CCS-R RD1-2 RACE REPORT

開幕大会のみはジェントルマンクラスのみ出走、初参戦の豊島豊が安定した走りをみせる

2022 インタープロトシリーズ POWERED BY KeePer第1大会が5月14日(土)~15日(日)に富士スピードウェイで開催され、CCS-Rクラスは1台のみのエントリーとなり、ジェントルマンクラスの豊島豊(P.MU RACING CCS-R)が、初レースに臨んだ。

このCCS-Rが初めてのサーキットレース参戦となった豊島は、普段はアマチュアゴルフで活躍している。3年前に初めてインタープロトのレースを見たのが、レース参戦の第一歩だったという。

「もともとは、3年前の今日、インタープロトのレースを初めて観に来させていただいて、ジェントルマンも一緒に走るクラスがあるということを卜部さんに教えていただきました。まさかその3年後に乗っているとは思わなかったです。シーズンが始まるまえに、卜部さんから『51号車に乗ってみる?』というお声がけをいただきました」

「もともと(レースを)観ることは大好きだったんですけど、レーシングカーに乗ったことはありませんでした。それこそ、岡山国際サーキットで少し86で練習をさせていただいて、先月富士でCCS-Rの初走行を行って……。金曜日からの走行に入りました」

こうして、今季のCCS-R参戦が決まったのだが、CCS-R車両で事前に富士スピードウェイで練習できたのは、わずか1日のみ。まさにぶっつけ本番という状況だった上に、初日から雨という難しいコンディションに見舞われた。

そんな豊島をサポートしたのが、51号車のプロフェッショナルクラスを担当する堤優威。岡山国際サーキットでの練習走行から、マンツーマンでサポートしている。

「豊島選手は、ゴルフの経験がすごくあるので、そういった部分で、集中力とか運動神経はいいなと思っています。岡山で86を使った練習の時も、僕が先導して『引っ張り役』をやりました。そこでの上達スピードも早かったので、そこまで『本当に初めてだから……』という感じではなくて、先のところを見据えた少しレベルの高いところでアドバイスをさせていただいていました」

「富士も今回が2回目ですし、最初は雨だったということで難しいコンディションではありました。やはり、ドライとウエットでは走行ラインも違いますし、クルマも慣れていないし、ストレートも速いので、どうやって教えればいいのかは、色々と考えましたね」

そんな中で挑んだ14日(土)の公式予選。今回のCCS-Rは1台のみのエントリーで、ターゲットタイムの設定も難しく、さらに路面はウエットコンディションと酷な条件ではあったが、確実に周回を重ね2分12秒244のベストタイムを記録した。

そのまま午後に行われた第1戦決勝では、雨も止んで、路面が乾きつつある状況だったが、濃い霧が発生し、視界が悪い中でのレースとなった。これも、初参戦の豊島にとっては大きな壁となった。

霧で視界が制限されているため、先にあるコーナーの状況がわからずブレーキングも慎重になっていたという豊島。レース中盤をすぎると、後方からペースの速いIP車両が接近し、周回遅れとなる豊島はラインを譲らなければならなかった。こういったこともありタイムを落とす場面も見られたが、前半は2分07秒台を安定して記録し、最終ラップには2分04秒251をマーク。第1戦で無事完走を果たした。

「1レース目の霧は怖かったですね。何も見えなかったです。自分が一番遅いというのは分かっていますし、多分そこに誰もいないだろうとは思っても、特にダンロップコーナーとかは結構スピードが出るので『誰もいないよね?』と思いながら、恐る恐る飛び込んでいきました」という豊島。

堤は豊島の初レースに「雨でもクラッシュとかスピンもせずに、すごくチャレンジングな姿勢も見せてくださいました。ゴルフと一緒で、『やったからには上手くなりたい、速くなりたい』という気持ちがあると思いますが、ひとつひとつ階段のように、ステップを踏んでいけるようなアドバイスをしたつもりではいました」とコメントした。

第1戦終了後も、堤と一緒に車載映像を振り返り、改善点を探っていた豊島。ここで第2戦では2分00秒台を切るラップタイムを記録しようという目標を設定し、準備を進めた。

15(日)の第2戦では、一転して晴天となり、路面もドライコンディションになると、さらに安定したペースを披露した。

序盤は2分03秒台から始まり、2分02秒台へ。折り返しとなる6周目には2分01秒134を記録した。その後、IP車両を前に行かせるなどしてタイムを落とした周回もあるが、終盤に向けてさらにペースアップ。最後は2分00秒330を記録し、チェッカーを受けた。目標タイムには0.3秒届かなかったが、堤は上出来な内容だったと語る。

「僕たちの中で、2レース目は2分00秒を切るという目標がありました。最終的に、ベストラップは2分00秒330で届かなかったですけど、IP車両を前に行かせながらだったので、思う存分には走れなかったと思います。その中でも目標に近いタイムを出してくれていたので、そこはチームとしてもすごく良かったです」

「今回はコンディションが異なる状況でしたが、そうは言っても、乗ってもらった方が経験になりますし、実際にタイムも上がっていたので、教える側としては嬉しかったですね。もっと経験を積めば、トップはいけるかなと思っています」(堤)

豊島も、目標タイムに届かなかった悔しさはありつつも、2レースを無事に走りきることができたと、安堵の表情をみせていた。

「人に迷惑をかけずにちゃんと帰ってこようと決めていたので、それが出来て何よりです。1レース目から2レース目にかけて、2分00秒を切りたいなという目標ができたのですが、今までになかった欲が出てきました。最終的に達成できず悔しいところはあります。そこは、だいぶ先になりますが……次回にお預けですね」