IPS PRO RD1-2 RACE REPORT

FIRST

福住 仁嶺NIREI FUKUZUMI

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 41

2ND

山下 健太KENTA YAMASHITA

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 28

3RD

ロニー・クインタレッリRONNIE QUINTARELLI

#16 TOMEI SPORTS

TOTAL POINTS : 28

4TH

阪口 晴南SENA SAKAGUCHI

#96 K-tunes Racing

TOTAL POINTS : 22

SUPER GTドライバーも多数参戦し注目を集めた2024開幕大会は、福住仁嶺が2連勝を飾る

2024 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer第1・2戦が5月11日(土)・12日(日)に富士スピードウェイで開催され、#37 福住仁嶺(キーパー号)が終始安定した走りでライバルを引き離し、2連勝を飾った。

今年も12台のIP車両が参戦するが、プロフェッショナルレースに参戦する顔ぶれが一部変わった。#55 人馬一体ドライビングアカデミーには、2020年にSUPER GT(GT500)でチャンピオンを獲得し、今年も国内トップカテゴリーで活躍する牧野任祐が初めてインタープロトに参戦。IP車両を初走行した時の印象は「難しいなと感じるクルマです」と語っていたが、予選ではプロフェッショナルレースでトレンドとなっているスリップストリームを使ってタイムを伸ばすべく、集団に入ってアタックをする姿も見られた。

その他にも、#7 KIプロモートには2021年以来の参戦となる藤波清斗。#8 ルーニーダイワNアキランドIPSにはSUPER GT(GT300)参戦中の石川京侍が参戦することとなった。そして#3 NGING MOTORSPORTはFIA F4選手権で活躍し、インタープロトシリーズでは昨年までSupraクラスにエントリーしていた卜部和久がプロフェッショナルレースデビューを果たす。また、昨年まで3号車から参戦しランキング2位となった阪口晴南は、今季#96 岡山トヨペット K-tunesに移り、新シーズンに臨むこととなる。

【予選】

開幕大会は練習走行日から天気が良く、公式予選も晴天の中で行われた。セッション開始直後はSupraクラス、CCS-Rクラスがアタックを開始し、開始4分を過ぎたところで#27 ジュリアーノ・アレジ(表参道メディカルクリニック)、#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)がコースイン。その後、残りのIP車両が一斉にピットを後にした。

今回もスリップストリームを使ってタイムを伸ばそうと、各車が隊列を組んで位置どりの駆け引きを行うなか、アレジ、クインタレッリ、卜部の3台は集団から離れてタイムアタックを実施。その中でも速さをみせたのがクインタレッリで、開始6分のところで1分44秒904を記録すると、翌周には1分44秒763で自身のベストタイムを更新し、暫定トップに躍り出た。

一方、集団で走っている他のライバルたちも最終ラップにタイムアタックを敢行。その中で先頭を走っていた福住が1分44秒771を記録したが、クインタレッリにはわずか0.008秒及ばず。ここでチェッカーフラッグとなり、クインタレッリがインタープロトシリーズで初ポールポジションを獲得した。2番手には福住、3番手にはIP車両では初参戦となる卜部がつけた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)

「昨年の最終戦から今年にかけてクルマも色々変えてきたので、それを確認したいという思いもありました。だから、練習走行と同じ走り方で、自分のタイミングでタイヤを温めて、今回も自分たちでアタックする周回数を決めていきました。(初ポールまで)10年かかりました。今までずっと苦労していたセクター2で、今週初めてクルマが曲がるようになりました。セッティングだけではなくて、クルマの組み立てに関しても今までと違うことをやってきて、スタッフの皆さんも努力してくれました。チームと、ジェントルマンドライバーの渡邊さんもサポートしてくれて、本当に感謝しています。本当に嬉しいです」

【決勝】

12日(日)14時40分から9周(もしくは17分)で争われた第1戦決勝。スタートではポールポジションのクインタレッリがトップのままTGRコーナーへ進入し、2番手スタートの福住が後に続く。その後方では牧野、卜部、#32 小高一斗(NETZ NOVEL MIE)が3台横並びでバトルを展開。各所で3台並んだ状態でコーナーに進入していくという白熱のバトルをみせたが、ADVANコーナーで3台が接触。小高がスピンを喫し大きく後退した。なんとか立て直してレースに復帰しようとしたが、接触の影響でマシンにダメージを負っており、そのままピットイン。リタイアを余儀なくされた。また卜部もスロー走行からそのままピットに戻るという波乱の幕開けとなった。

これによりクインタレッリと福住が集団から抜けでてトップ争いを展開。3番手に牧野、4番手にアレジをはじめとした3番手集団が形成された。混乱に乗じてポジションを上げたのが7番手スタートの#44 山下健太(NAVUL)と9番手スタートの#96 阪口晴南(岡山トヨペット K-tunes)。ともに順位を2つずつ上げてオープニングラップを終えた。

レース中盤に入ってバトルが激化したのが牧野とアレジの争い。4周目に入るところで牧野のスリップストリームに入ったアレジが、TGRコーナーでアウトからオーバーテイクを仕掛けた。コーナーの立ち上がり部分で2台が接触し、外側にコースオフした隙に山下が3番手に浮上。阪口も牧野を抜いて5番手に上がった。

