IPS EXP RD3-4 RACE REPORT

FIRST

永井 秀貴HIDEKI NAGAI

#32 GR Garage Yokkaichi

TOTAL POINTS : 80

2ND

川田 浩史HIROSHI KAWATA

#55 人馬一体

TOTAL POINTS : 64

3RD

山口 達雄TATSUO YAMAGUCHI

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 42

4TH

斎藤 愛未AIMI SAITO

#27 表参道メディカルクリニックレーシング

TOTAL POINTS : 40

白熱のトップ争い2連戦! 第3戦は川田浩史がエキスパートクラス初優勝、第4戦は永井秀貴が制しポイントリーダー堅守

2023 インタープロトシリーズ POWEED BY KeePer 第2大会が7月22日(土)・23日(日)に富士スピードウェイで開催。IPエキスパートクラスは2戦とも白熱のトップ争いが展開され、第3戦は#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)、第4戦は#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)がそれぞれ優勝を飾った。

今大会は大蔵峰樹が他のレースとの兼ね合いで参戦せず、#3 FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)も諸般の事情により欠場。これによりIPエキスパートクラスは永井、川田、#44 山口達雄(NAVUL)、#8 斎藤愛未(表参道メディカルクリニック)の4台で争われた。

【予選】

22日(土)の8時30分から始まった公式予選では、プロフェッショナルレースと同様に各車とも前車のスリップストリームを使ってタイムを伸ばそうとしていた。しかし、第1大会で表彰台を獲得する活躍を見せた斎藤はマシントラブルが出てしまい、満足にタイムアタックができないままピットに戻った。

セッション中盤にトップに立ったのが、今季からエキスパートクラスに挑戦している川田。セッション中盤に永井の背後についてタイムを稼ぎ、1分47秒342でトップにたった。これに対しセッション終盤にはライバルたちも続々とタイムを更新。山口が1分47秒546で2番手につけると、永井も1分47秒595で3番手につけた。結局、トップタイムを上回る者は現れず、川田がエキスパートクラス参戦2大会目で初のポールポジションを獲得した。

Driver’s Voice

ポールポジション:#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)

「(初の総合ポールに)びっくりしました! コースインしてから永井選手が前に行くシーンがあって、せっかくだから後ろをついて行こうと思いました。アタック中はスリップストリームもけっこう効いたと思います。今日は暑いので、昼の決勝は少し心配しています。しかも全体のポールポジションは初めてなので、手順を間違えないように宮田選手と一緒に確認したいと思います」

【第3戦決勝】

22日(土)15時00分から行われた第3戦決勝。各車がピットを離れてグリッドについたのだが、2番グリッドの山口はギアがうまく繋がらないトラブルが出てしまい、規定の時間までにコースインすることができずピットスタートとなった。

2番グリッドが空席のままレースがスタート。川田がトップを守ってTGRコーナーを通過するが、2番手に上がった永井がしっかりと背後につけ、レース序盤から隙を探っていく。これに対し川田も必死に対抗。3周目に永井との差を0.5秒まで広げると4周目には1分48秒854のファステストラップを記録し、さらに差を広げにかかった。

中盤に入ると永井もペースを上げ、5周目には1分48秒773でファステストラップを更新すると、6周目のメインストレートで川田の背後につき、TGRコーナーでインからオーバーテイクしトップに立った。

これで永井がペースを掴むかと思われたが、川田も必死に応戦。度重なるバトルの末、8周目のTGRコーナーで逆転を果たし、トップの座を取り戻した。

その後も2台のバトルは終わることなく、常に0.3~0.4秒の接戦バトルを展開。最終ラップも永井が各コーナーで顔を覗かせてプレッシャーをかけたが、最終パナソニックコーナーまでプレッシャーに耐え続けた川田がポジションを守ってメインストレートへ。チェッカーの瞬間までどちらが勝つか分からない状況だったが、川田がエキスパートクラス初優勝を勝ち取り、永井はわずか0.121秒差届かず2位となった。

エキスパートクラス3位はピットスタートから追い上げをみせた山口が獲得。斎藤は総合8番手でチェッカーを受け、クラス4位となった。

Driver’s Voice

第3戦優勝:#55 川田浩史(人馬一体ドライビングアカデミー)

