IPS EXP RD1-2 RACE REPORT

FIRST

山口 達雄TATSUO YAMAGUCHI

#44 NAVUL

TOTAL POINTS : 44

2ND

上松淳一JYUNICHI AGEMATSU

#37 K-Design

TOTAL POINTS : 33

3RD

永井 秀貴HIDEKI NAGAI

#32 GR Garage Yokkaichi

TOTAL POINTS : 24

永井秀貴と山口達雄の勝負は、2日連続で山口に軍配

2024 インタープロトシリーズ POWERED by KeePer第1・2戦が5月11日(土)・12日(日)に富士スピードウェイで開催され、ジェントルマンレースのIPエキスパートクラスで#44 山口達雄(NAVUL)が連日の大接戦を制し、開幕2連勝を飾った。

当初は5台がエントリーしていたが、#3 FLYING RAT(INGING MOTORSPORT)と#8 植田正幸(ルーニーダイワNアキランドIPS)が欠場。エキスパートクラスは3台によって争われることとなった。さらに#37 キーパー号からは上松淳一が初参戦となった。

【予選】

11日(土)午前に行われた公式予選。朝8時30分と早い時間帯のセッションとなったが、グリーンシグナル点灯と同時に各車一斉にコースインし、タイムアタックに向かった。

エキスパートクラスで速さを見せたのは、2020年と2021年にチャンピオンを獲得した経験を持つ山口。セッション序盤から積極的にタイムを更新していき、開始10分のところで1分46秒881を記録すると、その後もタイムを伸ばし、1分46秒635のベストタイムを記録。最後まで順位が変わらず、見事第1戦のポールポジションを獲得した。

2番手につけたのは昨年のエキスパートクラスチャンピオンである#32 永井秀貴(NETZ NOVEL MIE)。今回はいつも担当しているエンジニアが別のレースに帯同するため日本を離れており、リモート対応でやり取りしながら各セッションを進めていた。最後は1分47秒195のベストタイムをマークしたが、山口とは0.560秒との差をあけられる結果となった。クラス3番手には初参戦となる上松。事前に走り込む機会も少ないなかでの予選となったが、1分47秒529を記録し、トップから1秒以内の位置につけた。

Driver’s Voice

ポールポジション:#44 山口達雄(NAVUL)

「昨年同様に良い流れで来られているのかなと思います。金曜日の走行は、僕の気持ちとしては『もう少し良くしたいな』と思っていましたが、いざ予選が始まったら、想定以上の感触でした。今回はスリップストリームを使わず、クリアラップのなかでアタックしました。そっちの方が気楽に走ることができましたね。昨年は1回も勝てていないので、まずは1勝したいです!」

【第1戦 決勝】

ジェントルマンレース第1戦の決勝(12周or25分)は、12時00分から始まった。

1周のフォーメーションラップを終えて、ローリング形式でスタート。ポールポジションの山口がトップを守って直後のTGRコーナーを通過。2番手に永井がピッタリとつける展開となった。

山口と永井の2人は、毎回のようにエキスパートクラスでトップ争いを演じてきたということもあり、お互いに手の内は知っている様子。時おり永井が追い抜きにかかる仕草をみせるが、山口もしっかりと動きを読んで牽制をかけるなど、様子を見ながら周回を重ねていった。

一方、総合5番手からスタートした上松は、1周目にジェントルマンクラスの#7 TOSHIHIRO(KIプロモート)をかわすと2周目のTGRコーナーで#55 八木淳(人馬一体ドライビングアカデミー)も抜いて総合3番手に浮上。エキスパートクラスのトップ2台を追いかけた。

先頭を走る山口と永井のバトルは、依然こう着状態が続く。その中でも、少しずつ差を縮めていった永井が5周目のTGRコーナーでイン側に顔をのぞかせたが、山口も巧みなブレーキングで守り切り、トップの座を明け渡さない。2人の接近戦は後半戦に入っても続き、6周目に永井が1分48秒061のファステストラップを記録。山口に対して本格的に仕掛けていくかに思われた。

ところが、7周目のGRスープラコーナー手前で、永井が周回遅れを追い抜こうとした時に接触しスピン。これで総合7番手まで順位を落とすこととなり、実質的にここでエキスパートクラスの優勝争いが決することとなった。今まで防戦一方の展開だった山口が一転して独走状態となり、1分48秒台のペースを維持して終盤戦に入っていった。

