IPS EXP RD3-4 RACE REPORT

2レースとも最後まで大接戦のバトルに。第3戦は大蔵峰樹、第4戦は永井秀貴が優勝を飾る

2022 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer 第2大会のジェントルマンレースが10月22日(土)・23日(日)に富士スピードウェイで開催され、IPエキスパートクラスでは第3戦を#37 大蔵峰樹(キーパー号)、第4戦を永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)がそれぞれ制した。

5月の開幕大会から、約5ヶ月のインターバルを経て開催された今回の第2大会。土曜日からの公式セッションを前に、各チームとも事前に富士スピードウェイに乗り込んで、積極的に練習を重ねていた。今大会のIP車両は10台がエントリーしているが、このうちエキスパートクラスには4台が参加。昨年のチャンピオンである#44 山口達雄(NAVUL)が今シーズン初参戦となり注目を集めた。

▶︎予選

土曜日の公式予選では、コース上に落下物が発生したため、セッション途中で赤旗が出されたが、残り5分ほどで予選が再開されると、激しいポールポジション争いが繰り広げられた。特にエキスパートクラスでは、大蔵、永井、山口が周回を重ねるたびにタイムを更新していたのだが、最終的に一歩抜け出たのが大蔵。最後のアタックで1分46秒922を叩き出し、今季初のポールポジションを獲得した。2番手には永井、3番手には山口が続いた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#37 大蔵峰樹

「昨日までの感じをみると、計測3周目でタイムが出るというのは分かっていました。ちょうど、赤旗になった周もセクター1でベストタイムを刻めていたのですが、前にクルマもいてタイミング的にどうかなというところで。赤旗になったので『仕方ないな』と思いました。残り6分くらいだったので、最後は(タイムを)出せるところまで出そうという感じでいきました。1レース目の決勝は、スタートで前に出られれば、何とかなるかなと思っています。願わくば、永井選手と山口選手が競り合ってくれれば、その間に逃げられればなと思っています」

▶︎第3戦決勝

午前中の予選は曇り空の中で行われたが、15時25分から始まった第3戦決勝では西日が差し込む中でのレースとなった。12周で争われるジェントルマンレースだが、エキスパートクラスは開幕大会と同様に、スタートから目が離せないバトルが繰り広げられた。

スタートはポールポジションの大蔵がトップを守ってTGRコーナーを通過するが、2番手の永井がしっかりと背後に食らいつき、コース後半のダンロップコーナーでオーバーテイク。トップを奪った。さらに後方には山口と#3 FRYING RAT(INGING MOTORSPORT)も迫っており、序盤から四つ巴の緊迫した戦いとなった。

中でも、永井と大蔵のトップ争いは白熱。2周目のTGRコーナーで大蔵が逆転すると、すかさず永井も並びかけるなど、一瞬も目が離せない攻防戦となった。その後ろでは山口とFRYING RATもサイドバイサイドのバトルを演じていた。

5周目に入ると、早くもCCS-Rの車両がバックマーカーとして現れ、上位陣はうまくかわしながらバトルを続行した。永井がバックマーカーの処理に少し手間取った間に大蔵がリードを広げ、この周の終わりでは1.1秒までギャップを広げたが、6周目のセクター3でバックマーカーに引っかかってしまい、永井、山口に追いつかれてしまう。

ここを勝機と捉えた2番手の永井は7周目のTGRコーナーでインに飛び込むが、大蔵もしっかりとブロック。永井は背後に食らいついてチャンスをうかがったが、ADVANコーナーの立ち上がりでコースオフしてしまい、その間に山口が2番手に浮上した。

この勢いで、今度は山口が大蔵の攻略にかかる。TGRコーナーやコカ・コーラコーナーで横に並びかけて行くが、大蔵が冷静に対処してトップを死守。その間に、コースオフでのタイムロスを挽回してきた永井が再び追いつき、3台が1秒以内の感覚でひしめく超接近戦の状態で、最終ラップに突入した。

