KYOJO CUP RD3 RACE REPORT

5年ぶりにコースレコードを塗り替えた翁長実希が、3戦連続ポールトゥウィン。女王の座に一歩近づく

2022年のKYOJO CUP第2戦が11月13日(日)に富士スピードウェイで開催され、#37 翁長実希(KeePer VITA)が、3戦連続のポールトゥウィンを果たした。

第2戦から3週間のインターバルで開催となった第3戦は、#47 下野璃央(KeePer VITA)が体調不良のため欠場となり、合計19台で予選・決勝が争われた。また今回も、KYOJO CUPが立ち上げたトークン発行型ファンディングプロジェクト『TOKEN GO PROJECT』により、三浦愛を擁して#109 KYOJO TOKEN DREAM VITAが参戦した。

▶︎予選

13日(日)の午前8時40分から行われた公式予選では、グリーンシグナルと同時に各車一斉にコースイン。各車ともスリップストリームを使おうと、隊列を作ってウォームアップに入った。

そんな中で、いち早くタイムアタックに入り、他を圧倒するタイムを記録したのが開幕2連勝中の翁長。今回は12(土)に開催されたFCR VITAのほか、インタープロトシリーズ POWERED BY KeePerのジェントルマンレースにもエントリーしており、ハードなスケジュールをこなしていたが、疲れを全く感じさせない走りを披露した。計測3周目に2分00秒台を切ると、その後もタイムを上げていき、セッション中盤には1分59秒359をマーク。2018年第4戦に小山美姫が樹立したコースレコード(1分59秒610)を5年ぶりに塗り替えた。

セッション後半になると、ライバルたちも続々とタイムを更新。三浦が1分59秒489をたたき出し、こちらもコースレコードを更新するタイムで2番手につけた。これを見た翁長は最後の力を振り絞り、最後のアタックで自己ベストタイムを0.3秒更新。1分59秒069で3戦連続のポールポジションを獲得した。2位には三浦が入り、第2戦と同じフロントローの組み合わせに。3位には#86 永井歩夢(Dr.DRY VITA)が入り、今季ベストグリッドを獲得した。

Driver’s Voice

ポールポジション:#37 翁長実希

「最初はタイヤを温めて、クルマとコースのフィーリングを確認しつつ、前の人を抜いていきながらポジション取りをしてアタックをしようかなと思っていました。早めにアタックをしていきましたが、ちょっと(タイムが)足りないなと思って、最後に三浦選手の後ろでアタックしました。若干ですがスリップは使えたかなと思います。正直、昨日のFCR VITAの感じでは『58秒台に入るな』と思っていて、それを目指して予選に臨んだんですが、あと0.069秒届きませんでした。そこは自分の至らなさなのかなと思うので、満足はしていません。次戦58秒台に挑戦できればなと思います」

▶︎決勝

決勝レースは、パナソニックコーナーからTGRコーナーにむけて強い風が吹き荒れる中でのレースとなった。スタートでは、しっかりとスタートダッシュを成功させた翁長がトップでTGRコーナーを通過。3番手スタートの永井が三浦を抜いて2番手に浮上した。後方では#101 岩岡万梨恵(IDI フクダ電子 VITA)がスピンを喫したが、特に大きなアクシデントもなく、各車がTGRコーナーを通過した。

トップの翁長は、これまでと同じように後続との差を広げにかかるが、これに食らいついたのが、初表彰台そして初優勝を狙う永井。1周目からチャンスを伺おうと翁長の背後につくが、3周目のTGRコーナーで三浦に隙を突かれて、3番手に後退した。永井はその後マシンにトラブルが発生しペースダウン。5周目にピットへ戻り、無念のリタイアとなった。

4番手以下の集団でも抜きつ抜かれつのバトルが展開された。なかでも、開幕戦から2戦連続で表彰台を獲得している#38 猪爪杏奈(LHG Racing YLT VITA)は、今回は予選が振るわず6番グリッドからのスタートとなったものの、抜群の蹴り出しでひとつポジションを上げると、2周目のTGRコーナーで#36 荻原友美(KNC VITA)をパスし4番手に浮上した。その後方では、7番手スタートの#337 斎藤愛未(D.D.R VITA-01)も序盤から順位を上げていき、3周目には荻原と激しい5番手争いを展開。ダンロップコーナーでアウト側から飛び込んだ斎藤が前に出た。

トップの翁長は5周目に1分59秒台にタイムを入れ、ペースを上げて後続の引き離しにかかろうとしたが、、三浦も必死に食らいつき、2秒前後の間隔をキープ。ただ、ペース的には翁長の方が上で、その差は少しずつでは広がる一方だった。

