福住 仁嶺NIREI FUKUZUMI
#37 K-Design
TOTAL POINTS : 189.5
RACE
REPORT
福住 仁嶺NIREI FUKUZUMI
#37 K-Design
TOTAL POINTS : 189.5
山下 健太KENTA YAMASHITA
#44 NAVUL
TOTAL POINTS : 132
ロニー・クインタレッリRONNIE QUINTARELLI
#16 TOMEI SPORTS
TOTAL POINTS : 90
阪口 晴南SENA SAKAGUCHI
#96 K-tunes Racing
TOTAL POINTS : 83
史上初の全戦優勝を達成し福住仁嶺が3度目のIPSチャンピオンに輝く
2024 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer 第 7・8 戦が 12月 21 日(土)・22 日(日)に富士スピードウェイで開催され、#37 福住仁嶺(キーパー号)が連勝し、インタープロト史上初となる全戦優勝の快挙を達成。同時に自身3度目となるインタープロトシリーズチャンピオンに輝いた。
本来は12月7・8日に開催予定だったが、8月末のSUPER GTが同週末に延期されたことを受けて、インタープロトも急きょ日程を変更。12月下旬の開催となった。
今季最終戦には、IP車両12台がフルエントリーし、このうち#7 KIプロモートには川合孝汰が乗り込み、#27 表参道メディカルクリニックには今シーズンのスーパーフォーミュラ・ライツで活躍した野中誠太がインタープロト初参戦を果たした。
【予選】
21日(土)の公式予選は青空が広がりドライコンディションで実施された。通常なら、セッション前半にSUPRAクラスとCCS-Rクラスの車両がタイムを出し、後半から終盤にかけてIP車両がタイムアタックを行うが、冬で気温と路面温度が低いこともあり、早い段階からコースインする車両が見かけられた。
まず、トップタイムを記録したのは#71 国本雄資(ダイワNアキランドIPS)。開始10分のところで1分46秒686を記録すると、他のドライバーも次々とタイムを縮めていった。なかでも注目を集めたのが、金曜日の練習走行で好調な走りをみせていた#3 卜部和久(INGING MOTORSPORT)だ。この予選でも1分46秒082を記録すると、その後もタイムを更新していき、残り3分というところで1分45秒612をマークして、暫定トップに躍り出た。
これに対して、ランキング上位を争うドライバーたちも終盤になってタイムアタックを開始した。残り2分のところでランキング2番手につける#44 山下健太(NAVUL)が1分45秒207でトップに立つと、#55 牧野任祐(人馬一体ドライビングアカデミー)も1分45秒384で2番手につけた。これに対して、ここまで開幕から無傷の6連勝をマークしている福住は、ライバルとは少しタイミングをズラしてタイムアタック。計測4周目に1分44秒923を叩き出して、ライバルを圧倒した。
結局、このタイムがIP車両の最速タイムとなり、福住が今季2度目となるポールポジションを獲得。2番手に山下が続いた。3番手にはセッション終盤に牧野を0.046秒上回った#32 小高一斗(NETZ NOVEL MIE)が入り、牧野もIPS自己ベストとなる4番グリッドを獲得した。
Driver’sVoice
ポールポジション:#37 福住仁嶺(キーパー号)
「予選は『ピークはこの周だ!』と周りに惑わされずに出るタイミングは事前に決めていて、タイヤの内圧を合わせてしっかりとウォームアップをさせたので上手くまとめ切れました。木曜日の走り始めはあまり良いと思える状態ではありませんでしたが、変更したセットアップが全体的に良い方向へ向かい、乗りやすさを意識したバランスや走り心地の良いクルマに持っていけたと思います。今年の予選では、一発のスピードで山下選手になかなか敵いませんでしたが、最終戦でしっかりとポールポジションを獲れました。クルマのベースが非常に高いレベルにあって、しっかりとドライブできましたし、全戦優勝で気持ちよく終わりたいですね」
【第7戦決勝】
22日(日)の14時05分から始まった第7戦決勝では、ポールポジションの福住が序盤からリードを広げていき、2番手の山下が追いかけていく展開となった。
後方では小高を先頭にした3番手争いが白熱。まずは1周目から牧野が攻略を目指して仕掛けていき、小高も必死に応戦していくが、その後方も追いついてきて、2周目のダンロップコーナーでは#88 佐々木大樹(Pastel Motorsport)に対して#96 阪口晴南(岡山トヨペット K-tunes)が仕掛けていった。
ここでは決着がつかず、両者の争いはパナソニック オートモーティブコーナーまでもつれ込むと、その後のメインストレートでは卜部も加わって、三つ巴のバトルに発展。その間に3番手争いにも動きがあり、3周目のTGRコーナーからコカ・コーラコーナーにかけて牧野が小高を抜いて3番手に浮上。そのまま集団から抜け出してトップ2台に迫っていった。
一方の小高は佐々木を先頭とする5番手集団に追いつかれ、4周目のTGRコーナーでは卜部や阪口も入り乱れるバトルを展開。コカ・コーラコーナーに向けたストレート区間で4台が横並びになり、激しいポジションの奪い合いが繰り広げられたが、ここでは卜部が4番手に浮上し、佐々木、阪口、小高の順となった。