TGRコーナーを始めコース前半では誰も勝負を仕掛けずに様子を見ていたが、後半のダンロップコーナーには2番手の山口がアウトから、3番手の永井がインから並びかけ、3ワイドの状態で進入。手に汗握る攻防戦のなか、大蔵がなんとかトップを守りきってセクター3も走破。そのままトップでチェッカーを受け、2020年の第6戦以来となる優勝を飾った。2位には山口、3位には永井が続いた。激戦となったエキスパートクラスの優勝争いだが、表彰台では3人が笑顔で健闘を讃えあっていた。

Driver’s Voice

第3戦 優勝:大蔵峰樹

「スタート前は、正直『単独で逃げていけるかな?』と、最初は余裕を持っていました。1周目はセーフティに行くことを心がけていたのですが、案外サクッと永井選手に(前に)行かれて、だいぶ焦りました。その後は三つ巴になってしまったので、なんとかミスをしないように、深呼吸しながら走っていました。最終ラップのダンロップコーナーでは、2人が両サイドから抜きにこられたので『どうしよう?』と思っていましたが、なんとかトップを守れました。ここ最近は、ずっと山口選手や永井選手の後ろでゴールすることが多かったので、ようやく前に行けて嬉しいです。でも、2人の走りをみると、第4戦に向けては『ヤバイなぁ……』という感じですが、冷静にレースを進められようにしたいです」

▶︎第4戦決勝

23日(日)は、朝から青空が広がり、午前9時15分から第4戦の決勝が12周で争われた。前日の公式予選のセカンドベストタイム順でグリッドが並べられ、エキスパートクラスは大蔵、永井、山口、FRYING RATと、第3戦と同じグリッド順でスタートが切られた。

TGRコーナーでは大蔵がトップを守ったが、後方からチャンスをうかがっていた2番手の永井がパナソニックコーナーでインを突いてトップに浮上。その2台を山口とFRYNG RATが追いかけるという、前日の第3戦と全く同じレース序盤の展開となった。

第3戦では前半に攻めすぎたことで、後半はタイヤが苦しくなってしまったという永井。第4戦ではマネジメントをしようと考えていたが、ペースの良さを生かして、序盤から逃げていく戦略に切り替えた。一方の大蔵は、レース途中で現れるバックマーカーを処理する際にチャンスを見出そうと、虎視眈々とその時を待っていた。

3番手の山口はマシンに小さなトラブルを抱えながらの走行ということもあり、次第にトップ2台から引き離され、FRYING RATの猛追を受けて防戦一方の展開に。6周目のADVANコーナーではスピンを喫してしまい、大きく順位を落としてしまった。結局、山口はシフトダウンができないトラブルに見舞われてしまい、10周目にピットイン。2戦連続の表彰台とはならなかった。

中盤に入っても接近戦の状態が続いた永井と大蔵によるトップ争い。展開が動いたのは後半の8周目だった。コカ・コーラコーナーの立ち上がりで、CCS-Rのバックマーカーに引っかかってしまった永井の隙をつき、大蔵が一気に攻め立てていったが、永井もしっかりと相手の動きを読んでブロック。その後も、大蔵はTGRコーナーを中心に並びかけるが、永井も必死に抑え込んだ。

それでも大蔵は諦めずに、11周目のTGRコーナーではインを抑える永井に対して、アウトから抜きにかかるが、ブレーキングで姿勢を乱してしまいタイムロス。これで若干のリードを築いた永井が、最終ラップも逃げ切ろうとするが、意地で追いついた大蔵がパナソニックコーナーで最後の勝負に出るが、順位は入れ替わらず。そのままトップチェッカーを受け、今シーズン3勝目をマークした。2位には大蔵、3位にはFRYING RATが入り、今季3度目の表彰台を獲得した。

2日続けて、大接戦のバトルを演じた永井と大蔵だが、ここでも笑顔でお互いの健闘を讃えあっていた。

Driver’s Voice

第4戦 優勝:永井秀貴

「終始、大蔵選手とのバトルでしたが、本当にフェアで楽しくレースをさせていただきました。昨日と同じ展開になって、当初は後半までタイヤを温存しようと考えていましたが、スタートから良いペースだったので、そのまま行こうと思いました。ただ、後半はタイヤが苦しくて大蔵選手に迫られて、最後の方は本当にキツかったです。とにかくブロックするしかない状態でしたけど、何とか凌げて優勝することができました。すごく楽しいレースでした」