KYOJO CUP RD6 RACE REPORT

FIRST

斎藤 愛未AIMI SAITO

#17 Team M 岡部自動車 D.D.R VITA

TOTAL POINTS : 115.5

2ND

翁長 実希MIKI ONAGA

#114 Car Beauty Pro RSS VITA

TOTAL POINTS : 77

3RD

下野 璃央RIO SHIMONO

#86 Dr.Dry VITA

TOTAL POINTS : 75

4TH

平川 真子MAKO HIRAKAWA

#44 ROOKIE Racing RSS VITA

TOTAL POINTS : 64

ポール・トゥ・ウィンで今季4勝目を挙げた斎藤愛未が初のシリーズチャンピオンに輝く

2024年のKYOJO CUP第6戦が12月22日(土)に富士スピードウェイで開催され、ポールポジションからスタートした#17 斎藤愛未(Team M岡部自動車 D.D.R VITA)が今季4勝目を挙げ、2024年のシリーズチャンピオンに輝いた。

過去最多となる全6戦で行われてきた2024年シーズン。来季からフォーミュラカーのKC-MG01に変更されるため、初年度から参戦車両として使用してきたVITA-01でのKYOJO CUPは今回で最後となる。それもあり、今回は史上最多となる37台がエントリー。朝の公式予選から多くのファンで賑わった。

注目を集めたのは、やはり2024年シーズンのシリーズチャンピオン争い。第5戦を終えた時点で斎藤が81ポイントを持って首位をキープし、#114 翁長実希(Car Beauty Pro RSS VITA)が77ポイントで2番手につけ、この最終戦で直接対決を迎えた。

【予選】

午前8時50分から行われた公式予選では、過去最多の37台がタイムアタックを行うということでコース上ではトラフィックも発生。思うようなペースでタイヤを温めるのも難しい状況の中、各車はうまくスペースを見つけてアタックしていった。

今回は気温が低いこともあって全体的にラップタイムが上がり、最初のタイムアタックから上位陣は2分を切るタイムを記録。この中でいち早くトップに立ったのが翁長で、開始6分を過ぎたところで1分59秒438をマークしライバルを上回った。これに#86 下野璃央(Dr.DRY VITA)が1分59秒532で2番手、#38 佐々木藍咲(LHG Racing DRP VITA)が1分59秒640で3番手に続く。翌周に翁長と下野が1分58秒台を記録し一度クールダウンラップに入るなか、周囲とタイミングをずらして斎藤がタイムアタックを開始。前半セクターでは上位陣に対して遅れをとっていたが、最終の第3セクターでライバルを大幅に上回るタイムを記録し1分58秒498でトップに躍り出た。

Driver’sVoice

ポールポジション:#17 斎藤愛未(Team M岡部自動車 D.D.R VITA)

「トラフィックに引っかかって、なかなかベストな1周が刻めませんでした。最後も良い感じに来ていて1分57秒台に入るかなという感触がありましたが、トラフィックに引っかかってしまって残念です。もっとタイムを出せるポテンシャルもあるので悔しいですが、ポールポジションを獲ることができて安心しました。チームも『絶対チャンピオンを獲らせてやる!』という気持ちで準備や調整をしてきてくれています。土曜日のFCR-VITAのレースでは上手くいきませんでしたが、すぐに立て直して良い感触が掴めて確実にポールポジションを獲れると思っていたので、それが形になってよかったです」

【決勝】

13時05分から12周で争われた決勝レース。スタート進行時は多くのファンがグリッドに入場し、今年一番の盛り上がりを見せた。スタートではポールシッターの斎藤と2番手の翁長が並んだ状態でTGRコーナーに突入していったが、ブレーキング時に翁長がタイヤをロックさせオーバーラン。6番手までポジションダウンしたところから挽回を目指すも、直後のコカ・コーラコーナーでスピンを喫して最後尾まで後退した。

翁長の後退により、2番手以降の集団は混戦模様となり、4番手スタートの#225 富下李央菜(KTMS VITA)が2番手に上がるが、2周目に入るところで下野が逆転し2番手に浮上。さらに永井も富下を抜いて3番手に浮上した。

後方でも各所でバトルが白熱するなか、序盤でコンスタントに順位を上げたのが20番手スタートの#4 岡本悠希(グッドスマイル 初音ミク VITA)。1周ごとに前のマシンを抜いて一時は16番手まで浮上した。また、序盤のスピンで最後尾近くまで後退した翁長は、オープニングラップを終えた時点では31番手。だったが、諦めずに追い上げを開始して3周目には24番手まで浮上した。