「序盤はめちゃくちゃ必死におさえていました。最初はうまくブロックできたのですけど、気づいたら永井選手が内側にいました。(抜かれましたけど)近かったので、ついて行こうと思いました。逆転する時は、とにかく必死でした。エキスパートクラス初優勝は本当に嬉しいです! 自分も後半はタイヤがすごく厳しかったので、無事にゴールできて良かったです。ただ、12周は本当に長かったですね。疲れました」

【第4戦決勝】

23日(日)午前9時15分から始まった第4戦決勝。こちらは公式予選でのセカンドベストタイム順でグリッドが決定し、永井がポールポジションを獲得。2番手に川田、3番手に山口が並んだ。

前日の第3戦では川田と永井による白熱のトップ争いが展開されたが、第4戦では序盤から永井がリードを築いていく展開となった。前日の敗戦を受け、チームが徹底的にマシンのセッティングなどを見直し、セクター3でタイムを稼げるセッティングに変更。これに永井が応え、5周目には後続との差を1.1秒まで広げた。

一方の川田は山口と白熱の2番手争いを展開。レース中盤は何度もサイドバイサイドになりかけるシーンがあったが、なんとかポジションを死守していった。

後方では斎藤が、今大会が初のIPS参戦となるジェントルマンクラスの#37 植田正幸(キーパー号)と白熱のバトルを披露。なかなか前に出る決め手を欠いていた斎藤は諦めずにチャンスを探り続け、10周目のGRスープラコーナー手前で植田がCCS-Rクラスの車両に引っかかった瞬間を見逃さずオーバーテイクに成功。総合5番手に浮上した。

最終ラップに入ると、3番手の山口が最後の力を振り絞り、川田を攻略するべく勝負に出る。グリーンファイト100Rでアウト側から並びかけると、ADVANコーナーからダンロップコーナーにかけサイドバイサイドのバトルを展開。なんとか川田がポジションをキープするが、セクター3でも緊迫した接近戦が繰り広げられた。

結局、スタートから一度もトップを譲らなかった永井が、最後は3.8秒のリードを築いて優勝を飾った。2番手争いは0.135秒差の接戦となったが、川田がに2位を死守。3位には山口が続いた。

Driver’s Voice

第4戦優勝:#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)

「第3戦の結果を受けて、チームのみんなが今日に向けてセットを詰めてくれて、特にセクター3でもっとクルマが曲がってくれるようにしてくれました。それがあって僕も良い走りができました。前半から思い切り飛ばしていくつもりでいましたけが、後半はタイヤの内圧が上がって苦しかったです。それでも最後まで攻めることができるクルマに仕上がっていました。みんなが一生懸命セットをどう詰めようかと考えてくれて、その頑張りに報いることができてよかったです」

【ポイントリーダー永井が語る“気が抜けない後半戦”】

第2大会を終えて、IPエキスパートクラスは永井が80ポイントで首位を快走。2番手に川田が64ポイントで追いかける展開となっている。今大会では終始力強い走りをみせた永井は今季2勝目を飾った第4戦終了後に、次のように語った。

「川田選手をはじめ、みなさんずっと1分48秒台のペースで安定していました。みなさんペースが本当に変わりなくて、ほんの少しの差で順位とかが変わると思います。今日勝ったからと言ってこれで満足したら、また負けてしまうと思います。すごく僅差でセットアップ次第で逆転される可能性があると思っています。そこは気を引き締めて、後半戦も引き続き頑張っていきたいと思います。ライバルの技術がすごく上がっているので、僕もなんとかしないといけないなと思っています」

エキスパートクラスでチャンピオン経験のある永井だが、今年は例年以上に手強いライバルが揃い、レベルの高いチャンピオン争いになるのではないかと警戒感を強めているとともに、その勝負をどこか楽しみにしている様子だ。

一方、16ポイント差で追いかける川田も、第4戦で新たな課題が見つかった様子。「昨日も永井選手はタイヤをコントロールしながら走っていたとのことでしたが、自分はそれが出来ていなくて終始全開で走っていました。なので、今日も早々にタイヤが苦しくなってペースが上がらず大変でした。今日は精神的にしんどかったですね。昨日はわりと楽しいという気持ちが強かったですけど、今日は永井選手になかなか追いつかないですし、後ろからは山口選手が来ますし、しんどかったです」と苦笑いをみせた。

9月の第3大会では大蔵、FLYING RATも参戦することになると見られており、さらに白熱したバトルが展開されそうだ。今年のインタープロトはプロフェッショナルレースに負けないくらいジェントルマンレースの行方も、目が離せない。