前半はこう着状態が続いていたクインタレッリと福住の攻防戦は、6周目に入って動きが生じる。それまでメインストレートで仕掛けていた福住が完全に射程圏内に入り、コカ・コーラコーナーやADVANコーナーでも仕掛けていく。これに対してクインタレッリも必死に応戦したが、ダンロップコーナーの入り口でイン側の狭いスペースに飛び込んだ福住がトップに浮上。7周目には1分45秒497のファステストラップを記録して、後続を一気に引き離した。終盤も危なげない走りで後続との差を保った福住が、0.9秒のリードを築いてトップチェッカー。2位にクインタレッリ、3位に山下が続いた。

トップ争いに決着がついた第1戦の終盤で盛り上がったのは、牧野と#71 国本雄資(ダイワNアキランドIPS)の6番手争い。牧野は前半の度重なる接触でマシンにダメージが及んでおり、なかなかペースを上げられないところに国本が接近。2台とも最後まで一歩も譲らないバトルが繰り広げられたが、最終的に国本が6番手の座を勝ち取った。

第1戦の順位をもとに、すぐグリッド再整列が行われ、第2戦の決勝レース(9周もしくは17分)がスタート。1レース目の序盤で姿を消した2台の復帰は叶わなかった。また1レース目の終盤にトラブルからマシンをピットに戻していた#7 藤波清斗(KIプロモート)は、2レース目が始まる前にマシンの修復が完了し、ピットスタートで第2戦に臨んだ。

ポールポジションスタートの福住が先頭のままTGRコーナーに進入したが、その後方ではクインタレッリと山下の2番手争いが白熱。ここでは順位が入れ替わらなかったが、2周目に入っても接近戦が展開され、そこに1レース目からさらに上位を狙う阪口やアレジも前方をうかがった。

また後方では#88 佐々木大樹(Pastel Motorsport)と#8 石川京侍(ルーニーダイワNアキランドIPS)が接触。これで佐々木がスピンを喫し、遅れをとった。一方の石川はマシンにダメージを受けてリタイア。後に他車への衝突行為のため5秒加算のペナルティが課された。

山下との激しい2番手争いの中、クインタレッリは3周目に1分45秒964のファステストラップを記録し、後続を引き離そうとしたが、山下もしっかりと食らいつく。5周目のパナソニック オートモーティブコーナーで山下がイン側からクインタレッリをとらえ2番手に浮上。さらに背後に迫っていた阪口も6周目にクインタレッリをパスしていく。今大会のポールシッターは2レース目の後半で表彰台圏外に下がることとなった。

終盤には山下と阪口の2番手争いが接近しバトル勃発かと思われたが、最終ラップを迎えたタイミングということもあり、順位が入れ替わらないままフィニッシュとなった。

結局、スタートから一度もトップを譲らずリードを広げていった福住が開幕2連勝を飾った。2位には山下、3位には阪口が続いた。

今回、初参戦で注目を集めた牧野は「レースは色々ありましたし、難しかったと感じるところもありましたけど、楽しかったです」と初インタープロトを振り返るとともに、次大会に向けては「ここから色々と詰めていければと思います。クルマもいつも乗っているものとは違うので、起きることも違うので、その辺を加味して次回からうまくできればなと思います」と意気込みを語った。

Driver’s Voice

第1戦・第2戦 優勝:#37 福住仁嶺(キーパー号)

「決勝レースでのロングランはある程度自信がありましたし、なるべく早くロニー選手に仕掛けて前に出ることができれば、2レースで前からスタートして逃げ切れるかなと期待していました。1レース目の途中からロニー選手のペースが落ちて、そこで僕にチャンスがやってきて、けっこうギリギリのスペースでしたけどしっかり追い抜くことができました。チームが素晴らしいクルマを用意してくれましたし、今回はレース展開にも恵まれたと思っています。久しぶりに2連勝できて良かったです」

第1戦 2位:#16 ロニー・クインタレッリ(ララパルーザ)

「最初は良かったのですが、途中から福住選手のペースが少し上がってきたのに対して、僕はセクター3でスライドして苦戦していました。レース2も山下選手と阪口選手と同様の展開だったので、レースに関してはまだまだ修正が必要だと思います。タイヤは内圧の問題かもしれませんが、レース1は出だしが速すぎてしまい、2周目あたりで自己ベストを出せましたが、その後はペースが下がり気味でした。次戦、頑張ります」

第1戦 3位・第2戦 2位:#44 山下健太(NAVUL)

「周りがけっこうバトルをしてくれていたので、それにとても助けられたのが大きいです。3番手になった時は『行けるかも』と思いましたが、途中で前の2台と一緒に走っていた時に追いつけなくて、抜くには及ばないという感じでレース1は終えました。レース2はスタートでロニー選手を抜くことが出来れば完璧だと思いましたが、簡単には行きませんでした。1回で決めきれずに2周ほど時間がかかったので、もう少し早く抜けていれば……というのはあります。でも、抜いた後のペースもあまり良くなかったので、いろいろ変えていかないと優勝は遠いかなと感じました。今回は予選が上手くいかなかったので、次回はしっかり走りたいと思います」

第1戦 4位・第2戦 3位:#96 阪口晴南(岡山トヨペットK-tunes)

「絶対に相手を引き離せるというようなペースはありませんでしたが、チャンスがあれば前にいけるという感触はありました。このレースで長年バトルをしていて、そんなに簡単には行かせてもらえないのはわかっていますし、チャンスの時間は短かったと思います。(チームを移籍して初戦を表彰台で終えられたことは)とても大きいと思います。チームとしても最近は表彰台もあまり乗れていなかったと思うので、苦戦したなかでこうして表彰台に乗れたことは、みんなの士気とモチベーションがすごく上がったと思います。ここからまた、いつも上位にいる2人に追いついていけるように頑張りたいです」