八木淳が第3・4戦でフルポイントをマーク。大山正芳と清水勇希のバトルも白熱
2024 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer 第 3・4 戦が 8 月 17 日(土)・18 日(日)に富士スピードウェイで開催され、IPジェントルマンクラスは第3戦・第4戦ともに#55 八木淳(人馬一体ドライビングアカデミー)がクラス優勝を飾った。
今大会は7台がエントリーしたIPジェントルマンクラスは、大会直前に#7 KIプロモートが急きょドライバー変更を発表。海外でのカートやフォーミュラカーの経験を持つ清水勇希がインタープロト初参戦を果たした。普段からスポーツ走行でレーシングカーをドライブしているというが、レース参戦は久しぶりとのこと。練習走行からインタープロトの車両で走り込み、週末のレースに備えていた。なお、前日の練習走行に参加していた#96 末長一範(岡山トヨペットK-tunes)が急きょ今大会を欠場することとなり、ジェントルマンクラスは6台で争われることとなった。
17日(土)9時00分から始まった公式予選では、各車が20分の枠を使ってタイムの更新を目指した。まずトップに躍り出たのは清水。初参戦ながら計測2周目で1分50秒688を記録すると、第2戦のウィナーである#71 大山正芳(ダイワNアキランドIPS)が1分50秒302でトップに立つ。それを上回ったのがインタープロト1年目の八木淳で、1分49秒993を叩き出した。翌周以降も各車がタイムを更新していき、八木淳は1分49秒465までタイムを伸ばし、同じクラスのライバルに0.6秒の差をつけた。
これに対し、大山もタイムを更新し残り5分を切ったところで1分49秒803を記録。トップとの差を詰めるが、セッション最終盤のタイミングで八木淳がさらにタイムを更新し1分49秒398をマーク。クラストップを決めた。2番手には大山が1分49秒729まで更新するが、トップまで0.3秒届かなかった。クラス3番手には初参戦の清水が入った。
今回の予選ではジェントルマンクラスに長年参戦する#16 渡邊久和(ララパルーザ)と#88 八木常治(Pastel Motorsport)も激しいポジション争いを展開。セッション中盤には、両者の差が0.088秒に迫る接戦となったが、最後にタイムを更新した渡邊が0.3秒リードしてクラス4番手を獲得。八木常治は1分51秒426のベストタイムで5番手につけた。
#27 山崎哲之(表参道メディカルクリニック)も1分57秒855のベストタイムで6番手につけた。
併催されていたレースの予選で赤旗中断があった影響で、予定より25分遅れて始まった第3戦決勝。いつも通り12周で争われた。スタートではクラストップの八木(淳)がポジションを守ってTGRコーナーに突入。そこに大山も続いた。後方では、総合7番手スタートだった清水がエキスパートクラスの#8 植田正幸(ルーニーダイワNアキランドIPS)を抜いて総合6番手に浮上した。
清水はそのまま大山の背後に接近し、3周目に入ったところでオーバーテイク。クラス2番手に浮上した。その間にクラストップの八木(淳)はエキスパートクラスのトップ争いに接近していく。特に#44 山口達雄(NAVUL)と#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)の2番手争いが激化している隙をついて間合いを詰めていった。
1秒を切るところまでは接近したものの、なかなかチャンスを見出せなかった八木(淳)。それでもレース後半の8周目に山口と永井のバトルが激化した隙を突いて、パナソニック オートモーティブコーナーで三つ巴のバトルに持ち込んだ。
何とか総合トップ3の間に割って入りたかった八木(淳)だが、終盤はエキスパートクラスとの差が少しずつ開いていく展開に。それでも、同じクラスでトップを争う清水や大山に対してはしっかりとマージンを築いて最終ラップに突入した。
最後はタイヤが苦しくなり、1.1秒後方まで迫られたが、八木(淳)がクラストップの座を守ってチェッカーフラッグ。今季2勝目を飾った。2位には清水、3位には大山が続いた。その後方でも渡邊、八木(常)が終始力強い走りをみせて4位、5位に入った。そして山崎も同一周回で6位フィニッシュを果たした。
第3戦優勝:#55 八木淳(人馬一体ドライビングアカデミー)
「正直、エキスパートクラスの上位陣に自力で追いつくのは厳しいですけど、今回は向こうがバトルをしてくれていたので前半から中盤にかけて追いつくことはできたかなと思います。途中にワンチャンスで前に出られるかなと思った時もありましたが、レースの半分を過ぎたあたりからタイヤが厳しくなってきて、タイヤマネジメントに入ったのですが、ブレーキングポイントとかがバラつき始めて、前と離れてしまいました。タイヤがタレてからの詰め方が課題かなと感じました。後ろに近づかれているのは分かりましたが、そこは温存しながらゴールまで行けました。より自分の課題が明確になった1戦でした」
18日(日)の朝に行われた第4戦。ここでは前日の公式予選で記録されたセカンドベストタイム順でグリッドに整列し、八木(淳)が総合3番グリッドにつけた。4番グリッドにエキスパートクラスの永井を挟み、総合5番手に大山、7番手に清水がつけてスタートが切られた。
1周目のTGRコーナーでは、八木(淳)が永井の先行を許して総合4番手に下がるもクラストップを死守。前日の第3戦のようにチャンスを狙うが、今回は総合トップ集団との差は離れていく一方となった。
その後方では大山と清水の2番手争いが白熱。序盤は差が開いていた2台だが、清水が徐々に接近し、5周終了時点で0.8秒後方に接近。そこから一進一退の攻防瀬戦が始まった。7周目のTGRコーナーでは清水がアウト側から仕掛けるが、大山も必死に応戦。それでも諦めずに仕掛けていった清水が同じ周のパナソニック オートモーティブコーナーで逆転し、クラス2番手を手にした。
このままクラストップを追いかけたかった清水だが、この辺りからブレーキング時にタイヤがロックする症状に悩まされる。その隙を突こうと大山も仕掛けに行くが、順位は変わらず終盤戦にもつれ込んだ。
クラストップの八木(淳)は、なかなか上位との差を詰められずにいたが、7周目の13コーナーで永井がスピンを喫して立て直している間に3番手に浮上。前日の課題だった終盤のペース維持に取り組み、ゴールを目指した。
最終ラップには周回遅れの車両を抜く場面で手こずってしまい、永井が背後まで迫ってきた。それでも粘り強く総合3番手を死守してクラストップチェッカーを受けた。最後まで白熱した2番手争いは、清水に軍配が上がり、大山は3位となった。それでも終盤には互いに区間自己ベストを更新する勢いをみせ、第4戦のハイライトとなるバトルを披露した。
第4戦優勝:#55 八木淳(人馬一体ドライビングアカデミー)
「スタートでの加速がワンテンポ遅れてしまって、永井選手が真横に来ました。競り合いたかったのですが抜かれてしまって……そこから付いていこうと思っていましたが、少しずつ離れていく展開になりました。クルマのセットアップを少し変えてアンダーステアを消す方向に持っていたのはうまくハマったのですけど、ペースが上がり切りませんでした。何とかトップ3に追いつきたいのですが……速いですね。『どうしたら良いのだろう?』という感じです。引き続き“練習・鍛錬”ですね」