IPS EXP RD7-8 RACE REPORT

FIRST

山口 達雄TATSUO YAMAGUCHI

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 130

2ND

大蔵 峰樹 MINEKI OOKURA

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 126

3RD

永井 秀貴HIDEKI NAGAI

#32 GR Garage Yokkaichi

TOTAL POINTS : 117

4TH

植田 正幸MASAYUKI UEDA

#8 アキランド レーシング

TOTAL POINTS : 62

大蔵峰樹が2連勝をマークするも、最終戦までもつれ込んだチャンピオン争いは山口達雄の手に

2024 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer 第 7・8 戦が 12 月 21 日(土)・22 日(日)に富士スピードウェイで開催され、IPエキスパートクラスは#37 大蔵峰樹(キーパー号)が2連勝を挙げて今季4勝をマーク。また最終ラウンドの2レースとも3位に入った#44 山口達雄(NAVUL)が、シリーズチャンピオンを獲得した。

【予選】

IP エキスパートクラスは今大会も4台がエントリー。21日(土)は朝から青空が広がる絶好の天候の下で予選が始まり、序盤から白熱したタイム合戦が展開された。開始から10分ほどで山口を皮切りに1分50秒台を突破し始め、各車が着実にタイムアップを図っていった。

大蔵が1分46秒912でトップに浮上すると、さらにその後も1分46秒689と圧倒的なタイムで首位を固める。山口も0.723秒差の2番手につけ、終盤の連続アタックでは1分47秒025まで縮めることに成功したもののわずかに及ばず、大蔵のポールポジションが確実なものとなった。クラス3番手の#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)は、終了間際までアタックに臨み1分47秒504まで短縮。#8 植田正幸(ルーニーダイワNアキランドIPS)はトップから1.378秒差のクラス4番手で予選が終了した。

【第7戦決勝】

午後になると天候は一転し、次第に雲が増加した。さらに、ジェントルマンレースの決勝直前には小雨が降り出す展開に。定刻に開始したフォーメーションラップ中には雨量も増加し、各車がゆっくりとウォームアップに入っていた頃、ポールポジションスタートの大蔵が13コーナー立ち上がりでスピンを喫してしまう。何とか自力で復帰して隊列に戻ったが、ここで雨脚が強まり、スタートを目前に赤旗が掲示された。

約8分の中断を経てセーフティカー先導でレースが開始され、4周目にグリーンフラッグが振られた。大蔵を先頭に全車が一斉に1コーナーへと進入していくなか、山口の後ろには早々にジェントルマンクラスの#55 八木淳(人馬一体ドライビングアカデミー)を捉えた永井が3番手に浮上。総合5番手の植田も八木(淳)の後ろにつけ、オーバーテイクの様子を伺った。

翌周には勢い止まらぬ永井が山口の背後に迫り、TGRコーナーで並びかけると、コカ・コーラコーナーで前に出ることに成功。2台の争いを後目にトップの大蔵は、6周目と7周目に連続でファステストラップを更新し、7周終了時点で後続に対して3.2秒ものギャップを築いた。

永井も後方を引き離しにかかったが、今季のチャンピオンがかかっている山口も必死に追いかけ、8周目に1分47秒653でファステストラップを更新。前方とのギャップを詰めていった。永井も終盤はペースを上げてトップを猛追。一方の大蔵は、確実にマシンをゴールへ導くべく、後ろとの間隔を見ながらペースをコントロールしていった。

最終ラップには2台が背後まで迫ってきたが、大蔵はミスのない走りで最終のパナソニック オートモーティブコーナーを立ち上がって、そのままゴール。今季3勝目を記録した。永井は0.569秒差の2位、山口は3位表彰台を獲得し、タイトル獲得に向け一歩前進。植田は序盤に八木の背後に迫りポジションアップを狙ったが、逆転が叶わず総合5位で1レース目を終えた。

Driver’sVoice

第7戦優勝:#37 大蔵峰樹(キーパー号)

「フォーメーションラップ中のセクター3あたりで雨が降り出した影響で、スピンをしてしまいましたが、その後セーフティカースタートはラッキーでしたし、あのままスタートしていたらリスクもあったと思います。スタート直後は『ここで突っ込んでくる人はいないだろう』と確信していたので、1コーナーは慎重にブレーキも手前から踏んでいきました。終盤は残り周回と後ろとのギャップを把握していたので、絶対にスピンをしないようにペースをコントロールしつつトップを守ることだけを考えました」

