ジェントルマンは豊島豊とFUZZYが勝利を分け合い、プロフェッショナルでは石浦宏明が2連勝をマーク
2024 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer第1大会が5月11日(土)・12日(日)に富士スピードウェイで開催され、CCS-Rクラスではジェントルマンレース第1戦を#51 豊島豊(TR CCS-R)が、第2戦を#28 FUZZY(KK CCS-R)が制した。プロフェッショナルレースは、#51 石浦宏明(TR CCS-R)と#28 大湯都史樹(KK CCS-R)によるSUPER GTのチームメイト対決に注目が集まり、2レースとも石浦が優勝を飾った。
今回は久しぶりに2台がエントリーしたCCS-Rクラス。予選から接戦の戦いとなったが、最後は0.4秒上回った豊島がポールポジションを獲得した。続く第1戦の決勝レースも、スタートから豊島がレースをリードしていったが、FUZZYも背後に食らいつき、一進一退の接近戦が続いた。5周目を過ぎても両者の差は0.9秒と緊迫した状態が続いていたが、後半に入るにつれて豊島が徐々にリズムを掴みリードを広げていく。それでも、後ろが気になって時よりミスもあったという豊島だが、最後までトップの座を譲らず、1.7秒差でチェッカーを受けた。
「僕が逃げて、後から追われるというレースをしたことがなかったので、後ろが気になって仕方なかったです。それで逆に遅くなってしまいました。予選と同じように走れなくて大変でしたが、これもひとつ勉強になったので、明日は思い切って後ろを見ずに、前だけに集中して行こうかなと考えています」
12日午前に行われた第2戦決勝は、前日の予選で記録されたセカンドベストタイム順となり、ここでも豊島がポールポジションとなった。ところがスタート進行時にピットアウトした際に出口にある白線を跨いだとしてレース結果に5秒加算されるペナルティを受けることとなる。
これにより、見た目上は豊島が先行したが、FUZZYが実質的にトップという状態に。豊島も着実にレースをすることを心がけていたというが、残り周回が少なくなったところでハーフスピンを喫してタイムロス。その間にFUZZYが追い抜いて先頭に躍り出た。なかなか経験のないトップ走行で緊張する場面ではあったが、FUZZYは落ち着いてゴールまでマシンを運び、そのままトップチェッカー。見事に第2戦を制した。
第2戦 優勝:#28 FUZZY(KK CCS-R)
「第1戦では豊島選手の後ろについて色々と勉強させてもらいました。第2戦では後からプレッシャーをかけたら何とかなるかなと思ったのですが、結果的に僕の方がミスばかりしていて、2回くらい引き離されてしまいました。なかなか難しかったです。でも豊島選手がスピンされている間に『ここしかない!』と思って追い抜いて、その後は必死に走りました。次戦でも豊島選手と競り合えるようにしっかり練習したいと思います」
今回のCCS-Rクラスは石浦と大湯がエントリー。SUPER GTでコンビを組む2人がCCS-R車両を使ってガチンコバトルを繰り広げるということで大きな注目が集まった。
「Supraクラスの車両も乗りましたけど、あっちは『GT4』という感じで、CCS-Rはすごく市販車っぽい動きをするなと思いました。すごくジェントルマンドライバーが乗りやすいクルマだなと思います。サーキット走行をされていない方にはオススメなクルマだと思います」と大湯。色んなドライバーに乗りやすく仕上げられているCCS-R車両に感心している様子だった。
11日午前のプロフェッショナルレース予選では、石浦がコース上の混雑していないセッション前半にタイムアタックを行ったのに対して、大湯はIP車両のアタックが本格化する後半にコースイン。最後にタイムを出すという作戦にでた。コース上が混雑しやすく、クリアラップが取りづらいということはあるものの、後半になればなるほど路面コンディションが良くなるというメリットもある。大湯は最終ラップに1分50秒213をマークし石浦を0.017秒逆転。見事初参戦でクラスポールポジションを獲得したかに思われた。
しかし、大湯のベストタイム計測時に走路外走行があったとして、当該ラップタイムは削除。さらにセカンドベストだった1分50秒332も走路外走行により削除となり、結果的に石浦が0.3秒リードしてポールポジションを獲得した。
ポールポジション:#51 石浦宏明(TR CCS-R)
「最初は『0.017秒負けた』と思っていたら『走路外走行検証中』と表示されたので、『なんて面白い展開なんだ! さすが、大湯選手はネタを提供してくれるな!』と思いました。でも、僕も走路外走行ギリギリのところまで『大湯に負けたくない』と思って攻めていたので、(大湯選手の)気持ちはわかります。SUPER GTではチームメイトで、ある意味で僕たちが一番そこを意識しているかもしれません。決勝はどうなるのか、全く予想がつかないですがすごく楽しみです。いつもCCS-Rはなかなか注目されないと思いますが、僕たち2人だとけっこう注目してくれる人も増えると思うので、楽しんでやりたいと思います」
12日午後の決勝レースは第1戦から2人のバトルが白熱。逃げようとする石浦を大湯がしっかりとマークし隙を探った。お互いに手の内を知っているということもあってか、前半は様子見という感じだったが、後半にかけて大湯が差を詰めて仕掛けようとする。しかし、横に並びかけるまでには至らず、第1戦はそのままの順位でフィニッシュ。石浦が開幕戦を制した。
第1戦の結果順で第2戦がスタート。ここでも大湯が石浦の背後についてチャンスをうかがうが、順位は変わることなく後半に突入。ここからインタープロトシリーズでは経験豊富な石浦が少しずつリードを広げていき、主導権を握っていく。対する大湯も後半に逆転を狙ったが、最終ラップに入るところで車両トラブルが発生してスローダウン。石浦が独走状態となり、開幕2連勝を飾った。
「第2レースの途中から(エンジンが)吹けなくなってきて、パワー感もなくなっている気がしていました。最後は完全に吹けなくなりました」と大湯。「第1レースはそれなりに競り合うことができたので、良かったかなと思います」と悔しそうにしながらも手応えは感じている様子だった。
第1戦・第2戦 優勝:#51 石浦宏明(TR CCS-R)
「今回は調子が良い方のクルマに乗らせてくれているので、大湯が先輩に譲ってくれているのかなと(笑)。予選から接戦で、決勝も楽しめました。もうちょっと簡単に逃げられるのかなと思ったら、大湯が本気の粘りで途中から追い上げてきたので、こっちもそれに動揺してミスをしたりしていました。なかなか気が抜けない“疲れるレース”でしたね。2レース目は少しずつ距離を作れたので、そこで少し楽になりました」