2番手の下野は何とかトップの斎藤に追いつこうと1秒以内のギャップを維持していたが、5周目のTGRコーナー進入時にシフトミスからオーバーラン。その間に永井と富下が先行するが、リズムを取り戻した下野が6周目の13コーナーで富下をオーバーテイクし表彰台圏内に復帰した。下野のオーバーランの隙に2番手に上がっていた永井も斎藤を追いかけたが、その差は徐々に広がっていく一方。斎藤は7周目に1分58秒525のファステストラップを記録して、後続に2秒のリードを築いた。

終盤に差し掛かると“第2集団”のバトルが白熱。なかでも盛り上がったのが#16 白石いつも(Team M 神戸の不動産屋さんRe-Kobe VITA)、#37 金本きれい(KeePerアポロ電工フジタ薬局VITA)、#213バートン・ハナ(PRIX WORKSHOP VITA)による6番手争いだ。

メインストレートでは毎回3ワイドになる勢いで順位を入れ替えながらのバトルを披露。最終的にKYOJO CUP参戦が2度目となる白石が6番手を奪取し、集団から抜け出す。一方で金本とハナのバトルが続いている間に#761 岩岡万梨恵(フクダ電子VITA)と佐々木が接近し、4台によるバトルに発展していった。ただ、ハナは10周目のダンロップコーナーでタイヤをロックさせスピン。ポジションを落とすことになった。

序盤からトップを死守し周回を重ねてきた斎藤は、終盤に入って周回遅れの車両が出現した場面でも冷静に対処していき、11周目には1分58秒517のファステストラップを記録。最後は3.1秒の差をつけて、今季4勝目となるトップチェッカーを受けた。そして、この瞬間に自身初となるKYOJO CUPのシリーズチャンピオンも決めた。2位には永井が今季最上位となる2位に入り、3位には下野が続いた。

1周目に大きく遅れた翁長は懸命の追い上げをみせて15位フィニッシュ。「1コーナーでブレーキ勝負に持ち込みましたが、タイヤがロックアップしてオーバーランしてしまいました。復帰した後もチャンスがあると思っていましたが、オーバーステアでスピンをしてしまい……。その瞬間にチャンピオンの可能性がなくなったことはすぐに理解しました。それでも、最後の1周まで『もう1台、もう1台』と思いながら、しっかりと冷静に1台1台着実に追い上げられました。今、終わっての感想は『とにかく悔しい』の一言です」と涙ながらに語った。

初のKYOJOCUPチャンピオンに輝いた斎藤は、今季スーパーフォーミュラとSUPER GT(GT500クラス)でシリーズチャンピオンとなった坪井翔の妻で、7月のKYOJO CUP第2戦・第3戦で優勝した際には、併催のスーパーフォーミュラで夫の坪井も優勝を果たして話題となった。今回は、夫婦が同シーズンでチャンピオンに輝くという過去に例を見ない快挙を成し遂げた。

Driver’sVoice

優勝:#17 斎藤愛未(Team M岡部自動車 D.D.R VITA)

「木曜日と金曜日の走行では不安なところがありましたが、前日の夕方にあった練習走行で良い感触を掴めたので自信はありました。ラップタイムの平均値をあまり下げないことを気にして走っていましたし、後ろにも差をつけることができたので、後半はいくらか楽な展開になりましたが、最後まで油断はできなかったです。今回は様々なプレッシャーをすべて受け止めてきたので、とても不安もありました。人生で一番大きな出来事ですし、絶対に決めなければならないという重圧もあったので大変な思いもしましたが、周りから明確な助言もあったお陰で今日このような結果に繋がりました。シリーズチャンピオンになれて、まずはホッとしましたし、嬉しい気持ちでいっぱいです」

2位:#50 永井歩夢(BBS VITA)

「下野選手がポジションを落としたことによってトップを追いかける状況に持ち込めたのですが、やっぱり(斎藤選手は)速いですね。スリップストリームが使える範囲の外だったのでうまく追い上げられず、全く差がつまらなかったです。特に後半は淡々と練習走行のような感じで単独で走る状態になっていました。今シーズンの最上位ではありますが、レース前に監督から『優勝以外はいらない』と激励をいただいていたので、感想としては悔しいです。来年こそは悔しさを晴らします」

3位:#86 下野璃央(Dr.DRY VITA)

「7番手からスタートして最初のうちに2台は抜こうと思っていました。4番手あたりから1台、2台と抜いて2番手を走行していましたが、単独でシフトミスをしてしまって。本来4速に落とす場面で気合いが入りすぎてしまったか、ニュートラルに入って止まりきれませんでした。過去にもそれでエンジンを壊してしまうことがあり、今回は対処できましたが、それで順位を落としてしまいました。その後は表彰台圏内までなんとか戻ることが出来ましたが、前に追いつくことはできず、今までのなかで一番反省のレースですね」