【第8戦決勝】

22日(日)は、朝から気温と路面温度ともにあまり上昇せず、終日肌寒い日となった。そのため朝から他クラスのセッションで赤旗などが相次ぎ、ジェントルマンレースの決勝は5分遅れでコースイン。2周のフォーメーションラップを終えて、シグナルグリーンの合図とともに大蔵を先頭に一斉にスタートを切った。

2番手スタートでチャンピオンを狙う山口は、好スタートを切った八木にT G Rコーナーで先行を許し、さらに永井にも背後に迫られた。5番手には植田が続いたが翌周にはジェントルマンクラスの#71 大山正芳(ダイワNアキランドIPS)に逆転され6番手に後退。2番手の八木を先頭に5台が集団となり、各所で接近戦が繰り広げられる展開となった。

4周目には八木と山口のサイド・バイ・サイドを繰り広げるなか、永井もバトルに加わって、ホームストレート上で3台横並びのバトルへと発展。TGRコーナーでブレーキをロックさせながらも、一気に2台を捉えて2番手へ順位を上げることに成功した。山口も果敢に攻め続け、接近戦は5周目まで続いたが、ふたりの背後には八木(淳)と大山も好機を伺った。

大山はADVANコーナーのイン側から一気に山口を抜き去り3番手へ浮上し、八木(淳)もそれに続く。山口は5番手へポジションダウンし、植田からも迫られる展開になった。

後方で4台によるバトルが繰り広げられている間に、2番手の永井はトップに追いつこうとした。しかし、悠々と先頭を走る大蔵は独走体制。5周目終了時点で9.7秒のアドバンテージを築いていた。

3番手争いが加速するなか、5番手の山口は8周目に前を走る八木(淳)、大山の背後に迫り、パナソニック オートモーティブコーナーで3台が急接近。ホームストレート上で三つ巴のバトルに転じ、山口が大山を捉えて4番手を奪い返した。山口は続けて八木(淳)に焦点を定め、翌周のダンロップコーナーでブレーキング勝負に持ち込むも易々と前に出ることは叶わない。

このふたりの背後では5番手を走行する大山がブレーキをロックさせ、その隙に植田が5番手を奪取。ただ、前とはわずかに差が開いてしまったため、総合の3番手争いは八木と山口の一騎打ちとなり、バトルは最終ラップにまで及んだ。

結局、スタートから一度もトップを譲らなかった大蔵が6.8秒のリードを築いてトップチェッカーを受け、第7戦に次いで2連勝を飾った。2位は永井。山口は一時総合5番手まで後退したものの、見事な追い上げで総合4位、クラス3位で今季を締めくくった。植田は最後まで大山の追撃をかわしきって総合5位、クラス4位となった。

シリーズランキングでは山口が首位を守って今季のエキスパートクラスチャンピオンに輝き、2位には最終戦2戦で大量にポイントを加算した大蔵が浮上し、3位に永井、4位に植田という順で2024年シーズンを終えた。

Driver’sVoice

第8戦優勝:#37 大蔵峰樹(キーパー号)

「ファステストラップを取らなければと思い、前半は結構頑張ってペースを上げていましたが、あまり良いタイムが出せませんでしたね。レース後半はペースをコントロールにシフトしました。タイヤの内圧も気になっていたので、あまり無理はできない状況だったので、バトルに持ち込まれると厳しい状況だったと思います。2連勝できたので気持ちよく終わることができましたが、最終的に2.5ポイント差だったので、チャンピオンも狙えていたかもしれませんね」

シリーズチャンピオン:#44 山口達雄(NAVUL)

「チャンピオンを獲得できたのは良かったですが、やはり追われる立場はつらいですね。周りの選手は本当に速く、自分もまた成長できた部分や反省する点があります。2024シーズンは今考えると、第1・第2大会は予選もポールポジションを獲得するなど、結果もついてきていたので、今よりはかなり乗れていたと思います。ただ、シーズン後半は少し足りないなと感じる部分がありました。第5戦の雨のレースは僕に好機が訪れていましたし、今年は運も持っていたのかなと感じています。あとは37号車を追いかける立場として、相方である山下健太選手のクルマのパフォーマンスを見ていてもストレートが少し遅いと感じているので、まだ改善できる部分もあると思います」