KYOJO CUP RD1 RACE REPORT

FIRST

辻本 始温SHION TSUJIMOTO

#18 ORC AGUROS VITA

TOTAL POINTS : 20

2ND

荻原 友美TOMOMI OGIHARA

#36 KNC VITA

TOTAL POINTS : 16

3RD

山本 龍RYU YAMAMOTO

#87 おさきにどうぞ☆VITA

TOTAL POINTS : 13

4TH

TOTAL POINTS : 10

参戦2年目の辻󠄀本始温が熾烈な4台バトルを制し、嬉しい初優勝

2021年のKYOJO CUP SUPPORTED BY MUSSE PLATINUMの第1戦が6月6日(日)に富士スピードウェイで開催され、#18 辻󠄀本始温(ORC ARUGOS VITA)がシリーズ初優勝を飾った。

日本唯一の女性ドライバーのみで争われるレースシリーズとして発足したKYOJO CUP。設立5シーズン目となる今年は前年王者である三浦愛がシリーズを卒業したが、新しいドライバーも増え、開幕戦のエントリーは15台に。豪華なメンバーで、予選から熾烈なバトルが展開された。

▶︎予選

11時10分から行われた公式予選は、直前に雨が降り始めウエットコンディションに。グリーンシグナルとともに各車が続々とコースインしてタイムアタックを試みるも、雨量が次第に増えタイムの更新が難しい状況になっていった。

そんな中で速さを見せたのが、昨年はTCJジャパンシリーズで活躍し、KYOJO CUP初参戦となる#34 下野璃央(YGF VITA01)。セッション序盤からライバルを圧倒するタイムを次々と刻み、最終的に2番手に対して0.499秒の差をつける2分15秒127を記録した。これに対し、#87 山本龍(おさきにどうぞ☆VITA)も周回を重ねるごとにタイムを更新するが、下野のトップタイムには及ばず。セッション終盤に辻󠄀本が2分15秒626を叩き出したが、こちらも下野を逆転することができず、結局ライバルに対して0.499秒の大差をつけた下野がデビュー戦でポールポジションを獲得。2番手に辻󠄀本、3番手に山本が続いた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#34 下野璃央

「ウエット路面は練習走行の時から調子が良かったので、正直『雨が降ってほしい!』と思っていました。その通りのコンディションになったので、最初から自信を持って走れました。(雨量が多くなってもタイムを伸ばしてきましたが)もちろん、タイムのことを考えると雨量が少ない方が上がるんですが、個人的には雨量が多い方が走りやすい印象でした。このまま、決勝でも良いレースができればなと思っています」

▶︎決勝

15時30分から10周で争われた決勝は、天候が回復しドライコンディションでのレースとなった。ポールポジションの下野は着実にスタートダッシュを決めて、TGRコーナーをトップで通過。それを辻󠄀本、山本が追いかける展開となった。1周目から各所での接近戦バトルが展開されたが、ダンロップコーナーで#24 藤島知子(ENEOS.CLA.PMU01)と#48 星七麻衣(ワコーズ EDニルズVITA)が接触。星七がスピンを喫し後退した。なお、他車への接触行為として藤島がレース後に30秒加算のペナルティを受けた。

また、6番手スタートだった斎藤愛未(D.D.R vita01)もスタート時にフライングがあったとして、ドライブスルーペナルティを受けたほか、今回がデビュー戦となる#38 永井歩夢(LHG Racing YLT)もトラブルで1周目にピットインを余儀なくされ、そのままレースを終えるなど、スタート直後から早くも波乱の展開となった。

そんな中、トップ争いで名乗りを上げたのは2番手スタートの辻󠄀本。2周目のTGRコーナーで下野とのサイドバイサイドのバトルの末にトップを奪うと、そのままリードを広げて逃げにかかった。山本も下野を抜いて2番手に上がると、3周目に2分02秒010のファステストラップを叩き出し辻󠄀本に接近する。特にTGRコーナーで横に並びかけてトップに立とうとするが、辻󠄀本も必死でブロック。気の休まる暇がなかったという辻󠄀本だが、集中力を切らさずにトップを守った。

