式予選では、グリーンシグナル点灯とともに、各車が続々とコースインしていった。今回は全クラス合わせて15台がエントリーしたが、鈴鹿サーキットはコース幅が狭く、他の車両に引っかかる場面もあり、タイム更新に苦労している様子も伺えた。

そんななか、第2戦で優勝した#19 今橋彩佳(GARDEN CLINIC RT)が2分13秒765を記録するが、直後に#37 大蔵峰樹(キーパー号)が2分13秒367でトップに躍り出る。それをさらに上回るタイムを叩き出したのが、昨年の鈴鹿大会でも活躍した#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)。2分13秒168で、セッション残り10分を切ったところでトップに立った。

その後も、白熱したポールポジション争いが期待されたが、デグナーカーブに差し掛かった永井がコースオフを喫し、外側のガードレールにマシンをヒット。グラベルゾーンでマシンを停車することになった。幸い永井に怪我はなく自力でマシンを降りていたが、ここで走行を終了せざるを得なくなった。

セッション終盤まで各車はタイム更新を試みたが、トップタイムを上回る者は現れず、そのままチェッカーフラッグが振られ、永井がポールポジションを獲得。2番手に大蔵、3番手に#55 寺川和紘(人馬一体ドライビングアカデミー)がつけた。今シーズン初のポールポジション獲得となった永井だが、アクシデントの影響でマシンはフロント部分を中心に大きなダメージを受け、チームはすぐに修復作業に入ることとなった。

▶︎第3戦決勝

予選終了から3時間弱のインターバルを経て始まった第3戦の決勝レース。ポールポジションを獲得しながらも、予選中にアクシデントに見舞われた永井のマシンは、このレースまでに修復は間に合わず、欠場を余儀なくされた。これにより2番グリッドの大蔵を先頭にレーススタート。直後の1コーナーで3番手スタートの山口が寺川をパスして2番手に浮上すると、2台は1周目から大蔵の背後に食らいつき、チャンスを探っていた。

後方では#3 FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)と激しい4番手争いを繰り広げていた今橋が、3周目についに突破口を見つけ、2コーナーでFLYING RATの前に出る。そのまま、先頭集団に追いつこうとペースを上げたが、4周目の130Rでスピンを喫し後退。その後もレース続行を試みたが、6周目にピットに入り、戦線離脱となった。

接近戦のトップ争いは、レース後半に入っても続いていた。ペースとしては山口の方が優勢で、何度か大蔵に仕掛けようと試みるも、コース幅が狭く抜きどころが少ない鈴鹿では、なかなかチャンスに恵まれず、こう着状態が続いた。 このままの順位でレース終了になるかと思われたが、残り3周を切った頃から、CCS-Rクラスの車両がバックマーカーとして現れ始める。大蔵も注意深く対処はしていたものの、残り2周の130Rを曲がるタイミングで、ちょうど1台に引っかかる形となってしまった。

その隙を見逃さなかった山口は、直後のシケインでアウトから並びかけて進入。大蔵も、負けじと応戦し、2台はサイドバイサイドの状態を維持して、最終コーナーを駆け下ってくると、そのまま1コーナーまで意地の張り合いを続けた。この週末のレースで手に汗握る瞬間のひとつではあったが、2コーナーでわずかに競り勝った山口がトップを奪取。大蔵も最後まで諦めずに間合いを詰めるなど試行錯誤したが、再逆転には届かなかった。

こうして最終ラップを守り切った山口が今シーズン2勝目となるトップチェッカー。2位には大蔵、3位には寺川がつけた。レース後、マシンを降りると笑顔でバトルのことを話す山口と大蔵の姿があったが「正直いけたと思いました。でも、残り2周でバックマーカーがいて、(130Rの)進入までに抜ければ良かったんですけど……。あればっかりはタイミングだったので、仕方ないですね」と、悔しさをにじませていた。

Driver’s Voice

第3戦優勝:#44 山口達雄

「まずはスタートで寺川選手を抜けたのが大きかったです。そこからは大蔵選手に照準を定めていきました。ただ、鈴鹿は基本的に抜けないので、相手のミス待ちのような感じになっていました。あとはCCS-Rの車両がどこのタイミングで絡んでくるかだったんですが、まさかあのタイミングだったとは思っていなかったです。ラッキーではありましたけど、トップを狙いにいくしかない状況でした。あそこでアクセルの踏み出しが大蔵選手より少し早くて、とにかく並ぶだけ並ぼう!と思ってシケインに飛び込んでいきました。そこから1・2コーナーまでお互いにスペースを残しながら勝負ができました。山下選手とも『ここは抜けないからミス待ちだよね』ということを話していましたが……残り2周で運がめぐってきましたね」

▶︎第4戦決勝

大会2日目となった25日(日)も朝から暑い1日となったが、その中で10時30分から第4戦決勝が始まった。グリッドは前日の公式予選で各車が記録したセカンドベストタイム順となり、エキスパートクラスは今橋がポールポジションからスタートとなった。また前日の予選でアクシデントに見舞われ、第3戦は欠場となった永井だが、メカニックによる懸命な修復作業により、マシンは元通りに。IP車両の最後尾からスタートを切った。

スタートでは好ダッシュを決めた今橋が先頭で1コーナーへ。そこに大蔵、寺川、山口と続いていき、レース前半は4台が集団になってのトップ争いが展開された。

その一方で、後方から目覚ましい追い上げを見せたのが永井。スタートから次々と前のマシンを追い抜き、2周目には総合6番手に浮上。ファステストラップを記録して、さらに前の集団に迫っていったが、4周目の1コーナーでスピンを喫しポジションを落としてしまった。

トップ争いは序盤からこう着状態が続いたが、その中でペース良く走行していたのが、2番手を走る大蔵。日立Astemoシケインで何度か仕掛けるが、今橋も隙を見せず、ポジションをキープしていた。

また3番手争いも寺川と山口のバトルが続いており、7周目のヘアピンで寺川がわずかにミスをしたところで山口が追いつき、スプーンカーブのひとつ目で追い抜きにかかったが、ここは寺川が意地をみせてポジションを死守した。

時を同じくしてトップ争いも接近戦となり、130Rで今橋の真後ろにつけた大蔵が日立Astemoシケインでアウト側から追い抜きにかかった。一歩も引かないサイドバイサイドのバトルとなったが、接触してしまい2台ともにスピン。レース終盤になって優勝争いから脱落することとなった。

そのアクシデントをうまく回避してトップに立った寺川は、後続を一気に引き離し、念願のジェントルマンレースの総合トップチェッカーを受けた。2位には山口、3位には今橋が続いた。

Driver’s Voice

第4戦 優勝:#55 寺川和紘

「総合でのトップチェッカーというのが、何より嬉しいですね。でも、レースは苦しかったです。なかなかペースを上げられなくて厳しい部分もありましたし、速さで抜いていくのは難しかったので、とにかく虎視眈眈と走りました。その中でチャンスをモノにできました。終盤は後ろとの距離がある状態で、一瞬前回の富士の悪夢(第2戦でトップを快走するも最終ラップでスピン)が頭の中によぎったんですけど、逆にその時の経験が生きてクルマに集中して走ることができました。僕としては鈴鹿で勝ちたいと思っていたので、本当に良かったです!素直に嬉しいです!」