結局、今回も翁長がスタートから一度もトップを譲らず、開幕3連勝を飾るトップチェッカーを受けた。2位には三浦、3位には猪爪が入った。

レース後半は、上位争いの他にも随所で接近戦が展開された。その中の一つが、#15 RINA ITO(恒志堂レーシング レブニーズVITA)と#65 小松寛子(中川ケミカルMARS-VITA)による7番手争い。お互いにポイント獲得圏内にはいるものの、ひとつでも多くのポイントを獲得するべく、サイドバイサイドのバトルが繰り広げられ、小松が前に出てファイナルラップに突入した。2台は前を走る、最後は2台が並ぶようにチェッカー。わずか0.098秒差で小松が7位となった。

また、#24 藤島知子(ENEOS BBS Vita-01)と#7 おぎねぇ(オグラクラッチワコーズAFC★VITA)のバトルもオーバーテイクの応酬が続いたが、10周目に前に出たおぎねぇが先にチェッカーを受け10位フィニッシュを果たした。今季KYOJO CUPルーキーの#610 織戸茉彩(恒志堂レーシングYOSHIMI VITA)も、ライバルたちとのバトルを繰り返しながらじわじわとポジションアップ。14位でチェッカーを受けた。

今回のポールトゥウィンとファステストラップのポイントも加算し、合計で69ポイントまで伸ばした翁長は、悲願のチャンピオン獲得に大きく近づいた。2番手の猪爪が40ポイントとなり、最終戦では、この2人が2022シーズンKYOJO CUPチャンピオンの座をかけて争うこととなる。

Driver’s Voice

第3戦 優勝:翁長実希

「予選ではコースレコードのタイムを記録できましたが、個人的には1分58秒台を狙っていたので、あと0.069秒届かなくて……そこは自分の至らなさなのかなと思うので、満足はしていないです。また次戦58秒台に挑戦できればなと思います。決勝では風がかなり強くて、インフィールドでのアドバンテージがなくなって、これまでの私の富士での戦い方とは、少し真逆な感じになりました。風量も走るたびに風の状況が変わっていて、ちょっと難しいなと感じたレースでした。(次回大会に向けて)私は、比較的冬場だったり、後半戦の方が得意なので、あまりプレッシャーは感じず、今まで通り行こうと思います。クルマも仕上がってきているので、とにかくクルマを速く走らせることに集中していけば、結果はついてくるかなと思います」

2位:三浦愛

「スタートは失敗した感じはなかったんですけど、思ったほど伸びなくて、永井選手にいかれてしまいました。2人ともペースが良さそうだったので『2人でバトルしてくれればチャンスが出てくるかな』と、最初は様子を見ていたんですが、(永井選手が)仕掛けに行く感じがなかったので、まずはそこを攻略しにいきました。とにかく翁長選手を逃してはいけないと考えていました。そういう意味ではロスなく抜けたかなと思いますが、スタートで2番手を守れていれば、もうちょっと翁長選手に仕掛けにいけたかなと思うと、スタートは悔やまれます。その後も、微妙にスリップから外れていて、ジワジワ引き離されていきました。
今回、TOKEN GOプロジェクトで、こういった機会をいただいて、久々にKYOJO CUPを走って楽しかったです。何より彼女たちのレベルがすごく上がっているというのを感じました。やはり彼女たちの気持ちの持ち方が強いことがレベルアップにつながっていますし、周りで支えてくれている人たちも『女の子だから』というのではなく、ちゃんと『ひとつのレース、1人のドライバー』として、一生懸命支えてくれているので、今まで抱いていたイメージのKYOJO CUPとは全然違い、ひとつのカテゴリーとして成り立っているなと感じました。KYOJO CUPに出たいという女の子たちがたくさんいるという話を私も聞きます。今回はファンの皆さんに選んでいただいて、初めてのTOKEN GOでレースをする機会をいただきましたが、今後は、そういった若い子たちがチャンスを掴むきっかけのひとつに、このTOKEN GOが発展していってくれればと思います」

3位:猪爪杏奈

「予選ではスリップを使おうと思っていたものの、その場所どりが良くなくて、結果的に順位もあまり良くはなかったです。決勝では、序盤に前のマシンを抜いていかないと前回みたいな展開になることは分かっていたので、序盤から仕掛けていきました。風がけっこう強かったので、前にいる選手も『戸惑っているな』というのが分かったので、その隙を突いていきました。3番手まで上がることはできましたが、前回同様にペースが足りなくて、そこは次回に向けてもう一度考えないといけないなと思っています」