先頭の福住は前半から好ペースを維持して1.6秒のリードを築いたが、山下に対しては2秒以上のギャップを築くことができず、逆に3番手の牧野が接近してくる状況となった。その後方では4番手争いが継続しており、メインストレートでは3ワイドの攻防戦が毎周に渡って繰り広げられた。残り4周を切ると#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)と川合も加わる激戦となった。
いつも通り堅実な走りでトップを守っていた福住だが、決して余裕はなかったとのこと。後続との差は付かず離れずの状態が続いたが、最終的に山下に対して1.9秒のリードを保ったままチェッカーを迎え、7連勝を達成した。2位には山下が続き、3位に入った牧野はインタープロト初のトップ3フィニッシュとなった。また、この結果をもって福住が2020年、2021年に続き、3度目のシリーズチャンピオンに輝いた。
【第8戦決勝】
第7戦の結果順ですぐにグリッド整列が行われ、第8戦の決勝レースがスタート。史上初となる全戦優勝を目指してスタートしたが、3番手の牧野が好ダッシュを決めてTGRコーナーでトップを奪取。2番手に福住、3番手に山下が続いた。
後方では阪口が上位を狙おうとしていたが、1周目のダンロップコーナーで佐々木が後方から接触してスピン。大きく順位を落とした。なお、この接触行為で佐々木に対して5秒加算のペナルティが課された。
序盤から白熱したのは牧野と福住のトップ争い。インタープロト初優勝をかけて後続を引き離したかった牧野だが、福住がしっかりと背後につけてチャンスを伺っていった。
3周目のTGRコーナーで福住が並びかけようとするが、牧野もしっかり警戒。その後もメインストレートからTGRコーナーでの攻略を目指して福住が毎周のように勝負を仕掛けていった。
トップ争いが白熱する中、後続では異変があり、5番手を走っていた小高が5周目にスロー走行となりピットイン。そのまま無念のリタイアとなった。
また、3番手争いも山下と佐々木が接近。後半に入って接近戦が展開されていった。
福住の猛攻からトップを守っていた牧野。両者の展開が動いたのは7周目のパナソニック オートモーティブコーナーだった。福住がイン側をなぞるようなラインを選択してトップに立つが、この動きを読んでいた牧野もメインストレートでの加速を重視するラインを選択して、2台が並んだまま8周目のTGRコーナーに進入していった。
ここでもお互いにラインを入れ替えながらサイドバイサイドのバトルを繰り広げていくが、牧野がトップを死守してコース後半に向かっていった。それでも、福住の方が勢いがあり、GRスープラコーナーでインに飛び込み、ついに逆転を果たした。牧野も最終ラップのTGRコーナーで再逆転を目指したが、ここは福住に軍配が上がった。
2人のバトルは最終ラップも続いたが、牧野の猛追を振り切った福住がトップチェッカーを受け、インタープロト史上初めてとなる8戦全戦で優勝を果たした。2位には牧野が入った。
7周目に3番手を手に入れていた佐々木が続いてチェッカーを受けたが、前述の通りペナルティで5秒が加算され、3位には山下が入った。山下はランキング2位を獲得。今シーズンインタープロトシリーズで自身初のポールポジションを獲得したロニー・クインタレッリがランキング3位となった。
Driver’sVoice
第7・8戦優勝:#17 福住仁嶺(キーパー号)
「1レース目では山下選手を思ったほど引き離すことができず、むしろ牧野選手が近づいてきているのが分かっていました。ペース的に少し苦しいところも感じましたが、前半の走りでギャップを作ることができたのが大きかったです。ただ、1レース目でチャンピオンを獲ることができて安心した部分もあって、2レース目は不甲斐ないスタートになりました。展開的に今までよりも余裕はありませんでしたが、牧野選手とカート時代のようなバトルをふたりで楽しくできたと思います。レースも盛り上がってくれましたし、全勝できて良かったです」
第7戦3位・第8戦2位:#55 牧野任祐(人馬一体ドライビングアカデミー)
「予選は今までのなかで一番良かったので、頑張って表彰台に乗りたいなと思っていました。1レース目に小高選手を抜いてからはレースペースも悪くなく、山下選手に追いついたところでレース終了という感じだったので、2レース目は良い展開になると良いなと思って臨みました。スタートがうまく決まってトップに立ちましたが、その後は福住選手のペースの方が速かったのですが、なんとか抑えきれたのでラスト2周は仕方ないと感じています」
「しっかりと福住選手が入ってきそうなポイントも押さえていましたし、GRスープラコーナーでは前に行かせたかったので先に出しましたが、思ったよりもその後の最終コーナーからのスリップストリームで横に並べなくて、ブレーキ勝負になってしまったのは計算外でした。でも楽しかったです。今まではレースペースがずっと伸びていませんでしたが、今回はそれが改善されたので良かったです」
第7戦2位・第8戦3位:#44 山下健太(NAVUL)
「1レース目は福住選手と比べて遅いことはわかっていたので、スタートで決めるしかないと思っていました。でも抜くことが出来ませんでした。さらに牧野選手が追いついてきたので、2レース目も厳しいなと感じていました。(2レース目の)スタートでは3番手と4番手の選手が来ることはわかっていましたが、まさにその通りになって……タイミングを合わせ切れずにポジションを落としてしまいました。そこからは全く速いところがなく、厳しいレースでしたね。ただ、チームメイトの山口達雄選手が無事にチャンピオンを獲れたことが一番良かったです。来年もこの勢いでいきたいところですが、周りのライバルの加速が速くなっているので、手を加える必要はあると思います」