クラス2番手に上がった上松も終盤に見せ場を作る。5周目に#55 八木に抜かれて総合順位を下げていたが、終盤になって#55 八木のタイヤが苦しくなり始めたところで隙をつき、11周目のTGRコーナーで逆転。総合2番手に浮上すると、そこから一気にスパートをかけて後続を引き離した。

最終的に8.7秒の大量リードを築いた山口がトップチェッカーを受け、2022年の第6戦以来となる優勝を飾った。2位には上松、3位には永井が続いた。

Driver’s Voice

第1戦優勝:#44 山口達雄(NAVUL)

「思った以上に路面温度が上がって、けっこうキツいレースでした。スタートから永井選手が後ろにいる状態で、本当はもっと引き離したかったのですけど、とにかく必死で逃げました。途中で周回遅れの車両も絡んでくるので『ここから気をつけたいな』と思っていました。周回遅れの車両もちゃんと避けてくれているなと思いましたけど、もし僕が永井選手の後ろを走っていたら、同じような接触が起きていたかもしれません。おそらく第2戦も同じような戦いになると思うので、引き続き頑張ります」

【第2戦 決勝】

12日(日)の第2戦決勝は、予選で記録されたセカンドベストタイム順でグリッドが決まる。ここでも山口がポールポジションとなり2番手に永井が並んだ。

スタートでは永井が山口をアウトから抜きにかかるが、ここではポジションが変わらず山口が先行する。その後方ではTOSHIHIROと上松が総合3番手争いを展開するが、ここで上松が3番手に上がった。

トップ争いは第2戦も山口と永井の一騎打ちとなる。前日の第1戦での内容もふまえ、永井は序盤から積極的に仕掛けていく。これに対して山口も必死に応戦し、3周目のTGRコーナーでは2台がサイドバイサイドで飛び込んで行き、両者ともタイヤをロックさせるほど、ギリギリまでブレーキを我慢する白熱のバトルを展開した。そこで突破口を開いた永井が、直後のコカ・コーラコーナーでトップに浮上。山口を引き離しにかかる。

しかし、山口も逆転を狙って、永井に食らいついていく。特にメインストレートからTGRコーナーにかけた飛び込みの部分に照準をあわせ、毎回横に並びかけた。もちろん永井も攻め込まれることは予想済みでしっかりとブロック。一度裏をついた山口がイン側から仕掛けにかかったが、ここも永井がしっかりと見ており順位変動には至らなかった。2人が争っている間に上松も接近し、残り4周は三つ巴のバトルとなる。

永井と山口のバトルはついにファイナルラップへ。少しずつタイヤが苦しくなってペースが落ち始めた永井の背後につき、アウトからオーバーテイクに成功。その隙をついて上松もADVANコーナー手前でオーバーテイクした。残る区間で逆転を狙った永井だが、13コーナーを立ち上がったところでスピンを喫し勝負あり。ファイナルラップでトップに立った山口が、そのまま先頭でチェッカーを受け、開幕2連勝を飾った。2位には上松、3位に永井が続いた。

最終ラップまで続いたトップ争いについて山口は「Bコーナー(ダンロップコーナー)で仕掛けることも考えましたが、最初の飛び込みで並べたとしても、その後に切り返すことになって抜きづらいので、あえて1コーナー(TGRコーナー)で挑み続けました」と振り返った。

2戦連続で好バトルを披露してくれた永井も「第1戦での反省を踏まえて、先に仕掛けて前に出ようと思いました。しかし、山口選手もずっと背後にいて、最後はタイヤが結構苦しくなってしまいました」とコメント。悔しさが残る結果ではあったものの、バトルを楽しんでいた様子だ。

今回初参戦となった上松は「大蔵峰樹選手が今回出られないので、代役として誘われました。ミッドシップのレーシングカーに乗ったことがなかったので、不安でしたけど、めちゃくちゃ面白いですね!」とインタープロト車両を気に入った様子。「本当に楽しかったです!」と終始笑顔だった。

Driver’s Voice

第2戦優勝:#44 山口達雄(NAVUL)

「なかなか永井選手の前に出られなくて心が折れそうでしたけど、最後は少々無理をしてでも1コーナーで頑張っていこうと思って飛び込んで行きました。1コーナーの立ち上がりで横に並べていればチャンスはあると思っていました。このバトルを制して勝つことができて、今年は開幕2連勝でスタートが切れたので幸先が良いです」