2台によるトップ争いが白熱している間に、3番手の下野と、4番手の#36 荻原友美(KNC VITA)が追いつき、4台が集団となって最終ラップに突入する。

ここで仕掛けたのが下野。辻󠄀本を抜きあぐねている山本の隙を突き、ADVANコーナーで2番手に浮上した。山本は再逆転を狙ってダンロップコーナーで下野のイン側に飛び込んだが、ちょうど予選時に降った雨が乾き切っていない路面に足元をすくわれる形となり、オーバーラン。この隙に下野と荻原が先行した。

最後まで抜きつ抜かれつの展開となったが、辻󠄀本はライバルにポジションを明け渡すことなくフィニッシュラインを横切り、参戦2年目にして初優勝を飾った。昨年もところどころで上位に食い込む速さをみせていた辻󠄀本だが、悔しい結果に終わることが多く、課題克服のためにシーズンオフもスキルアップのための努力を怠らなかった。その中で、ようやく掴んだ最高の結果に、レース後は満面の笑みをみせていた。

下野が2番手、荻原が3番手でチェッカーを受けたが、下野はレース後の車検で最低重量が規定に満たず、失格に。これにより、荻原が2位、山本が3位とそれぞれ繰り上がることとなった。

Driver’s Voice

優勝:#18 辻󠄀本始温

「やっとオーナーさんやスポンサーさんに良い報告ができるので、嬉しいです。昨年の最終戦の最終ラップに抜かれたのがすごく悔しくて、それから気持ちが強くなったかもしれません。トレーニングもそうですし、レースのことをいつも考えるようになっていて、それこそ通学で10分くらい歩いている時もレースのことを考えてしまうし、セッティングのこととかも考えて、イメージトレーニングをしていました。(予選の)ウエットコンディションでは下野選手が速いことは分かっていたので、少しでも近づこうと、セッティングも予選の直前に変えてもらったりしました。それがうまくいきました。決勝は晴れることが分かっていたので、ドライコンディションでは絶対にいかなきゃいけないと思っていましたし、早い段階で前に出て、自分がレースのペースを作っていこうと考えていました。山本選手は速かったですし、後ろにいる時のプレッシャーはものすごかったですが、1コーナーさえ守りきれば、いけるかなと思いました。それでもゴールまで気が休まらず、勝つことができて本当に良かったです。今年は何とかチャンピオンを獲りたいです」

2位:#36 荻原友美

「2位表彰台を獲得することができましたが、正直今回は決して私が速かったわけではないレースでした。終始、前のバトルを眺めていた状況でした。前日のFCR VITAのアクシデントでも学ぶことがあったのですが、このレースで私がするべき仕事として意識していたのは、前の3台についていくのは最低条件で、前のマシンにアクシデントが起きたり、挙動を乱した時に、私がリスクを背負わずに回避して、前に出られるようにすることでした。それが最後までしっかりできたと思います。最終的に2位に上がる形になりましたが、久しぶりの表彰台ですし、良かったなと思っています。今年の目標は常にトップ集団で戦えるドライバーになることです。その中で優勝できればいいですが、常にそれを狙える位置にいられるようなドライビングや精神面の整え方をきちんとできるように、この1年努力したいと思っています」

3位:#87 山本龍

「前日のFCR VITAのレースをふまえて、タイヤをどれくらい持たせるかを考えて走っていました。その中で今回はずっとバトルができたので、今までになく面白いレースでした。最終ラップのダンロップコーナーに関しては、自分だったら、あそこの距離から止まれるなと思ったんですけど、そのラインがまだ濡れていて、思った以上に行き過ぎてしまいました。幸い他のマシンに当たらなかったので良かったです。3位でしたが、シーズンのことを考えると悪くないスタートだと思います。これからも一生懸命練習していければなと思っています」

第1戦上位3名
第1位 #18 辻󠄀本始温選手
BABY-G賞
エアージェイ賞
イオンモール賞
DIREZZA賞
第2位 #36 荻原友美選手
BABY-G賞
エアージェイ賞
イオンモール賞
第3位 #87 山本龍選手
BABY-G賞
エアージェイ賞
イオンモール賞

ポールポジション獲得#34 下野璃央選手
ファステストラップ記録#87 山本龍選手

副賞
BABY-G賞
エアージェイ賞
イオンモール賞