今季初エントリーの大蔵峰樹が2連勝 ポイントランキングでは山口達雄がトップ堅守
2024 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer 第 3・4 戦が 8 月 17 日(土)・18 日(日)に富士スピードウェイで開催され、IPエキスパートクラスは今季初エントリーとなった#37 大蔵峰樹(キーパー号)が、2連勝を飾った。
今回は4台がエントリーしたエキスパートクラス。開幕大会ではスポット参戦ドライバーがステアリングを握った#37 キーパー号と#8 ルーニーダイワNアキランドIPSは、それぞれレギュラードライバーの大蔵峰樹、植田正幸が今季初参戦を果たした。
大会前日の専有走行は台風7号の影響で不安定な天候になったが、土曜日の公式予選では晴天に恵まれ、路面温度が40℃を超えるコンディションでセッションがスタートした。各車ともに早い段階からタイム更新を狙っていくなか、開始7分のところで山口が1分48秒473を記録してトップに浮上。その翌周も1分48秒362で自己ベストを更新していった。
これに対して大蔵もセッション中盤にアタックを開始し1分48秒161を記録でトップに立つも、直後に山口が0.043秒逆転し、再びトップを取り戻した。その後も周回を重ねたが、2人のベストタイムが変わることはなかった。
一方、開幕戦でも激しいトップ争いを演じた#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)も果敢にタイム更新を狙う。セッション後半にタイムを上げていき、残り4分のところで1分49秒378を記録するが、トップから1.2秒もの差がつく結果となった。また今季初参戦の植田も周回を重ねるたびにタイムを更新していき、1分49秒895でクラス4番手につけた。終盤は大きな順位変動がなくチェッカーフラッグが出され、開幕ラウンドに続いて山口がポールポジションを獲得した。
「台風の影響で金曜日が走れない可能性があったので、チームにお願いして木曜日に走らせてもらいました。そこでドライコンディションで走れたのが大きかったです。予選を見るとやっぱり大蔵選手は速いですし、決勝になれば永井選手も追いついてくると思います。その上、今週は暑さとの闘いにもなってくるので……。1レース目は探り合いの展開になるかもしれません」
併催されていたレースの予選で赤旗中断があった影響で、予定より25分遅れて始まった第3戦決勝。いつも通り12周で争われた。
ポールポジションの山口がトップでTGRコーナーを通過し、大蔵と永井が背後についていく形で1周目を完了。昨シーズンに何度も見られた、上位3台のバトルが今回も期待された。3台の中でも勢いがあったのは2番手を走る大蔵。徐々に山口との差を詰めて、3周目のTGRコーナーで並びかけた。ここでは山口がトップを死守したが、続くコカ・コーラコーナーでわずかにコースからはみ出してタイムロス。その間に大蔵がトップにたった。さらに永井も隙をついて、ダンロップコーナーで山口をオーバーテイクし2番手に浮上した。
一気にポジションを落とした山口は、トップに返り咲くべく挽回を開始。4周目のTGRコーナーで永井に並びかけるが、ここでは逆転することができなかった。2台が争っている間にジェントルマンクラスの#55 八木淳(人馬一体ドライビングアカデミー)が接近し、総合の2番手争いは3台の展開となる。
後方でバトルが続いている間に、トップの大蔵は順調にリードを広げていった。4周目には1分48秒875でファステストラップを記録し、翌5周目終了時点では2番手集団に対して4.5秒もの差をつけ、後半に入ってもペースを緩めることなくリードを広げていった。
レースの折り返しを過ぎると、永井と山口のバトルが再び白熱する。7周目のTGRコーナーでイン側からオーバーテイクを試みた山口に対して永井も応戦。ここでのポジションの入れ替わりはなかったが、その後も約2周にわたって接近戦のバトルが繰り広げられた。
必死にポジションを守ろうとした永井だが、9周目のコカ・コーラコーナーで山口の先行を許し3番手に後退。一方の山口は、ラストスパートをかけて大蔵に近づこうとするも、この時点で両者の差は10秒を超えており、ほぼ『勝負アリ』という状態だった。
それでも山口と永井は残り2周のところで自己ベストタイムを記録し、少しでも差を縮めようとするが大勢は変わらず。最終的に11秒もの大量リードを築いた大蔵が今季初優勝を飾った。2位には山口、3位には永井が入り、植田はジェントルマンクラスのドライバーとバトルを繰り広げ、総合7番手でチェッカーを受けた。
「今日は無理せずに山口選手についていって、終盤に仕掛けようと思っていました。だから、仕掛ける素振りだけみせて、抜くつもりはなかったのですが、思わぬ形で前に出ることになりました。その後は永井選手と山口選手が2番手争いをしている間に逃げることができて、そこはラッキーでした。ただ、終盤に何があるか分からないので、ペースをコントロールして温存するというよりは、少しでも差を広げるようにしました」
18日(日)8時40分から始まった第4戦の決勝。前日の公式予選で記録されたセカンドベストタイム順でグリッドが決まり、大蔵がポールポジション、山口が2番グリッドにつける最前列となった。この日は朝から分厚い雲がサーキット周辺を覆っている状況で、路面コンディションに変化はないものの、時おり雨がパラつく場面が見られた。フォーメーションラップを終えて12周のレースが始まると、大蔵がしっかりとポジションを守ってTGRコーナーを通過。山口が2番手で続き、総合4番グリッドだった永井が八木淳を抜いて3番手に浮上した。
前日の第3戦での展開も踏まえ、序盤は各車ともに様子見という状態のトップ3。そのなかで山口のペースが良く、5周目に1分48秒611のファステストラップをマークし、大蔵との差を縮めていった。
その山口に詰め寄ったのが3番手の永井。6周目のパナソニック オートモーティブコーナーで接近し、翌周のTGRコーナーに向けて照準を合わせるが、ここでは仕掛けるまでに至らなかった。もう一度セクター3で間隔を詰めようとしたが、13コーナーで勢い余ってスピンを喫し、総合4番手に後退した。
これでトップ争いは大蔵と山口の一騎打ちとなり、終盤の攻防戦に注目が集まった。お互いに1分48秒台のタイムを刻みながら周回を重ねていくが、接近戦のバトルになるまでには至らなかった。
最後は山口が意地を見せて0.6秒差まで迫るも順位は変わらず。大蔵が前日の第3戦に続いて優勝を飾った。2位には山口、3位には永井が入った。植田は、この日もジェントルマンクラスの上位陣の集団でバトルを繰り広げて、総合7番手でフィニッシュ。2戦連続でクラス4位となった。
注目のポイントランキングでは、第4戦を終えて山口が78ポイントでリード。永井が48ポイントで2番手に続き、今大会から参戦の大蔵は43ポイントを稼いで3番手につけた。山口が大きくリードした感はあるが、残り4レースで何が起こるか分からないだけに、今季のエキスパートクラスチャンピオン争いも白熱していきそうな予感だ。
「流石に昨日ように引き離すことはできませんでしたが、ずっと後ろとのギャップは無線で聞いていて、1秒ジャストぐらいのギャップを維持することを心がけていました。1秒を切ってくると、こっちが何かミスをした時に一気に詰められてストレートでも不利になってしまうので、その辺は意識していました。途中に0.6秒くらいまで詰められたときは『まずい!』と思いましたね。残り4戦全部勝つというのは難しいかもしれませんが、引き続き頑張りたいと思います」